消えゆくもの彼方此方

さて当初は思いもよらなかったが、この休日前に結局三井住友FGが日興の事業を買収する事で合意した模様。三井住友といえば常識的に先ず大和が頭に浮かぶ構図でこの件での大和側の混乱は想像に難くないが、今後銀行側がどう調整してゆくのかその手腕が非常に注目されるところ。

ところでこの証券といえば28日までに出揃った主要17社の09年3月期決算が日経紙経済面に出ていたが、ガリバー野村を筆頭に14社が最終赤字となるなど果たして厳しい数字が並んだ。一寸逸れるが斯様な環境下で、証券三大紙の一社に位置していた市場新聞社が本日はパンクするなどなんとも淋しい報道もあった。

斯様な収益環境が続けば再編圧力が高まるとあったが、当欄で再編モノに触れて来ただけでも取引所から始まって再編対象業種はそれこそ万遍なく広がっている。内からなるモノと外からなるモノとその起因にはいろいろなケースがあるが、まあここ数年でこうしたど真ん中の金融系中心に随分と想像もしていなかった景色に変りつつあるのは事実。

最終黒字を維持したのは僅かにSBI等のネット系3社であったが、そうそうSBIといえば週明けにはとうとう国内商品市場から撤退を表明し当のSBIフューチャーズは7月でヘラクレスから消える事に。新規上場から僅かに3年、そのチャートを眺めると何とも複雑な気分になって来るがその辺は兎も角、以前業界を「土砂降り状態」と表現したグループのCEO曰く「国民経済に必要な市場だと思って参入したが、そうではなかった。監督官庁に業界を育てようという意識が感じられない」と。いろいろな意味でなんとも深い一言だ。


投機の解釈

先週末からにわかに日経紙中心に報道され始めたのが、所謂FXにおける証拠金倍率規制の問題である。

FX規制に関しては先に金融庁が業者が顧客から預かる証拠金について信託保全を義務付ける事を決めたばかりであるが、その頃同時に出ていたレバレッジ規制に関しては利便性の観点含め暫くは規制は難しいだろうとの意見もあがっていた中での今回の報道なだけに、いろいろと物議を醸し出しそうだ。

商品のミニ取引よろしく二本立てという線はとも思うが、CB導入後の商品先物とも絡めお上のいうところの投機的という部分はこのレバレッジの一律規制同様にその解釈にはまた不透明な部分山積みか。同規制は所謂相対取引の店頭業者のみならず取引所取引の業者も行政処分をチラつかせてその対象になっているという事でもあるが、手数料無料化を謳う向きの圧迫や税制上の観点から実のところ店頭規制の色合いが濃いのではないかと一部勘繰る向きも多い。

今後取引所も含め業者もFX以上の速度で急成長が見込めるとCFD取引等への参入表明が続々と出ているが、そのビジネスモデルを構築する上でも一連の成り行きが注目されるところ。


Lunariaの灯り

さて、今週は気が付けばもう最終日であったという事もあっていつもの通り道である日本橋三越にて先週から開催されている「アール・ヌーヴォーランプ展」を帰りがけにちょっと覘いてきた。

この手を三越で見たのはたしか三年くらい前になると思うが、当時に比べて若干点数も少なく一寸寂しい感じがしないでもなかったがそれでも1903年ルーブル宮殿内で開催されたナンシー派展において出展された、ドームとマジョレルの共同制作の「ルナリア文ランプ」を間近で鑑賞出来たのは収穫であった。

しかもこれが売り物であったのにも驚いたが、たしか前回もガレの悲しみのガラスシリーズが売られていたし、そう考えるとある程度の文化を所有するのもカネ次第かなと。

昨今の金融危機で出物もいろいろな向きからあるとも聞くが、こうした芸術品も所有者を転々とする中、今迄見てきた世に何を想うのだろうか。


Going Concern

本日の日経紙経済面には新興市場活性化策の内容に一部触れており、市場に新規上場する際の基準を緩める他、新興企業の内部統制や情報開示に関する規制を緩めるように求めるというような内容であった。

さて基準緩和といえば直近で金融庁が踏み切ったものに「継続企業の前提に関する注記」の基準緩和に踏み切った件がある。日経紙財務面にたまに出てくるゴーイングコンサーン絡みの記事でも、昨今は馴染みのある名前がポツポツと並びその対象企業がたしか過去最高になっていたと思う。

しかし百年に一度の危機とやらで昨年から当欄で触れてきた時価会計や上場廃止基準の緩和等々、其処彼処で緩和の波が起きているが折しも来週には決算発表企業も大手含めて一段と増すスケジュールの中、はたしてこれらは歓迎すべき事なのであろうか?

まあ昨年書いた時価会計基準一つ取っても昔はこれで虐められたクチだが今や大国から率先?して緩和のススメである。そう考えるとこんな世知辛い時は皆で足並み揃えてクサい物には蓋をしましょうと言っている今が変?に幸せなときなのかとも思う。


ヘッジニーズとモデル転換

本日は、先にドットコモディティを取次先として石油デリバティブ事業の共同展開合意の発表があった石油仲介業者のギンガ・ペトロリアムが、TOCOMの石油製品価格を活用したデリバティブ取引を始める方針を正式に明らかにした。

この辺に関しては先月、TOCOMが全国の石油販売業者を対象に実施したアンケート調査の結果を発表しているが、スポットより割安であった等の理由でガソリン・灯油の卸値についてTOCOMを指標にした業者が40%以上になっている事も明らかになっているが、一部の会計士に言わせれば現況の月決めや週決めもいずれ日々決め単位になって来るともいわれ、これらの動きが今後スタンド等の淘汰のトリガーになってくるのは明らかか。

ところで主務省である経産省も先にこうした他に原材料乱高下下で中小企業支援策として商品先物市場の活用を呼び掛ける方針を固めているが、振興協会あたりも中小事業者に先物市場を活用してもらう目的で設置した「ヘッジ取引普及検討会」会合等を開いたりしてその啓蒙も市場死活問題の側面も絡んで力が入ろうというもの。

折しも本日は外資のノーブル・ジャパンが取引資格を取得、取引所も悲願の期近へのリクイディティ誘致に期待が掛かるところだが、この石油にしても元売り勢からは油種の多様化が強く求められている。中部軽油にしろ取組ゼロ状態でここ半年もデリバリーも無い状態、先月中旬の日経紙夕刊一面に「TOCOM、石油先物を拡充」と出ていたがいろいろと今回は正念場である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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