資源受難

さて、昨日に引き続き日経紙一面からだが本日の紙面を飾っていたのは「資源安 企業に打撃」のタイトル。中国の景気減速の悪影響が先進国に波及し、業績の悪化に見舞われる資源関連企業が日米欧で相次いでいる旨が書かれてあった。

昨日の日経平均など大幅続落し01月16日以来、約8か月半ぶりに節目の17,000円大台を割り込んだが、斯様にこれに関して市場を揺るがしたのは直近ではスイスの資源大手商社グレンコアであろうか。恒常的な資源安を背景に経営危機観測まで台頭し、同社のCDS(クレジットデフォルトスワップ)5年物保証料率は7%に跳ね上がっている。

スイス最大級の商社がこんな事態になれば当然ながら国内勢も冴えない展開を強いられるワケで、昨日は首位の三菱商事が年初来安値更新、これと並ぶ三井物産も揃って年初来安値を更新している。VWの次はグレンコアと一難去ってまた一難の展開が続くが、商品低迷の恒常化を予測する金融大手各社の見通しには常に注意しておきたい。


沈没

さて、本日の日経紙一面を飾っていたものに第一中央汽船の民事再生法適用申請の報があった。運賃低迷で経営状態が悪化しその負債総額は簿外も含めると2000億円を超える可能性があるというが、曲がりなりにも商船三井傘下の住友系であっただけに降って湧いたこの報はけっこうな驚きがあった。

これで今年の上場企業のパンクは年明けのスカイマーク、その後の江守商に次いで3社目となったワケだが、国内五位とはいうもののバラ積み船はやはり景気連動型と改めてまざまざと見せつけられた破綻劇で、大手にぶら下がった再建とはいえやはりいつまでも安穏というワケにはいかないという事か。

しかしこれまでも低位だけに比較的大商いし易い銘柄だったが、かつてリーマンショック前に仕手化し大化けした頃が懐かしい。低位のパンクといえばかつて殖産住宅等に見られたようにショート筋の思惑は当たったもののそれまで逆日歩でヤラれたとシャレにならない話もあったが、これまた完全合致から祭りが始まるか。


盛者必衰

さて、先日はランボルギーニの新型スポーツカーであるアヴェンタドールSV限定モデルの発表記念パーティーが都内で開かれていたが、今回もまたこのお披露目時点で既に完売状態であった模様。ところでこのランボルギーニを擁する独フォルクスワーゲンだが、周知の通りディーゼル車の排ガス試験を巡る不正の報で連日紙面を賑せている。

この報によって当のフォルクスワーゲンはもとより自動車関連株が一斉に売られたのが目立ったが、これとは対照的にガソリンシフトと触媒の連想で24日の東京商品取引所のパラジウムは期先で176円高と急伸、貴金属の中でもこれに矛先が向かい一際堅調であった。

欧州は、例えばスキポール空港前などにはベンツのタクシーがズラリと並んでいるがほとんどがディーゼル車である。今回の件で斯様な欧州のディーゼル車一辺倒に変化が起きるとすれば上記のパラジウムとは対照的にプラチナは更に低迷が恒常化する可能性もあるか。

しかし、8月末に関係悪化から資本提携を解消したスズキもとんだとばっちりだ。保有するVWの発行済み株式約1%はこの事件で期末比約700億円も目減りしたというが、それでも取得金額の倍で売れる見込みというからこれはこれで不幸中の幸いか。ともあれ自動車界のLVMHともいわれるVWの余震が何所まで株式や商品に影響を及ぼすのかしばらく注目である。


5年目の刷新

さて、連休明けの本日は株式売買システム「アローヘッド」が約5年ぶりに刷新された。今回も初代に続いて富士通が請け負った模様だがポイントとしては注文処理のスペードや件数が現在の2倍に、また呼び値単位の適正化や気配値表示本数の増加、それに発注証券会社のシステム障害時に自動取消機能を設ける等の信頼性の向上といったところか。

5年前に刷新された当初はいくつかの銘柄で僅か数十秒の間にストップ幅近くの急落急騰を演じて早速個人が翻弄される光景が話題になったものだったが、今回の新システムは売買ルールに見直しが入り野村の試算では1分間の株価変動率が平均で上下4%を超えないようになる見通しとか。

これに関してはアローヘッド稼働後に当欄でも「二次的な乱高下に対するセーフティーネットのような物の必要性が問われてくるのは必至か」と書いた事があったがこの辺に対応してのものか。また呼び値も縮小傾向でここまで来たが、今回はさすがに縮小し過ぎた分の見直しがTOPIX100構成の一部で行われる。

しかし5年前のアローヘッド開始時に「はやこんなところまで来たとは時の流れを感じるが、これでも日進月歩だけにまた古くなる日が何時の時代か来るのだろうな。」と当欄では末尾で書いたが5年目で刷新、都度ディーリング等も変遷を強いられてきたがいたちごっこのHFT業者と容易には太刀打ち出来ない個人の共存がまた継続されてゆくこととになる。


変動率に商機

ちょうど1週間前の当欄では「増幅要因」の題でジェットコースターさながらの乱高下の毎日が続いている旨を書いたが、昨日の日経紙マーケット面にも今週過去20日間の変動率が米量的緩和の縮小懸念が始まった2013年6月以来、2年3ヶ月ぶりの高さとなった旨が書いてあった。

文中では長期投資家による買いが入りにくく、実需の売買が縮小するなかで短期投資家による売買が主導する展開が続くとも書いてあったが、今や急増するETF残高も本来であれば長期投資のツールというのが世界標準なのだがとりわけ国内ではレバ型の短期売買等に傾斜しこうした構図も成り立ちにくい。

とはいえこうしたレバ型が売買代金ランキング上位の常連になってきているなど短期系が流行っているだけに、日経平均VIの急上昇やリーマン・ショック直後以来の高水準を記録している恐怖指数であるVIXの50台への上昇などにも商機を見出すETN系も賑わい、大手金融機関も変動率に注目した商品の上場を検討する動きも出ているという。

とはいえこうした眺めは裏を返せば投資家心理の冷え込みを端的に表しており、ボラへ賭ける投機や商品開発の熱は乱高下離脱の先行き長期化を表しているともいえようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2015

9

1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30