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公募増資利用型手法

本日の日経紙一面にはJALが国際線の運行業務について外部企業に出資を要請する旨の記事が出ていたが、このJALといえば最近問題になった件で平成18年実施のファイナンスの件において、香港の投資ファンドが空売り等で意図的にフェール交えをしたとして証券取引監視委員会が金融商品取引所法違反の相場操縦行為で摘発要請との報道を見かけた。

要は上板の指値で煽って後ろが付いて来たところでマルにして、途転で畳み掛ける攻勢をした上でフェールをやってのけ払い込みに充てる券面は公募の新株を使ってその鞘を取ったというもの。まああからさまにやるか否かというか、当局も酷いと思ったのだろうがこの手の話は前から折に触れよく聞く件である。

ヘッジファンドなどではこうした手法は通常にあり最近では三井住友FGのファイナンスにおいて、増資の日取りを見越して空売りを一部ロールさせながら売り続け、新株発行価格の決定と共にショートカバーから途転ロングへもってゆく等は類似パターンか。勿論新株が手に入ればそれで払い込むパターンであるが、なんでもJALの場合この空売りで当初の2,000億円調達が1,400億円になったというから穏やかではなかったのだろう。

しかし上記の三井住友以外にも、みずほFG等メガバンク始めとして有力企業が今年相次いで大型の増資を発表しているが、価格決定日に向けての空売り増加傾向は恒常化、大型増資などがあればそれを睨んだ需給要因が相場全体の値動きに繋がるというのもここ近年の特徴になっているだろうか。


互いの温度差

本日の日経平均は4営業日ぶりに反発となったが、先週末の日経紙一面を飾った三井住友と大和が合弁解消へという旨の報で週末急落となった大和も本日はCSの見直しリポート効果もあって5日ぶりの反発となっていた。

この件に関しては4月に当欄では三井住友FGが日興の事業を買収した際に、「〜この件での大和側の混乱は想像に難くないが、今後銀行側がどう調整してゆくのかその手腕が非常に注目されるところ。」とコメントしておいたがなんのことはない、やはり当時から早々に言われていた解消の方向で終ったかという感じ。

一頃は三菱と付き合っていた日興はその後も付き合う相手を変え、シティという相手と別れた段階で証券業務拡大が悲願であった三井住友FGにとってはどうしても付き合いたい相手であったのは事実。今後は品受け?した手前、傘下証券と共に独自の戦略を再構築してゆく事になるがやはり互いに業界の風土に合わなかったか。

これで早くも格付け低下懸念からのトレーディング業務等のカウンターパーティー・リスクの上昇が云われたり、クレジット市場ではCDSにワイドな気配が観測されたりしているが、個々の正念場という問題もさることながら業界再編の流れが後退というか一旦振り出しに戻り他社の動向もまたこれで気になってくるところか。


下半期の百貨店模様

さて、今週始めには三越のワールドウォッチフェアも終ったが、はたして如何ほど売れたのであろうか?高価格帯の海外ブランドや衣料品への依存度が高い百貨店では不振極めるそれらの苦境を映し、先に日本百貨店協会が発表した09年上半期の全国百貨店売上高は、前年同期比11%減と過去最悪の落ち込みになったと報じられている。

しかし最近思うのは、特定の物がセールになる時は何時も恒例で時期がそれぞれに決まっていたものだが、近年この図式が崩れ各所前倒しで実施されているところが非常に多いという事。斯様に消費不振な百貨店では上記の件含めやたらとフェアの類も目に付くなど集客に躍起となっている姿勢が感じられる。

新興国へも活路を見出す業界では、三越伊勢丹が経済成長が続き高額品市場が伸びている中国市場での展開を積極化するべく上海や天津で大型店出店を計画、また高島屋も上海出展計画があるがここは重要文化財指定を受けた東京店での東京店建物ツアーなども最近開催している。

そうそう、この高島屋といえば新宿店ではテナントの顔ぶれも先月末で交代する動きもまたありで、ベスト電器が8月で閉店、替りにユニクロが最大級になるとも噂される店を出店させる予定だが、この辺如何にも戦略変遷が読み取れる事例とも言えるものの原点回帰はもうないのか否か今後の動向が注目される。


意図的か偶発的か

鯨幕相場も14日目に入った本日の株式市場は急反落、そんな中で本日の日経紙一面で取り上げられていた日本風力開発がザラバ切り返しで大幅続伸とマザーズ市場で気を吐いていた。ところでこのマザーズであるが、先月末に東証は同市場における上場廃止基準項目追加などを盛り込んだ改革案を公表している。

上場3年を経過するまでに株価が公開価格から9割下落し9ヶ月以内に回復しない場合に上場廃止等だが、これ以外にも東証は上場企業が実施する第三者割当増資に関する八項目の新しいルールを設けて施行の運びになっている。

一ヶ月ほど前に当欄で「機動的な資金調達もいいが喰い散らかしが出来るヌケ穴もまた多し」と書いた件に重い腰を上げるような格好になったものの、これでもまだヌケ穴といえる部分は健在?有利発行なんぞはその発行価額の妥当性をどう判断するか、監査役等に意見を求めるとしているがその算定基準というか匙加減で如何様にもなり、意味があるものか否か疑問視されるのは自然なところだろう。

結果東証側としては、個々に上場企業の自覚を持ち株主権利尊重の経営姿勢を貫くのか自発的判断に任されるなどとこうした文言にルールの限界が見え隠れもしている。しかしこの問題も意図的かそうでないか、本当になるべくしてなったのか客観的に見える部分で外部と当事者が論議するのはその本当の部分が明るみに出てこない限りは永遠に平行線だろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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