幻のMBO

さて、昨日の日経紙には「マスク氏、誤算の17日間」と題して、先週末に米テスラがこれまでツイッター等で明かして来た1株あたり420ドルで買い付けるという株式非公開化の計画を撤回すると発表した旨が出ていた。SECの調査入り等で暗雲が漂っていたとはいえ、世界的な金利低下の下でのカネ余りの昨今だけにいかにもありそうな話だったが果たしてという感じか。

結局このドタバタ劇ではポジション維持に耐えきれなかったカラ売り筋の一掃が叶った程度であったが、ともあれ実現すれば約8兆円規模と世界のMBOとしては最大規模の案件は幻に終わった格好。資本市場に背を向けようとした今回の一件が市場規律の緩みを助長しないか危惧されるところでもある。

ところで斯様にMBOを目論む向きあればMBOから再上場を目指す向きもある。国内ではアパレルのワールドが東証から再上場の承認を得て13年ぶりに再上場を目指す運びとなっているが、MBO時から業界を取り巻く環境は一変しているのは否めない。一頃は株式投資の世界でもその存在が有名になった同社、今回の再上場でその采配が悪環境の元で如何に振るわれるのか注目される。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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