イースター彼是

さて、先の日曜日はキリストの復活を祝う「イースター」であったが、春分の日を過ぎると各所でこのイベントに向けた動きが見られた。とはいえ「ハロウィーン」でバカ騒ぎしていた向きもイースターとはいったいなんぞやと意味もわからずこちらは今一つ乗りきれないという輩もまだ多いか。

しかしながらハロウィーンがあのバレンタインをも凌ぐ経済効果を上げ始めた実績から、各社も近年これに照準を合せて彼是商機に繋げようとする動きが顕著である。国内の大手食品・飲料各社は挙ってイースター関連を売り出し、ホワイトデーの前には卸専門のイメージだった仏ヴァローナがイースターエッグを初めて売り出したのも新鮮だったが、他にも漆器の山田平安堂まで和風イースターを掲げ兎モチーフの品の案内が来ていた。

こうした重い腰を上げ始めた各社の動き以前からTDRあたりはいち早くこのイースターに着目したイベントをやっていた経緯があるが、此処は更に前からハロウィーンイベントを打ち出しその定着の立役者となっただけに、双璧の西のUSJも数年前からイベントを開催するに至っている。

流行の形成もその波及力如何でまた異なったものになって来ると思うが、ちょうどこの期はGW前の消費控えもいわれるなか、経済効果の胸算用から花見と並ぶ春の催事に育ってくるかどうかその関心も高く各所の腕の見せどころとなろうか。


意識付け

昨日の日経紙企業・消費面には日清食品ホールディングスが、同社の株価動向によって提供メニューを入れ替える社員食堂を東京本社に本日オープンする旨が載っていた。身近な社食で株価によって豪華と質素なニュー提供から、社員に企業価値の向上について意識付けする効果を狙うらしい。

株価に連動した企画といえばこれまで某ホテルが日経平均終値プランをやったり、小僧寿しが日経平均終値が前日より上がった場合に中トロを無料で提供するプラン、また大丸東京店なども日経平均終値が高くなれば値引きする株関連動バーゲンなるものを展開した事があったのを思い出す。

ただ日清食品の場合はこの手の商いカラーとは違ってなにやらストックオプションの社食版のような感じもしないではないがランチだけに可也緩い企画か。とはいえそのストックオプションも近年ではバイトなど末端の社員に至るまで権利を配る範囲を広げた例もあり、各社企業価値向上の意識付けは工夫を凝らす例が増えてきたのを実感する。


逆日歩増加の季節

本日の日経平均は3日ぶりに反落とはなったものの、前場にはプラス圏に浮上するなど配当落ちの影響が130円弱と見られていた事を考慮すれば強かったと言えようか。斯様に本日は3月期決算企業の権利落ち日であったが、権利付き最終売買日までのオペ等もあって本日の日経紙には逆日歩銘柄数の増加が書かれていた。

こんな逆日歩が意識されるのも配当や優待取りを巡ってのクロスの影響だろうが、優待狙いが高くついてしまった珍事も過去多くあった。例えば話題になったところでは東京ドームの観戦指定席欲しさに数万株を繋いだところ、逆日歩で数十万円のコストがかかってしまったという残念な話など幾つもある。

金融誌やらネットやらでニワカ評論家などが金太郎飴の如く安易なクロスを勧めてきた弊害もあろうが、貸借倍率も読めない向きや制度信用しか知らぬままマル信に手を出す動きが増えればその分それを利用しようとする向きも増える。ヘッジ回避手段も多様化してきた今は様々な選択肢を活用したいもの。


縦割り行政の弊害

当欄では先週火曜日に、日本取引所が17年後半には清算システムを12年ぶりに全面刷新し金利先物などデリバティブ拡充を目指す旨などを取り上げたが、本日の日経紙金融面には「日本取引所、品ぞろえ強化」と題して、上記に絡みデリバティブを増やし株式関連の依存度を抑える事でより安定的な収益拡大を狙う旨が載っていた。

取引所と言えば足元ではLSEグループとドイツ取引所が経営統合に向けての交渉中だが、このドイツ取引所など営業収益の40%強をデリバティブで稼いでいるし、かつてこのドイツ取引所と一度縁談のあった経緯のあるNYSE(ニューヨーク証券取引所)を傘下に持つICE(米インターコンチネンタル取引所)も30%強をデリバティブで稼いでいる。

翻って本邦のそれはわずかに20%弱にとどまり、50%を超える現物株依存の構図はやはり否めない。政府は総合取引所の実現を成長戦略の一つに掲げ、これももうそろそろ10年近くになるが縦割り行政の弊害で実現期待の掛け声も年々虚しさを感じるようになって来た。一部証券系シンクタンクなどTOCOMの脆弱さを引き合いに現実的な選択でJPX主体の市場創設を推す向きも居るが、関係当局の協調は焦眉の急となっている。


産業革命の次

今週は月曜日が振替休日であったが、その日の日経紙面で目立ったのは社説から金融面、科学技術面そして社会面までAIを取り上げた頁が非常に多かった事か。直近でグーグル傘下の企業が開発した人工知能が、世界トップ級のプロ棋士との対局で勝ち越しを見せたのが話題になっているだけに今がやはり旬というワケか。

社説には「筋肉の限界」から解き放った動力革命と対比し、「頭脳の限界」からの解放を挙げていたが確かに自動車、航空機や船舶などは人間の行動範囲を著しく広げた動力革命であった。そこで後者を考えるに常識や欲求、需要などが時折云われるが、欠如している部分は何所だろうかとの議論も絶えない。

既に現在は次のステージで前者の動力革命に頭脳が加わる時代、自動走行時の事故発生賠償など行動の法的責任も課題となっているが、各所の責任の所在が何所にあるか整備も課題か。ほか国民的合意など壁も多いが、試行錯誤の議論のなかで何所までAIに任せるか等の棲み分けの方向性が出てくる事に期待したい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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