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投信もフヌケ?

さて、今週から野村證券は10日付けの日経紙全面広告にも見られた通り日本を含めた世界の漁業関連企業に運用対象を限定した「アムンディ・グローバル漁業関連株投信」の募集を始めている。日興アセットも先に世界の医療関連企業株式等に投資するロックフェラーが運用する「日興ロックフェラー医療戦略ファンド」を設定するなど投信界もユニークな顔ぶれが続々登場している。

ところでこの投信といえば、証券取引等監視委員会は投信乗り換えを頻繁に進める事例が増えていると判断し、証券会社による投信の販売状況について立ち入り検査を通じて重点的に点検する方針を決めた旨を先週末の日経紙にて見掛けた。

確かに投信市場は多様化と共にその残高の伸びから裾野拡大が言われて久しいが、高水準の解約に加えてその保有期間が短期化してきているのも現状でありこの辺にはあまり触れる向きも少ない。勧誘規制といえば商品業界もそうだが、かつては「鎌入れ」と共にこの回転売買の「フヌケ」が横行した時期があったが相場業界何処でも同じようなものだろう。

証券界も収益の多様化を探る中で投信手数料は株式の約1.6倍にまで達しているがそうした中、先にもコメントしたように人気の毎月分配型でも複利運用でマイナスになるケース等もあり、乗り換えメリットが手数料を支払ってまであるかどうかにメスを入れるような動きが出て来るのも自然なところだろうか。


1%の立場

昨日は証取低迷に触れたが、そういえば昨日の日経紙商品面には「商取再編、待ったなし」として、経営難の取引所がいつの日か米国や中国の市場に飲み込まれ、消滅しても不思議ではないとした旨の特集が載っていた。

商取を危惧するこの手の記事は今に始まったことではなく、ここ近年は各紙において同様なものが見受けられるが、問題は東穀などに見られる様に外野には形式的な振る舞いで済ます一方で内側からは一向に自浄?作用の行動を取る気配が見えないところだろうとも感じる。

迷走の上に解散路線を取った中部大阪などもあるが、昨年の5/20付け当欄でその収益形態を「〜不動産収入に依存し仮にポスト割りしたら実質は8000番台の仲間?に入る類ではないか。」とコメントした関西商取などは、やはり同紙にも「実体は不動産賃貸業に近い」と書かれていた。

しかし、国内で見るとこの関西商品取引所は全国4商品取引所の売買高に占める割合が1%にも満たない。また証券も地方証取の株式売買代金を合計してもやはり1%に満たない等の現状を見ると、02年に世界の三分の一のシェアを占めた日本市場のシェアがわずか1%台にまで急低下している状況からして全体をコレに置き換えて考えると可也怖い。個別ではライバル減って玉の輿というウルトラCも選択肢として無いわけではないが、さて・・。


夏枯れ

本日の日経平均は後場から軟化し3日続落、出来高は14億7,667万株であったが出来高といえば昨日は今年最低の12億5,400万株にとどまった。FOMCを控える中、全体の取引を牽引する外人勢が既にバカンス入りしている上に国内もお盆の時期と相俟って、今年1月のピークと比べると4割弱の水準にまで落ち込んでいる。

こんな相場ではセルボラ仕掛けの向きなんぞは売りっ放しで順調なほど全般低調ぶりが目立つが、共に直近のIPOインデックスも週明け段階で前週末比231ポイント安の39,262ポイントとなり6営業日連続で過去最低を更新した。この薄商いの中で相場の弱さもあるが、やはり新規上場の減少が響いている部分も大きいだろうか。

この新規上場についてはまた後述するが会員の窮状もまた然りで、商品業界同様に対面は店仕舞いスレスレの状況が続き、リーマン・ショック以降は知り合いのコミッション連中から引退する旨の手紙をもらう回数も増えた。岩井とコスモは紆余曲折の末に合併まで漕ぎ着けたが、今後も上場組に係らずこの手の動きは継続されようか。

昨年末にも書いたが一発で稼げるプライマリーの恩恵にありつくのが難しい中小組はそれこそ同所のIPOに大きな望みを賭けているのだが、斯様な現状を見るにつけ先行きの上場含めて暗雲漂う気分になるのは否めないか。


高騰第二弾

さて、先週の日経紙夕刊には「異常気象 食卓に影」として世界的な異常気象が国際価格高騰を招き末端への影響が避けられない懸念の旨が出ていたが、此処に載っている通り世界有数の穀物地帯であるロシア各地では猛暑に因る干ばつ被害が広がり、小麦価格がここ急騰を演じているのが一寸した話題であった。

5日にはこのロシアが穀物輸出一時禁止との報道を受けストップ高まで買われたが、翌日は一転ストップ安の急落と先物も乱高下、日本はこの小麦の8〜9割近くを輸入に頼っており頭の痛い問題だが、この猛暑被害は足元の国内でも緑黄色野菜中心に直撃し、これらは軒並み5割前後の上昇で、外から内から彼方此方急騰劇である。

野菜などたしか春先も三寒四温の影響で高騰していた記憶があるが、こう頻繁になるとつくづくヘッジの必要性が問われる。さて、前回の小麦暴騰時にはオプション取引等でもパンクする向きが続出し、また多くの食品会社が価格転嫁に回ったが、このデフレ期にまた転嫁が相次ぐのかどうか思惑なものの、前回とは構図も違うのでそこまでの影響はないだろうか。

そうそう、直近ではもうじき迫る秋の味覚の代表格でもあるサンマも高値になる懸念が出ているとか。先月は三越で「新サンマ」として1匹1,500円と笑える札が付いていたサンマを見たが、なんでも北半球の猛暑の異常気象が影響し水揚げが極端に減少、築地市場の卸値は前年同期比で4割程度高値に上昇しているという。先に書いたスクイズで暴騰してしまっているココア等はまだ嗜好品の範疇(と言っても困るが・・)だが、普段の食品群の乱高下も困った問題だ。


規制第一弾

さて、今月からは周知の通りFX(外国為替証拠金取引)について上限が50倍とする改正内閣府令が施行されている。この件については過去当欄で何度か触れてきたが、一年後からは更に上限を25倍に引下げることになっている。

この規制で円高が更に加速する云々からビジネスモデル崩壊で業界淘汰論までその影響が前々から論議されているが、前者に関してはもともと高倍率はスキャルパーが圧倒的ということや別なファクターも山積みで全ての要因がそうと適わないだろうか。ただこれらユーザーは少数派とはいえ個々の取引量は高いのでそうした部分では当然の影響は個別ではあろう。

他、所謂規制逃れで海外モノへの誘導等も、なにやら最近はメルマガ等の媒介で口座開設推奨を仄めかす向きも増えてきたが破綻時の諸々のリスクも考慮すべきか。また別な抜け道関連としては法人口座という手も一部で取り沙汰されているが、今更な上にそもそも異質なものを一括りにスライドさせて捉える考えもどうかと思う。

さて、そんなわけで今後の市場参入者と併せ全般リクイディティーも変化してくるかどうかだが、この手の問題はお上がその構造を利用した特定系への規制目的という思惑がある上に、様々な取引形態における所謂「信用余力」の部分を人夫々がどう捉えるかで各々見方が相違してくるという部分から、一括して論ずるのは如何にも難しい問題であると思う。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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