国民意見は反映されたか?

さて、今週は盗作疑惑で旧エンブレムが白紙撤回という異例の事態となった事から再公募を経て約8ヵ月、漸くというか新エンブレムが決まった。最終候補4作品の審査の結果選ばれたのはA案の「組市松模様」であった。

今回の再選考は前回の不透明との指摘も踏まえ一般からも数万件の意見を吸い上げる国民的行事となったが、翌日の日経紙にはこれらが反映されたかどうかはよく分からなかったと書いてある。それもそのはず4作品が公開されて以降の読売新聞や共同通信、ヤフー等の人気調査では、「輪をデザインしたB案」と「朝顔をイメージしたD案」が何所も双璧でこの2作品が選考の軸になるとのコンセンサスがあったからに他ならない。

またもう一つ気になったのは、かねてより旧エンブレムの審査委員であったグラフィックデザイナーの一人が、先頭に配置された1案だけが際立つ不適切な構図からA案ありきのプレゼンテーションで、エンブレム委員の専門家がそれ以外のB、C、D案を推すのは考えづらいとの自論を公表していた件か。

結局果たしてという結果となったワケだが、そもそも当初の躓きであまりにもナーバスになり過ぎて何でもかんでもディスクロという社会的風潮が更に疑惑を掻き立てたのは想像に難くない。ネット世論の集約の難しさは現代ならの問題だが、何れにしても時間も限られているだけに新国立競技場然り何とか帳尻は合うようにしてもらいたいもの。


企業体質

さて、本日も株式市場では三菱自動車が下げ止まらず年初来安値となっていたが、本日夕刻からの記者会見に見られる通り先週に軽自動車の燃費データの改ざんが発覚している。実にリコール隠し事件発覚以前の1991年から規定を無視していたというからなかなか酷い話だ。

大手自動車メーカーの不正といえばやはり昨年9月に排ガス規制逃れが発覚した独のフォルクスワーゲンが記憶に新しいが、ココほどその規模や手口の巧妙さに欠けるものの三菱自の場合は上記の通り2000年代にリコール隠しが二度発覚、経営がパンク寸前まで追い込まれグループ各社の優先株引き受けで何とか命拾いしたのが思い出される。

昨年の東芝の不正会計に続き、今度は名門「三菱」という日本を代表するコングロマリットの企業不祥事表面化でまたもマーケットでの日本ブランド力毀損が懸念される事態だが、今回も亡霊が巣食う大企業のなかなか変えられない体質の難しさが露呈された事例か。


代替通貨再び

先週末の日経紙マーケット面には「金、ドル高修正で高止まり」と題して、年初来の上昇要因であった原油安や金融市場の混乱が一服しても、ドル高の修正でファンドなどの大口投資家が金の代替通貨としての性格を重視し買いを膨らませている為に高止まりしている旨が載っていた。

原油価格の立ち直りで金価格を動かす環境も最近は変わってきたが、上記の通り大口投資家の先物の買い越し幅が3年半ぶりの高水準になる一方でETF総残高は漸減傾向となっているなど、現物資産代表格も派生モノで価格への影響力は近年強くなってきている事もあり政策としての中央銀行保有等も所説入り乱れる事が多くなってきた。

金相場を巡って当面の焦点は6月の利上げに向けて思惑が募る今週の米FOMCとなっているが、これから続報が出てくるであろう当欄でも取り上げた「パナマ文書」の存在も予期しない不安材料を多発させる可能性が十分にあるだけに、派生モノ含めて今後も目が離せない展開が続くか。


資源デフレ

現在、月曜日の日経夕刊・明日への話題を執筆しているのは丸紅の会長であるが、週明けはこの丸紅が2016年3月期に減損等で新たに1200億円の損失を計上すると発表している。一転しての減益となるが、同社といえば昨年同期にも買収した米子会社ののれん代処理やら油・ガス事業での損失でほぼ同額の損失を出している。

しかし総合商社といえば首位の三菱商事も先月下旬に「三菱商事、赤字1500億円」の文字が日経紙一面を飾っていたが、タイトル通り2016年3月期連結最終損益は従来予想の3000億円を4500億円下回る数字であり、1969年度に連結決算の作成を始めてからは初の赤字、三井物産も然りだがこの辺は資源分野への偏重度合がまた異なる。

折しも直近で主要産油国によるドーハでの原油増産凍結会合が不発に終わるという結果となり原油も再度急落の憂き目に遭ったが、17年3月期の追加の減損リスクも残る可能性があるなかポスト資源の食糧も苦戦を強いられている現状から商社ポストも先行き不透明感が払拭できていない事が改めて認識された格好か。


情報格差

さて2016年1〜3月期決算の発表が今週から本格的にスタートするが、この決算情報を巡って先週は証券取引等監視委員会が外資系大手のクレディ・スイス証券を、上場会社が公表する前の決算情報を自社の営業員らに伝えて顧客を勧誘するなど重要情報の管理体制に不備があったとして、行政処分するように金融庁に勧告する方針を固めていた。

クレディ・スイスで同じようなインサイダーの一件として思い出すのは、かつて香港のトレーダーが住友軽金属のCB発行時に事前に同社株をショートしたとかで摘発された事があったのを記憶しているが、最近ではドイツ証券も今回と同様な件で昨年12月には業務改善命令を出されていたなと。

これが主因なのかどうか、クレディ・スイス証券は毎年2回アナリストらが行ってきた機関投資向けの企業の業績プレビュー活動を中止する意向を示している。野村など国内大手でもアナリストが業績動向について企業から詳細を直接取材し決算プレビューに反映することを自粛する動きが広がっているが、改めて一般との情報格差が感じられる一件でもあるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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