価値創造
さて、今週は「落ち穂拾い」などで有名なフランス人の農民画家ミレーの世界有数の収蔵を誇る山梨県立美術館が70点目となる幻の作品を購入した事が話題になっていたが、絵画といえば毛色は違うがもう一つ最近話題になったのは競売大手ササビーズのロンドンを中心に活動する覆面芸術バンクシーの絵画オークションか。
同アーティストの作品としては史上最高に並び日本円にして約1億6千万円近くで落札されたのも束の間、直後に額縁に仕掛けられたシュレッダーで無残にも裁断がスタートしたというもの。事情を知らぬ参加者で埋め尽くされた会場は騒然となったが、後に更新したインスタで自身がシュレッダー仕掛けた事を公表するネタばらしとなった。
ササビーズはこの演出を事前に把握していたかどうか明らかにしていないがこの珍事、加えて氏は「ピカソ曰く破壊の衝動は想像の衝動でもある」とし作品を破壊するまでが創作活動だという捉え方もあるという。「赤い風船に手を伸ばす少女」または「少女と赤い風船」と題したこの絵画、気になるその後だが果たして裁断された事によりその価値は更に増し200万ポンド(約2億9,900万円)の値が付く可能性があるという。
規約では落札した作品に傷がついた場合、落札者は買取を拒否する権利があるというが、上記の理由もありで落札者は購入意思を変えることは勿論無いという。今後何所で登場するのか全く未知数ながら、今回の件で一段と有名になった同アーティストの作品が本邦勢含めまた世界の資産家に狙われる事になるのは想像に難くないか。