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温度差

さて、小学校4年生が子どもでも簡単に円を描けるように考案したコンパス用補助具が特許庁から実用新案登録を受けたのがニュースになっていたが、特許といえば上場企業の世界でも本日の日経紙・真相深層に出ていたように大手ゲーム会社業界が特許侵害として訴訟を起こす事態が相次いでいる旨が載っていた。

冒頭では昨年から関係者の関心を集めている任天堂によるコロプラへの提訴が書いてあったが、任天堂と並びカプコンなど古株勢?からコーエーテクモにグリーやディー・エヌ・エーの新興勢まで各所で著作権ではなく特許というステージでの争いが主流にシフトしてきている模様だ。

気になったのが文中にあった「従来は顔なじみの企業同士が交渉によって内々に収める場合が多かった」という大手知財担当者の言葉。クロス・ライセンス契約等もあり業界の商慣習を回してきた老舗勢と或る意味ドライな新興勢との温度差も一因と考えられなくもないが昨今の消耗戦が市場成長の枷にならぬか危惧されるところである。


資源枯渇?

昨日の日経紙夕刊一面には「ウナギ今年は高値」と題して、3月以降専門店でウナギの値上がりが相次いでおり、今年は年間で最も需要が高まる土用の丑の日は量販店にも高値が広がりそうな旨が載っていた。

シラスウナギの漁は今月いっぱい迄だが、このウナギの稚魚不漁で記録的な不漁だった2013年度を大きく下回る恐れがあると当欄で書いたのが今年の1月であった。はたしてこの時から前年の3倍に高騰し、ウナギの卸値も前年比6割高とこの2013年以来5年ぶりの高値を付けている。

1月段階で早くも丑の日の影響が懸念されると書いたが、その懸念は月を追う毎により一層濃くなっている。昨年の3年ぶりの豊漁が幻の一服だったか、やはり国際自然保護連合に絶滅危惧種にまで指定された物がいつまでも食材で罷り通るワケは無いのか否か、今年は代替商戦も注目されそうである。


安い買い物か高い買い物か

さて、マネックスグループによる仮想通貨交換会社コインチェックの買収が本日完了となったが、この辺に関して昨日の日経紙総合面には1月下旬に巨額流出した仮想通貨NEMに関する同社の訴訟費用を最大でも10〜20億円と見積もっていると明らかにした旨が載っていた。

この買収、収益性は高いものの満身創痍の企業なだけに評価が分かれ結局アーンアウト条項での解決となり、今回マネックスGが同社を買収した金額は36億円と報じられているが、当初難しいと言われた約460億円もの補償をやってのけた企業に内部留保は存在したのかどうかこの辺も報じられていないだけに、一般論としてはたして今後の展開でこれが安物買いのナントカとなるのか否か気になるところではある。

ところで大手による仮想通貨交換会社の買収といえば、先週はヤフーもまた子会社を通じて仮想通貨事業者のビットアルゴ取引所東京に20数億円を出資し同事業に参入すると表明している。コインチェックに対してこちらはまだ営業も開始しておらず顧客基盤も無いハコへの対価として高い買い物ではないかとの意見もある。

いずれにせよ仮想通貨の時価総額を考えるに交換事業は多くの手数料収入が見込め旨みのあるビジネスともいえるが金融庁が改正資金決済法を施行しちょうど1年、決済手段より投機として育った部分がより表面化した背景が見え隠れするが、斯様にITや証券の大手を軸に業界再編も加速し次の成長を模索する段階に入って来ている。


世界が欲しがる匠

本日は木曜日で和風総本家の放映があるが、先の日曜日付けの日経紙には「日本製はビーズ界のロールスロイス」と題して、2016年〜2017年の秋冬オートクチュールコレクションで登場した伊アトリエヴェルサーチのドレスで使われたビーズを例にあまり名も知られていない企業の隠れた日本製の高品質を謳った記事があった。

このビーズに限らず上記のヴェルサーチのようなハイブランドから引き合いがある例としては、和歌山の山奥に潜むアクリル製のフェイクファー製造会社もまた然り。以前に当欄でアニマルフリーの波と書いた事があるが、それらを背景に先陣を切ったグッチやルイヴィトンなどからオファーが殺到しているという。

冒頭のビーズは匠の管引き作業によって生み出される旨が書いてあったが、このフェイクファーも10年かかったという僅か0.3ミリの針で丸く等間隔に植え付ける匠の技術が世界を代表するハイブランドの目に留まった。この手の素材は中国製もまた出荷量の多さを競うが、日本製は中国製より単価が5〜10倍するもののハイブランドからの引き合いは挙ってある。

同紙の末尾では出荷の大半を輸出が占めるという国内需要の少なさが泣きどころと書いてあったが、こうしたハイブランド向けに限らず一般モノでもかっぱ橋の調理器具等を目当てに世界中から顧客が殺到している。高品質を国内に謳うのが後手に回っていたとの指摘もあるが、昨今は製品アピールも逆輸入の様相を呈しているか。


劇薬の処方

本日の日経紙経済面には「劇薬の緩和策重いツケ」と題して、黒田体制で2期目がスタートした日銀のETF購入という劇薬にも似た金融緩和政策のランディングへの懸念が書かれていた。これまでの過程で購入額を倍増させて以降株価の値位置は切り上がってきたが、日銀としては現状の購入ペースを維持する構えとなっている。

日銀が保有するETFの残高は昨年末公表の4〜9月期決算で20兆円を超えた事が報じられていたが、先月の株安で月間購入額は最大を記録した影響もあって先月末の段階で含み益も合わせて約24兆円となっているがこれは株式市場全体の4%弱にのぼり、現状の購入ペースが継続されればこれが5%を握るまでになると試算されている。

また上記昨年の時点で自己資本8兆1銭億円に対して保有ETFの時価は約2.5倍となっていたが、これも現状の購入ペースが継続されれば19年末の保有残高は日銀の自己資本の4倍強になると試算されている。斯様な構図からその危うさを指摘する向きは多いが、2%の物価上昇の大義名分を掲げ劇薬の処方はまだ続きその出口戦略はまだ誰も想像出来ない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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