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対話の是非

連休明けも日経平均は下げ止まらず479円安と大幅に6日続落となった。そもそも先週末の段階で年明けからの5日続落は実に1949年5月16日に東証が再開されて以来初めての事であったというが、更にこの記録を塗り替えている。またこの間の下げ幅は実に1,800円超となり、これで昨年9月末以来、約3か月半ぶりの安値水準まで下がった事になる。

前日の欧米株式がマチマチであったもののやはり人民元や上海総合指数への懸念が燻り「もうはまだなり」を地でゆく相場展開となっている。その上海総合指数も再度心理的節目の大台割れを演じているが、昨年7月に当欄で「こんな国を挙げてのPKOも懐かしいが発展途上市場では結局自国なりのやり方で試行錯誤しながらしばらく学習してゆく以外に方策はなさそうだ。」と書いている。

年明けから始めて導入されたサーキットブレーカーが連日発動されてはや数日で運用停止に追い込まれ、大株主への株式売却新規制の適用も売りを誘発する要因になるなど全くと言っていいほど機能していない。上記の通りPKOの限界を学習途上ともいえるが、当局とマーケットの対話が何所で機能するのかが焦点といえそうだ。


経営者が推す銘柄

今週の日経紙投資情報面の会社研究では、毎年恒例の年明けの「経営者が占う」で各経営者が選んだ今年の注目銘柄が日替わりで紹介されているが、またザッと一年前の各経営者が選んだ銘柄予想を振り返ってみよう。1位は毎年上位常連のトヨタ自動車、2位が信越化学、そして3位の日立製作所と続いていた。

1位のトヨタ自動車は結局年間では1%の下落、2位の信越化学や日立製作所などは更に不調の二桁下落。また違う意味でヒットしてしまったのは一昨年から順位を上げて選ばれていた東芝か。証券取引等監視委員会から「虚偽記載」と認定され、東証からも特設注意市場銘柄に指定され株価は周知の通りの崩落である。

やはり証券系の金太郎飴的定番予想が復活し、有望銘柄にはコア系が並んだ果てのアノマリー効果は高い。スキャンダル塗れの東芝を有望銘柄に挙げていたのも大手証券社長であった。パフォーマンスを問うなら面白い場面も出てきそうなものながら今年は手の平を返したようにこの東芝は避けられ、昨年同様に1位はトヨタ自動車、2位も信越化学が定位置に収まる結果となっていた。

また日米中心に景気は堅調に推移し、米利上げを受けた円安進行も企業業績の追い風となる予想が殆どであったが、円安などのマクロ要因がこれまでのようにマーケットに寄与してくるかどうかは不透明、二年目になるコア銘柄一辺倒予想が今年こそ当たるのかどうか見物してゆきたい。


福袋模様

さて、昨日は新春恒例の初セリが築地で行われた。築地の初セリといえばマグロだが、今年もやはりお約束というか「すしざんまい」の喜代村が競り合った結果高い物で1匹1,400万円で競り落としている。これで落札は5年連続となるが、1億円を超えた最高値からここ数年の続落歩調も今年は反発といったところ。

また野菜の宝船も最高値が昨年より倍近くの1艘25万円と過去10年で最も高い水準であったそうだが、他の海産物も絞られているせいか全体的に相場は堅い傾向が見られた。ところでこの初セリも今年の豊洲移転に絡んで見納めで、上記の喜代村など移転先の新市場観光施設を巡って志半ばで撤退するなどの経緯もあった事でいろいろ想うところもあっただろう。

堅調だったのは築地相場だけではなく同じ中央区では初セリというか百貨店も初売りで福袋等各社趣向を凝らしているなか、松屋など1,000万円近くのロマコンの6本セットなど開店早々に売り切れ、高島屋では2億円を超える福袋も出るなどしているが大勢で実感薄いなかスポットで格差が如実に表れている。


十大リスク

本日の日経紙国際面には、政治リスクの調査会社ユーラシア・グループが昨日に発表した2016年の世界の「十大リスク」が載っていた。首位の同盟の空洞化から10位のトルコまで並べてあったが、5位に挙げたサウジアラビアなど早速イランとの断交を表明しバーレーン、スーダンもこれに続く動きを見せている。

この辺は4位に挙げているIS等へ及ぼす影響も少なからず出てこようが、こうした地政学リスクで新年相場はアジアから欧米まで世界規模で波乱の幕開けを演じている。加えて上海もPMI悪化を嫌気し導入された初日にサーキットブレーカーを使うハメになるなどまたぞろ怪しい雲行きだが、これまた規制が裏目にでてくる可能性も秘める。

地政学リスクの影響で原油相場は今年もボラタイルな展開が予想されるが、これによる各所への影響も計り知れない。所謂「森」で見るものから「木」を見る選別眼も問われることになる場面が随所で出てきそうである。


申騒ぐ

皆様、新年あけましておめでとうございます。

さてマーケットの方だが、大納会で何とか帳尻を合わせ19,000円台に乗せ1996年以来19年ぶりの高値水準で引けていたものの、今年の大発会は昨年同様に一転しての急反落スタートとなった。

今年はといえば申年、兜町界隈は申年は「騒ぐ」の相場格言があり、東証再開以降5回あった申年の年間騰落率は平均で10.4%上昇し十二支の中ではほぼ中位、ちなみに前回の16年は約8%の上昇であった。しかし昨年も6月後半に年初来高値を付けるもそこから約3ヵ月で4,000円近くも急落し、その後約1ヵ月で2,000円近くも戻す等相場つきは既に「騒ぐ」だったと言えようか。

ともあれ昨年はコーポレートガバナンス元年の号砲が鳴らされたワケだが、そんな直後に例の東芝問題が発覚。またROEも焦眉の急とばかりに改善傾向にあるとはいえ内部留保の活用に関しては歯痒い部分も多く前者と併せ海外勢の懐疑的な見方も燻る。上記のアノマリーも加わり交錯した相場になろうが、如何に実効性のある攻めが盛り込めるかこの辺が焦点となってこようか。

本年もどうそ宜しく御願い申し上げます。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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