縦割り行政の弊害
当欄では先週火曜日に、日本取引所が17年後半には清算システムを12年ぶりに全面刷新し金利先物などデリバティブ拡充を目指す旨などを取り上げたが、本日の日経紙金融面には「日本取引所、品ぞろえ強化」と題して、上記に絡みデリバティブを増やし株式関連の依存度を抑える事でより安定的な収益拡大を狙う旨が載っていた。
取引所と言えば足元ではLSEグループとドイツ取引所が経営統合に向けての交渉中だが、このドイツ取引所など営業収益の40%強をデリバティブで稼いでいるし、かつてこのドイツ取引所と一度縁談のあった経緯のあるNYSE(ニューヨーク証券取引所)を傘下に持つICE(米インターコンチネンタル取引所)も30%強をデリバティブで稼いでいる。
翻って本邦のそれはわずかに20%弱にとどまり、50%を超える現物株依存の構図はやはり否めない。政府は総合取引所の実現を成長戦略の一つに掲げ、これももうそろそろ10年近くになるが縦割り行政の弊害で実現期待の掛け声も年々虚しさを感じるようになって来た。一部証券系シンクタンクなどTOCOMの脆弱さを引き合いに現実的な選択でJPX主体の市場創設を推す向きも居るが、関係当局の協調は焦眉の急となっている。