体操問題に想う
さて、先月からコーチの暴力沙汰に端を発し問題になっている塚原夫妻による体操界のパワハラ問題だが、宮川選手の会見に始まり関係者らによるメディアでの釈明が順次行われている。私も曲がりなりにもかつて器械体操でインターハイ出場まで経験した者としてこの問題を興味深く日々注目している一人である。
しかし今年は会場を使わせないなどでオリンピック四連覇達成の伊調選手へのパワハラが問題になったレスリング問題、日大アメフト部の反則タックル問題、そして所謂「奈良判定」で問題になった日本ボクシング連盟と立て続けにスポーツ界の闇の部分が炙り出されていたが此処へ来て果たしてというか体操が出て来た感じがする。
今回の問題を見るに、反則を強いられた日大の選手がアメフト界から身を引く覚悟で記者会見をしたのと同様、人生で一番の勇気を出して臨んだという宮川選手の記者会見に始まり、練習会場を使わせてもらえなかったレスリングよろしくNTCの使用制限が明るみに出て、ボクシングの奈良判定よろしく審判団採点に疑義が呈され出場選手の半数以上がボイコットする事態となった91年の全日本選手権の黒歴史までまさに今年出て来たスポーツ界の闇のデパートのようだ。
とはいえ渦中の塚原氏は五輪3大会で金メダル5個を獲得、なんといっても現在のあらゆるバリエーションの高難度の技の元となった「ムーンサルト」や「塚原跳び」を開発した人物で、我々器械体操をやっていた者としてはレジェンド的存在なだけに残念でならない。斯様に器械体操を日本のお家芸にした立役者だけに、常識で考えれば歪な構図に映る協会の実質トップに君臨しながら自身で巨大クラブも有している部分も黙認されてきたのだろう。
器械体操という他とは特異なスポーツの練習をまるで解っていないニワカ素人がTVで暴力部分だけを取り上げ連日偉そうにコメントしているのにも本当に辟易するが、それはさて置いても利権も絡む大人の事情で、女子で唯一彼女しか出来ない大技を持っている貴重な選手等がこうした問題で潰れつつあるとしたら本当に悲しい話で今後の展開も引き続き注目しておきたい。