感染した相場

今週も引続き新型インフルエンザの情報が各所交錯していたが、この規模の話題ともなるとその関連モノの景色もつくづく相場というものを感じる。

いままで「無いもの強請り」というウイルス?が蔓延した際に無くなったモノには古くはトイレットペーパー、最近ではバナナや納豆等の食品から始まって昨年末にはドルやユーロ等の外貨までが姿を消した事があったが、さしずめ今はマスクがそれでネットオークションでは数倍から果ては10倍の値で落札があった等も聞こえてくるから呆れる。

むろんその形態から買おうとする向きが出て来る以上は法外だろうが値が付くのは相場の常だが、展開する側も出展店舗への品の無い表現での仕入れ推奨サポートメールが問題視されるような煽りも一役買っているか。

さて物品相場の他はどうだろう、今週の日経平均は200日移動平均線突破云々が取り沙汰されていたようだが、そんな動きの中で週初からどうにも冴えなかったのがインフルエンザ関連株。上記のマスク関連などこれら数年前から何度も使い回されてきたが、今は逆に巻き戻しの動きも一部には出てきている。

今後起こるや否や第二波は更に深刻等々の見方も出てきているが、三度目、四度目の各相場を迎えるにあたり今後どのように各々学習効果が発揮出来るのであろうか。


国際標準には遠い全体像

さて、他の決算ラッシュに埋もれて商品業界でも上場企業の決算が先に出揃っているが、果たして商品先物受託業務を行っている企業は軒並み赤字計上となっていた。

思えば株価も昔は未収の加味等もあって万年低PBRといわれていたものだが、今や別な要因でPBRも物差しで無くなってきているという意見もある。今回ざっと見ると各社共に市場規模縮小が進む中で収益寄与というか緩衝材の役目となっていた物にディーリングがあったが、今後も収益の多様化という課題の部分で各社試行錯誤が続くか。

ところで昨日の日経紙経済面には東証の取引参加者が減少し、売買高も細って東京市場の地盤沈下が懸念される旨が載っていたが、まさに商品取引所も同様の状況に置かれているのは直近に始まった事ではない。同じ会員数の減少で地盤沈下を謳っていても証券と商品ではその影響度も全く違う物となってくる。

世界標準を目指しそこそこ纏まった投資を足元ではしていたとしても、世界標準で起きている巨大取引所の再編という構図は今の縦割り行政も複雑に絡みまだ当該取引所にとっては他人事で、各取引所サイドと会員組織との間の温度差が縮むのは何時の事になるのだろうか。


楽観論と実態

本日の日経平均株価は米市場がメモリアルデー祝日で休場であった事などもあって手掛り材料難から小動きに終始したが、そんな中を直近で増資発表していたテイクアンドギブ・ニーズなどがストップ安まで叩かれていたのが目立っていた。

むろん新株発行によっての株主価値の希薄化、株式需給悪化が嫌気されたのは明らかであるが多くの企業はそんな目先?の事よりバランスシートの問題が重く圧し掛かり背に腹は変えられないといったところだろう。

先週末の日経紙には資金調達が最悪期を脱するとの旨が載り、日銀総裁も記者会見では「緊張感が後退している」ともしているが、一方でここからは決算が過ぎた後の格付け動向が気になるところ。昨年からの不動産業界を見るまでもなく格付けなど一寸の信用低下で市場からの資金調達の景色はガラリと変る。

資金調達が最悪期を脱したとした同紙にはまた三菱UFJの劣後債が個人マネーに人気で完売した様子も書いてあったが、こうした一部個人マネー回復期の恩恵を享受出来るのもこうした一部のみ。こうして起債出来る向きはいいが、一通り嵩上げしてきた株式相場同様にここからは格付け絡めて今後もこの雰囲気が維持されるかどうか注視しておこう。


給付金0点

昨日フジTVが報道した番組に与謝野財務・金融・経済担当相と08年ノーベル経済学賞者のポール・クルーグマン教授の対談があったが、その中で例の2兆円の定額給付金について言及する場面があり「他の国では失敗しており、米国では歴史的にみて給付金は使われずほとんど貯金される」と否定的な見方を示していた。

定額給付金については期末に一度触れた話題だが、先の「キッズリサーチ」の調査によればこと小中学生に関して使い道は先に書いたように本来の意としない「貯金」というのが一位であったとする報道があったが、その使い道については親が決めたというが最も多かった。

別なところで日経産業新聞が行った調査によればその使い道は、消費に回すというのが7割近くになり貯蓄というのは約2割くらいであったがこの辺をどうみるか、まあ来たる消費税引き上げで今回バラ撒いたカネは回収しますよという算段を考えると教授の言うように結局は消費にまわらないという部分も自然なところか。

ところで株式市場では本日も家電のコジマが二日連続のストップ高と破竹の勢いであったがこれは一応エコポイント制度の影響で販売額が急増した事を囃したもの、斯様に株式市場の反応はいいもののこの省エネ家電買い替えを優遇するエコポイント制度に対しては「現時点でポイントが何に使えるのか分らないのに、ポイントが与えられる理由がよく解らない」としていたがこれまた然りであろう。


原油ETF

昨日は関西商品取引所の話を書いたが、さてここもそうだが商品取引所が挙ってMOUを結んでいるところに大阪証券取引所がある。今週はこの大阪証券取引所が先物取引で運用するETF(上場投資信託)を上場できる制度を7月に導入すると発表、第一弾として原油先物に連動したETFの上場を図る模様だ。

金銭信託型ETFは現物交換型ETFの交換に相当する行為として投資信託の一部解約を認める他、其の他の上場審査基準、適時開示、上場廃止基準を現物交換型と同様とするなど上場制度を整備としているがこうしていよいよ銘柄も加速、上記の通りMOUを交わし各取引所の上場商品が続々と上場してゆくという事になると、この先は所謂コモディティー投資のスタイルも変遷してゆく事になるのだろうか?

ボンヤリとそんなイメージを考えると、昨年商品先物の受託から撤退していったマネックス証券が当時言っていた「金ETFなど商品と連動する金融商品が登場して来た事で、今後はそれらの方が商品先物より活発になると見て打ち切り決定した。」という言葉が急に思い出されるものだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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