トランプラリーの行方

さて有言実行とはこの事なのかトランプ大統領は次々に大統領令のカードを切り、週末に署名した難民やテロ懸念国の市民の入国を制限する大統領令により本邦も日本航空やANAが一部例外を除き搭乗拒否措置を取り始め、その混乱は米国だけでなく世界中に物議を醸し出している。

ニューヨーク連邦地裁などさすがに翌日大統領令の効力の一部を停止する判断を示したが、当の本人は国の安全を盾に世論など何所吹く風といった感じで、それもそのはず先週には米国株式市場でダウ工業株30種平均が史上初めて20,000ドル大台に乗せて引け本人はツィッターで「グレート!」とツイートしご満悦の様子だ。

ちなみにこの日はS&P500種やナスダックも史上最高値を更新していたが、遡ることダウが初めて10,000ドルの大台を突破したのは1999年のことであるから18年でちょうど2倍となった事になる。何れにしてもトランプ・ラリー再開となれば日経平均も何時大台をクリヤ云々と期待も掛かり、官房長官などダウ2万ドル突破は日本にとって望ましいことと発言しているが、2月10日の日米首脳会談を挟み何れにもボラタイルな展開となろうか。


パリ万博150周年

さて、今週は岡田美術館が秘蔵するエミール・ガレやドーム兄弟のコレクションが公開される「ガレとドームの世界展」を観てきた。ちょうど一週間前にオキーフの絵を取り上げた時にエミール・ガレの名も挙げている通りで、ガレ好きな私としてはこれを近所の日本橋で見る事が出来る機会を見逃すわけにはいかない。

今年は日本文物がヨーロッパに正式デビューした1867年のパリ万国博覧会から150周年の節目を迎える年という事で、ジャポニズムに焦点を当ててアール・ヌーヴォーの工芸品と併せ他にも日本美術の清華を展示するに至ったという。そんなワケで葛飾北斎の「雪中鴉図」や伊藤若冲の「笠に鶏図」等も展示されていたのは嬉しい誤算であった。

肝心のガレの方はエントランスを入っていきなり正面に大作の「藤文ランプ」が鎮座しており久し振りに見るその姿はやはり圧巻。1800年代のエナメルや金彩を駆使したガラス器群の飴色もただただ美しく、透過光と順光で表情の変わる様が感じられる選りすぐりの作品も改めてその技術に感動した。

他にドーム兄弟の冬景色文や風雨樹林文シリーズなど色褪せない相変わらずの美しさであったが、上記のパリ万博では数多くの日本の文物が金賞を受賞し葛飾北斎の作品が後のティファニーなどへ多大な影響を及ぼしたのは有名な話。こうして日欧併せて並べ観るにそういった事を思い出させてもくれる工夫のある展であった。


直近IPO熱

さて昨日の日経紙マーケット面では「IPO銘柄に個人資金」と題して、過去1年間に上場した企業の値動きを示す「QUICK IPOインデックス」が、前日に前週末比4,058ポイント高の17万1921と2007年7月以来約9年半ぶりの高水準を付けた旨が載っていた。

主力株の上昇に一服感が強まり先月に上場した中古車ネット買い取りのリネットジャパングループのストップ高をはじめ製造業マニュアル制作のグレイスもストップ高し本日も二銘柄が揃って年初来高値を更新するなど今週は値動きの軽い直近IPO銘柄に個人などの資金が集まったという。

これらいずれもマザーズ市場だが、春先には博多ラーメンの「一風堂」もこのマザーズに上場の予定となっている。新興ポストは東京証券取引所による上場審査の厳格化があり今年のIPO数は80〜90社とみる市場関係者が多いが、この一風堂はじめ今後のIPOがどう直地してゆくのか引き続き注目しておきたい。


売り専

本日の日経平均は続落となったが、個別ではエアバックのリコール問題で揺れ昨日まで3日連続の比例配分ストップ安となっていたタカタ株が4日目にして寄ったあと乱高下を演じた。再生期待から年末年始の一週間で株価倍増となったものの、はや往って来いというかそれを凌ぐ暴落であった。

買っている向きには災難な一方でショートしている向きはニンマリな展開だっただろうが、売り専といえば昨年から増加している空売り専門調査会社の一つウェル・インベストメンツ・リサーチが先週にはミドリムシで有名なユーグレナに対して売り推奨、その適正株価を500〜580円とした事で同日には年初来安値を更新の憂き目に遭っていた。

同社は過去に丸紅やSMCを標的に挙げ強い売り推奨をリポートで展開していたが、一寸目を通してみるとこれが或る意味なかなか面白い。例えばSMCでは同社の監査法人の代表電話番号がSMCの証券コードとピタリ一致しているのは偶然では無く、顧客に対する忠誠を表しており独立性を疑問視するなど何所までが本気なのか独自の理論を打ち出している点である。

年末にかけての円安株高で他の売り専銘柄も担がれ色が濃いモノもあるが、日証金も早速ユーグレナに対して即日制度信用取引の新規売りおよび買いの現引きに伴う貸借取引の申し込み停止措置を発表、当局の今後の対応も気になるが他も逆日歩など跳ねるケースもありで一番乗りに仕込み出来る向きは兎も角ショートの途中乗車はなかなか壁が高い。


ツイッター大統領就任

周知の通り先週末に米国の第45代大統領に共和党のドナルド・トランプ氏が就任した。泡沫候補扱いの同氏が大統領になってしまったのも既報の通り大番狂わせであったが、政府系職務経験無しや史上最高齢、支持率の低さ等々そのキャリア、私生活等全てが異端づくしのスタートとなる。

こんなトランプ氏勝利で先行きが不透明と感じていた消費者にとってサプライズだったのは株高で、高額品の売れ行きに活気が戻り始めるなど消費マインドに微妙な変化も生まれている旨が先週末の日経MJに載っていた。年末に高島屋ウォッチメゾンの難波店オープンを当欄で取り上げたが、日本橋店でも12月は売上高が前年同期比プラスへと転換し今月も前年比を上回るペースだという。

斯様に株高で富裕層消費は底堅いものの、一方で中間層の回復は厳しく消費の二極化の構図はなかなか変わり辛いようだ。マーケットも何所までトランプ効果が続くかというところだが、外交の孤立主義や通商では保護主義の色が濃い。上記の末端部分はもとより内向きに傾斜する政策がこれからどう舵取りされてゆくのだろうかと世界が懸念する中での船出となる。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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