技術と慢心
さて、先週は国際フォーラムで開催されたジム・ロジャーズ氏の講演会が盛況であった模様だが、先月は毛色こそ違うものの同じ米著名投資家のウォーレン・バフェット氏もまた来日していた。間接投資先企業の工場完成式典に出席するためのことであったが、ジム・ロジャーズ氏と違ってこちらの方は初来日。
その投資先企業とは超硬工具メーカーの「タンガロイ」。この企業、フジ系の「ほこ×たて対決」なる番組の(絶対穴の開かない金属)×(絶対穴を開けられるドリル)の戦いで東証二部の「日本タングステン」に屈辱の敗北をしてしまったのを見ていて改めて上場していた当時を思い出したものだが、こんなバラエティ番組では負けてもその技術は著名投資家に食指を動かさせるなどさすが日本の匠と一寸感心したものだ。
しかし日本の技術も長年そのものが各業界においてブランド化しており、その差別化において優位性を保持してきたものだがどうも昨今はこうした構図も通用しなくなりつつありその限界が露呈される例が既に散見される。まさにブランドの上に胡坐を書いている間にというパターンだが、なるほど単純に顧客が対価という触手を伸ばしてくれないことには話にならなく近年時価総額が急減した企業はこの辺を蔑ろにしてきたのは否めないだろう。
ウォーレン・バフェット氏は先の記者会見で「持続的に成長できて、競争力があり、欠かせない事業を持つ企業に投資する」としている。競争力という点ではかつてソニーを仰いでいたという米アップルなんぞは勝者だが、時価総額急減企業はオリンパス然りソニー然りその道で市場占有率が長年高く慢心から優位性崩壊の構図を想定し備える部分が甘かったといえ、他も今後はそうした部分が課題となってこようか。