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ROE考

本日の日経一面は上場企業が株主への利益配分を強化しているという記事であったが、合計金額は最高の13兆円と前年比23%増加らしい。

この辺に関しては確か昨年の秋だったか「大義名分では個人還元を謳っているとはいえ本音の部分は防衛意図が見えるケースもある」とコメントした記憶があるが、やはり本日の記事にもM&Aの増加傾向で利益配分を積極的に実施し株価が割安に放置される状況を防ぎたい経営者意識の表れと出ていた。

無意味な内部留保を溜め込み直近でこの炙り出しをされ狙われた企業は其れなりに脇が甘過ぎたのも事実だが、防衛を模索するあまり元々の本質が逸れては本末転倒でもあろう。


重大では無い犯罪

今週話題だったのは、やはり狡猾に不正会計をやってのけた日興コーディアルグループの上場維持を東証が決定したことだろう。

決算の虚偽記載という部分で他とのバランスを謳っているが、甚だグレーなその部分の裁量は東証に委ねられているわけで元々黒なところに400億水増しくらいは大目に見てもいいではないかという事か。

あの竹中前総務相も昨日のシニア・ライフ・シンポジウムで「上場廃止・維持の基準が本当によく分からない」と言っていたが、金融庁との罰則に大きな差が出る中、グレー企業が裁けない現行制度には早急に基準の明確化が求められよう。

結局投資家保護という大義名分を盾に、東証の一株主である顔色を気にしての今回の決定となったと言う向きが居るのは当然といえば当然だろうか。


高収益の裏側

さて先のぶり返しと言おうか今度は米国発で株式市場、為替市場が再度大揺れとなっている。

事の発端はサブプライムローンが指摘されているが、この件は昨年から言われ始め今月に入ってからはその象徴銘柄であるニューセンチュリーが暴落し、昨日はとうとう取引停止から上場廃止の流れにまでなっていた。

この住宅系ではローン債権をパッケージ化して組成するデリバティブまで引き合いがあったらしく、静かに弾ける素地が醸造されていたという事か。

何れにしろ先に上海が弾けたが中国とて金融引き締めにさしたる効果が無く銀行融資が甘めになった感もあり、こうしたところの不動産投機はさながら我が国のバブルを彷彿させるに充分ではないか。


暖簾代

本日は不二家が2007年3月期連結決算の業績予想を出していたが、当然かな例の品質管理問題の影響で当初予想8億円の黒字から67億円の赤字に下方修正となっていた。

月末には銀座本社を不動産ファンドに売却するらしいがちなみにこのファンドも今が旬のシティー系、一方で支援が影響したとはいえ株価の方は事の外堅調で、不祥事発覚前の水準を越えてきているのは何やら日興に似たものがある。

さて食品系では過去に雪印があったがここまでの両者明暗の経緯として思い浮かぶのは、やはりペコちゃんのブランド力に因るところが大きいいか。

取引員も含めてあらゆる企業にいえるが、最後の暖簾代こそ軌跡であり価値である。


蓋を開けたら・・

週末のFUTURES PRESSて既報、カウボーイも本日採り上げているように主務省は取引員二社に対して行政処分を下してた。

うち一社は上場企業であった為にストップ安の洗礼を受け、約19万株の買いハナを消化出来ないオマケ付きで引けているが、特定商品高騰を囃して物色人気が一頃あっただけに残念というか甚だ遺憾な出来事である。

取引員株についてはその万年低PBRやPERの理由を以前にも当欄で指摘した事があったが、結局ディスクロに表面化して来ない不安要素が常に付き纏い、何かの切っ掛けで一気に表面化してくる怖さがある。

今後どの程度処分が出て来るか不透明な部分があるが、リクイディティー含めた収縮が懸念される。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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