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現実味を帯びる日本脱出

昨日の日経紙経済面には「エネルギーを問う」として、IEA(国際エネルギー機関)によると、産業用電気料金の日米の差は2.3倍、日韓では更に2.7倍に広がっているなど国際的に見て日本の電気料金は高い旨が載っていた。

目下のところ電力不足がいわれる今夏、この電気料金に関しては値上げやらペナルティー論も出ているが冷静に外から見てみればこれも酷い話で、先ずはまだまだ関係者の私腹が肥えるシステム中心に無駄の削減ありきが筋だろう。しかし今年は直近の円高も相俟って、数年前にもいわれた日本の企業群の脱出論がいよいよ現実のものとなるとも喧伝されている。

こうも試練が重なると今迄何とか目を瞑っていた物まで耐え難くなってくるものだが税金もその一つ。当欄でも何度か触れたが法人税は先進国中で最高、これだけの足枷がありながら逆にいえば今迄海外勢と競争してこれたものだと感心するもの。

斯様に電気料金、為替、法人税と企業を取り巻く環境は非常に厳しい。既に諸外国では人材含め企業誘致等に躍起になっており、こんな素地が用意されている中で政府の場当たり的な対応如何では更なる環境悪化も考えられる。そうなれば恰好の口実を得た企業群の海外移転が思った以上に加速する可能性は現実問題として有り得るケースであるのも認識しておかねばならないか。


AIM第一号

さて、2年前の2009年6月に鳴り物入りで開設したものの、以降まったく上場実績が無かった東証傘下のプロ向け市場「TOKYO AIM取引所」だが、先週末にはオランダ大使館の近所にある創薬ベンチャーのメビオファ−ムなる企業が同所に第一号としてはれて上場となった。

以前にも書いたように同所は労多くしてナントカの見方が肝心の国内証券会社勢に根強く、何処も審査引き受けに二の足を踏んでいた経緯があったが、果たして今回の主幹事もシンガポール系のフィリップ証券。75万株の新株発行を行う予定であったが、これが直前にマルになった事もあってか注目の初日は900円の売気配で差引約55万株の売物を残していた。

これで連休明けの動向が注目されていたが、前場段階でその売気配は600円台にまで切り下がっておりこの辺は改めてロックアップの重要性を物語るか。しかしもともとのブックビル仮条件が1,200〜1,600円でその前の想定発行価格が1,500円であったことを考えればなんとも厳しい船出となった格好で、マーケットこそ違うが明日はラクオリア創薬が上場を控えておりこちらもどうなるのか気になるところ。

バイオ系は夢のある材料が思惑を呼び易く新興市場などでも既に株価が大化けしたモノもあるが、ポストに加えてベンチャー系は超が付くくらいの浮動玉だけにその辺の管理も課題になってくるだろう。AIM社長は「上場第一号でイメージが出来た。技術、人材、サービスを軸に世界で競争出来る企業を呼び込みたい」としているが、先ずはこの第一号がどういった歩みをするかが注目されよう。


Hommage 

さて、ちょうど一週間前までフランスでは2011年秋冬パリ・オートクチュールコレクションが開催されていた。ラガーフェルド氏手掛けるシャネルの新作始め、ジャンポール・ゴルチエの今シーズンはあの「Black Swan」の世界からインスピレーションを得たというチュチュや羽飾りなどバレエ色の強い作品を発表。余談だがモデルのイヴ・サルヴァイル、やはりカッコ良すぎである。

一方で伊の大御所ジョルジオ・アルマーニは大震災に見舞われた日本へのオマージュとして、大輪の花をプリントした着物風コートや帯のベルト、梅花の刺繍を鏤めたジャケットなど和風の美を取り込んだ華麗な作品を発表していた。

ジョルジオ・アルマーニといえば、高島屋のアニバーサリー絡みの「ヘリテージ・コレクション」で、東証上場の川島織物の生地を使い日本の帯を思わせる柄をあしらったバッグも発表しているが、この手のコラボモノでは昨日まで京都の金閣寺方丈にてグッチが設立90周年記念の催しで、「時の贈り物」としてバッグを展示する催しも行っていた。

そういえばドルチェ&ガッパーナも先のインタビューでは日本の震災に絡めてファションを語っていたが、斯様にイタリア勢の日本傾斜が目立つ。勿論重要な戦略拠点というのもあるが、上記のアルマーニ氏は東北の被災地で就学が困難になった小中学生を支援する奨学金制度も設立する予定で、文化や技と共にこうした部分も共鳴出来るのは素晴らしいことである。


それぞれの御家芸

さて、先週末のNIKKEIプラス1では「中国の新幹線、海外で特許取れるの?」として、最近話題になっている例の中国鉄道省による高速鉄道車両の特許出願の件が取り上げられていた。

しかし「(パクリ)モーターショー」や、ちょっと前の「上海(パクリ)万博」に続き今回はコレを持ち出したかという感じだが、もう一つ一つ挙げるとキリが無いくらいのパクリ疑惑技もその毎回同じテーマから一つの御家芸というかブランドとしてこれはもう独立しているだろうか?

しかし、どの問題を取ってみても大真面目に開き直って?其れなりの理由もこじ付けているという事で、ここは立場を変えて別の視点で眺めてみると産業の空洞化が問題になったようにローコストな人件費に惹かれこうした国へせっせと技術を流していた方もワキが甘かったのかも知れない。

近年では老舗の商標を続々押える暴挙も目立つが、そのくらいのテクもある意味見習うべきであっただろう。まあ、国際社会でこんな姿勢が何処まで通用するのか見物なものの、ある意味賛否両論。そういえば本日の日経紙では、海外市場で上場する中国企業の会計不信が拡大している旨出ていたがこの辺はまた後述したい。


やはり体質

本日は日経平均が再度10,000円の大台割れとなる中を電力株は総じて小動きの引けであったが、電力会社といえば周知の通り運転停止中の九電玄海原子力発電所2.3号機の再稼動を巡り経産省が6月に県民向けの説明会を開いた際、九電の原子力発電部門の社員が本社や子会社の社員に一般市民を装って再稼動を指示する意見メールを送るように依頼していたことが先に明らかになっている。

問題の依頼文を見たが、「会社のPCでは処理能力が低いこと等から、是非、ご自宅のPCからのアクセスを御願い致します」等と九電関係者と分かりにくくさせる姑息な一文も。日経紙社説ではこのメール事件に触れ「情けない」と書いてあったが、会見で社長が「そんなに大きい問題ですか?」とも発言したり常識的に情けないレベルの話では済まないだろう。原発を巡る一連の対応を見ていると、東電然り今回の九電然りやはり前にも書いた通りその体質が非常に解り易い。

何処の企業でも大小問わず過去を捜せばこの手の話の素地はあるが、取り扱い要注意?メールの漏洩を考えていなかったというか一部暴走組に裁量を委ねていた怖さが露呈された一件。一頃コンプラが問題になった時期があったが、またその業種問わず各所の話題としてコンプラが蒸し返されそうな雰囲気である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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