W杯経済効果

さて大金星発進となった1次リーグH組で勝ち点4の日本代表がいよいよ今晩最終戦の地ボルゴグラードで、決勝トーナメントをかけ世界ランキング8位の古豪ポーランドと対戦する。勝利か引き分けとなると自力では2大会ぶり3度目の決勝トーナメント進出が決まるだけに各所での盛り上がりも一入である。

ところでこれだけのビッグイベントとなるとその経済効果の方も気になるところだが、初戦のコロンビア戦での勝利ではマーケットの方も半信半疑?で日経平均こそ急反発したものの個別ではそう目立った物色も無かったが、セネガル戦後では日経平均こそ下落したものの個別はその水準を切り上げるなどジワジワと反応を見せてきている。

大手シンクタンクによれば1986年以降のW杯優勝国は優勝した年のGDP伸び率が前年実績と比べ平均3.2ポイント高で最低でも0.9ポイントの伸長を見せているというが、先ずは今晩の戦いで決勝トーナメント進出ともなればベスト16入りした2010年の南ア大会同様の215億円の経済効果を生み出すと言われているだけにこちらの関係者も含め今晩の戦いも目が離せないこと必至だ。


物言わぬ株主

本日の日経平均は後場に入ってから日銀ETF買い入れ思惑で一時前日終値近辺まで戻す場面が見られたが、日銀のETF購入といえば本日の日経紙一面には「企業の4割、日銀が大株主」と題し、日銀ETF買い入れによってその保有残高は時価25兆円に達し、3月末時点で上場企業の約4割で上位10位以内の大株主になったとの旨が書かれていた。

うちイオンなど5社に至っては実質的な筆頭株主にまでなっている模様だが、文中には「企業にとって日銀は注文の厳しくないありがたい株主」との一文が見られた。しかしアクティビストの対で物言わぬ株主が大株主や筆頭株主という構図はまさに昨日も触れた従前通りの株式持ち合いの構図と同様にも見える。

安定株主の傘に守られている企業は旧態依然のガバナンス姿勢が抜けていない可能性も高いというが、経営陣の暴走防止の観点から外部チェックの目を光らず必要性も出てこよう。株主総会ピークを明日に控えコーポレートガバナンス・コードの重要性が彼方此方で謳われてはいるものの、ガバナンスという点でこうした部分は問題があるといえるか。


残る総会集中

株主総会に触れた昨日であったが、本日の日経紙マーケット面には「集中日に総会株価低迷」と題し、総会ピークを迎える今月に総会を開く東証一部の企業対象にPBRを調べたところ、集中日に総会を開く企業はそれ以外の日に総会を実施する企業よりもPBRが低いという旨が書かれていた。

ちなみに今年の集中日である明後日に開く企業は同紙によれば30.8%という事だが、会場確保等の都合もあってデータがある1983年以降で最低だった昨年かの29.6%から上昇した模様。しかしかつて総会屋がまだ横行していた一昔前には株主総会開催日が極端に集中しており、東証によれば1995年の集中率など実に96.2%に達している。

それから90年代後半にかけて総会屋の影響力が薄れ上記の通り近年では随分と特定日への集中率も下がってきたが、それでも未だこの部分については旧態依然な光景が存在している。冒頭の例でも株式持ち合い問題から基準日問題など株主との対話を深めるにはいろいろと未だ改善の余地がありそうだ。


株主総会2018

さて、今年の株主総会はいよいよ今週にピークを迎える。今年はこのピークを前に1日には東京証券取引所がコーポレートガバナンス・コードを改定、柱として政策保有株削減や取締役の多様性確保等が明記され個別議案への賛否を開示し始めた投資家は一段と厳しい目で企業の統治状況をチェックするところが焦点となる。

そうした事もあって6月に総会を開く企業で株主提案を受けたのが今年は過去最多の42社に上ったようだが、昔と違って保有割合という数での勝負ではなく企業価値向上に繋がる提案を出せば他株主の賛同を得られ易くなる時代になってきており、単に会社提案を承認する場から様変わりしつつあるといえよう。

斯様にかつて日本の特異な形態の一つとして有名であったシャンシャン総会も今は昔、15年の企業統治改革元年からはや3年で総会は今や企業統治そのものが問われる真剣な議論の場となったが、会社と投資家の合意点を如何に探るか統治新時代の模索は今後も続いて行くことになろうか。


メルカリ上場

さて、今週のマーケットでビックイベントといえばやはりフリーマーケットアプリで国内最大手メルカリのマザーズ上場だっただろうか。上場当日の大手紙には大きな全面広告が出ていたが注目の初値は公開価格を66.7%上回る5,000円で形成、その後一時ストップ高まで買われた後は5,300円と陽線を立てて引けた。

過去この手の知名度が抜群なIPOといえばLINEが思い浮かび同じ上場延期組でも前者は成長ピークを過ぎてからのIPOであったが、こちらは未だ成長途上の分だけLINEを凌駕していると言ってもよく、足元の赤字を跳ね退け日経平均が400円以上も急落する中ストップ高まで買われたのも説明が付くとの意見も多かった。

その圧倒的な知名度を誇るユニコーンであっただけに国内の応募倍率は50倍超ともいわれたが、公開価格決定と共に投資家需要から海外向け公募株数を増加させたが注目すべきはこちらも20倍超となったという事。上場後の株価は続落模様となっているものの、時価総額1兆円が先ずはターゲットゾーンとの見方も一部に出ている。

IPOといえば本日はログリーが公開価格の約2.倍で初値を付けたが、IPOインデックスも目下のところ12年ぶりの高値圏にある。個人は初値売りの小遣い稼ぎが多い一方、対して海外勢は中長期の投資スタンスを取るケースが多いだけに上記の通り海外勢の注目を惹き付けたユニコーン企業のIPOは日本市場の重要な試金石となり今後もその動向から目を離せない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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