バリューを見出す
さて、日曜日付けの日経紙一面には、東日本大震災の影響で日本企業の投資戦略が急減速している旨が載っていた。特に企業のM&A件数は先月の状況を見てみれば震災発生前までは64件と前年同期とほぼ同じペースであったが、震災後から期末までは66件と前年同期の141件から急減となっている模様。
このM&Aといえば先月に当欄でも、政府が企業のM&Aを促す為の産業活力再生法改正案を閣議決定し企業のM&Aを促進させる方向で進んでいる旨を書いたばかりだが、国同様各社共に新年度予算に苦慮している状況下で買収案件も一旦棚上げになってしまっている格好と状況が一変してしまっている。
またファイナンス関係も、先週当欄でコメントしたように今月にIPOを予定していた向きが震災の影響で続々と上場を延期。社債市場からの調達も震災後から月末まで条件決定したのは1社のみで、調達額は前年同期から9割近く減少しているという。
ところで今迄成長産業を築いてきた著名経営者はかねがね「不況であるが故にM&A等においてもチャンスが巡ってくる」との発言をしている。同じ日曜版の「けいざい解読」にはさわかみ投信で額面を下回った住金株を1株41円で買った話が出ていたが、体力のある向きにはこうした自粛ムードの状況下においてバリューを見出してゆくのが商機ではないかと思う。