世界最強

さて今週気になった話題といえば、昨年夏にICEを退けて激しいCBOTの買収合戦を勝ち取ったCMEがNYMEXを買収する方向で予備的交渉に入ったとの報道であろうか。

この件に関しては一昨年の秋にも当欄で「〜目先米国では気になるのが主力WTIを擁するNYMEXあたりで、既にグローベックス上では提携しているものの、今回の件でまた動向が注目される事となったLMEと共に行方が注目される。」とコメントした事があったが、果たしてそうした流れは必然であったか。

先の件で元々が世界最大規模であったが何れにしてもこれで金融派生商品全般から農産物、天候に加えてエネルギーまで網羅する世界最強取引所が誕生、個々でも世界を代表する取引所であったがこうした再編劇を見ていると何処を取ってもその規模と行動の違いに、世界の流れから逸れつつ地盤沈下が懸念される取引所にはため息が出るばかりである。


SRI

一部のカード会社では今年もユニセフ支援の依頼が来ていたが大和證券は昨日、日本で始めての発展途上国向けのワクチン購入資金を手当てする債券「ワクチン債」を3月中旬から個人向けに販売すると発表していた。

発行体は予防接種支援の国際機関、国際金融ファシリティで起債によりワクチンを購入し途上国へ無償援助するという事だが、このところ以前にも触れたエコファンドやらCO2絡みの外貨定期やらSRI(社会的責任投資)が売り物の個人の金融商品が多様化しているとの事である。

元々の様々な素地は昔から何処でも存在し問題視されてきたものだが昨今機運の盛り上がりからヴィトンからマクドナルドあたりまで活動を謳い、益々こうした分野の拡大傾向は加速してくるものと思われるが、この手は時に政治絡みのものも入って来るであろうし今後は金融商品としてのその性格の棲み分けも論点となってこようか。


仮想買占め

本日の株式市場は米FOMCにおける追加利下げ観測から急反発となったが、ところで週末にあった珍事といえばトヨタを始めとした主力株ばかり合計六社の発行済み株式の51%を取得したという「EDINET」への書き込み事件である。

提出したのは川崎市の会社らしいが、大量保有報告をもっともらしく装うならまだしも総額20兆円を超える買い付けと言うし掲載が休日前の引け後というのも何処まで本気なのかどうも解せない。

当の本人は依然として「訂正報告の意思はない」としておりその意図は関係者のみぞ知るという感じだが、何れにせよ当局はこれを受けての対策チーム立ち上げを表明、不本意な形ながら金融庁の受理体制の盲点が浮き彫りになった形だが、ステージは違えどホンの少し昨夏公開の「ダイハード4.0」の1シーンが頭を過ぎった一件でもあった。


ダボス会議

本年もスイスのリゾート地ダボスで行われていた世界経済フォーラム、所謂ダボス会議が昨日閉幕となったが今年はジョージソロス氏が「世界はドルを買い増すことには消極的」とドルの国際通貨時代の終焉をにおわす一幕や、SWF等も当然ながらその存在感を増し詳細には賛否両論あった模様だ。

まあ、昨今の増資支援は政府系ファンドという名の下に単に高利で預け直しした格好でオイルマネーの脅威を警戒するのは解らないわけでも無いが、その容認と弱体化との天秤は未だ続くだろう。

ところでこの会議、4万ドル近くの参加費を払ってビジネスジェットのチャーターで華麗に登場する向きも多く、ある程度のステージに居る倶楽部のような雰囲気が昔は個別株の煽りにも使われた経緯まであり一部非難されているが、近年は著名な女優やミュージシャン等セレブ系も登場する場面があり別な部分で幅広い人脈創りに一役買っているとか。


協調体制下での金相場

今週もまた荒れたマーケットであったがドラスチックな動きの株式もさることながら、TOCOMでも金などはストップ安の翌日ストップ高で返ってくる等こちらもNON大豆並みの動きを見せていた。

一連の流れで相対的に利益の出し易い立場というか已む無しの売りでこれを含むコモディティも売り物を浴びたが、ETFもこの間急減しているというからやはり従来とは毛色の違う参加者の存在をこの辺のところから逆に感じたりもする。

さてFRBの緊急利下げから一先ずは急反騰となった環境だが、株式も此処まで悪化すると以前「協調の重要性」として書いた事のある金融政策も学習効果?からか各国利下げモードに入る気運となり金にとっては益々好環境が整うという事になるが、先ずはFOMCあたりで当局の追加利下げがあるや否やまた協調路線も併せて注目される。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2008

1

1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31