西洋銀座閉館
さて、もう一年経ったのかと思うほどお知らせから「その時」が来るのが早かった感じであったが、「ホテル西洋銀座」が先週末で閉館し26年の歴史に幕を閉じた。此処はセゾングループの旗艦ホテルとして銀座テアトルビル内に開業したが、切って移動出来るワケもなく同所の銀座テアトルシネマとルテアトル銀座も同時に閉館のはこびとなった。
このホテル、もともと複雑な背景でプリンスホテルに対抗してオープンしただけあって、日本で所謂「コンシエルジュサービス」を初めて導入、空間は西洋スタイルの割にそのもてなし方は日本旅館のきめ細かさがあり、少なめの客室数に当時としてはバスルームも広く、その空間はそのまま欧州のホテルに居るような錯覚さえ覚えた。そんな事もあってお忍び有名人とも何度かすれ違ったものだった。
また食の方もこのホテルはマカロンが一般的には有名だが、個人的にはやはり此処のクリスマスシーズンの手の込んだチキンや、エッグベネディクトが忘れられなく一押し。これは他のホテルでも食べられるところは幾つかあるが、此処のは他の追随を許さない美味しさだったかなと。
斯様に今後もう姿を消すかもという事態になると、赤プリのフォアグラサンドやオムライス、パシフィックホテルのチーズケーキ同様にいろいろ頭に浮かんでくるが、せめて名品は何らかの形で存続して欲しいものだ。いずれにせよ日本の都市文化の象徴的な拠点がまた一つ姿を消すことになるのは残念な限りである。