2018年彼是

さて、本日の日経平均は1,000ドル超と過去最大の上げ幅を演じた米株式を受け、1,000円超の急落と今年最大の下落率を演じた昨日から一転して今年最大の上げ幅を演じた。先々週にはスパークス・アセット・マネジメントが発表した平成最後の日本株相場を表す今年の漢字で「乱」がトップに選ばれた件を書いたが、まさに最後まで乱高下に見舞われる株式市場である。

一方でこれとほぼ同時期に発表された一年の世相を表す毎年恒例の今年の漢字には「災」が選ばれることとなった。上記の相場を表す「乱」も一昨年に一度選ばれているが、こちらの「災」も2004年に一度選ばれている。この時は観測史上最多の台風が上陸した年だったが、今年は北海道や大阪を襲った地震や台風上陸に西日本豪雨、記録的な猛暑とまさに災害続きの年であった。

そんな今年もあと5日、来年は英のEU完全離脱や米中・米朝関係も引き続き気になるところであるが国内でも元号が新元号に改元、また消費税が10%へ引き上げ等々さらなる大変化が待っているが、来年は「災い転じて福と成す」となるのかどうか期待を込めて今年は筆を置きたい。

本年もご愛読ありがとうございました。
どなた様もよいお年をお迎えください。


おせち彼是

この時期は昨日のふるさと納税と共にお正月のおせち料理の予約等も終盤戦とあって百貨店などではどこも大賑わいを見せているが、おせちといえば先の日曜日の日経紙には「おせち食材 懐に厳しく」と題して、毛ガニやタコなどの水産物から黒毛和牛、果ては里芋までその材料が高騰している旨が出ていた。

確か昨年の今頃もサケの不漁続きでイクラが30年ぶりの高値水準にあり、健康志向の高まりで鶏肉も高くおせち作りには厳しい旨を書いた覚えがあるが、上記のカニ類などは予てより懸念されていた通り特にそれが顕著でズワイは内外で明暗を分けているものの輸入価格は5年で2倍、タラバや毛ガニも一寸前の値札が恋しくなるほど上がっている。

送られて来るおせち案内なども見ているとこれに便乗して粛々と強気な値上げをしている向きも一部ありヤレヤレという感じだが、それは兎も角も毎年の如くその傾向が話題になるおせちは昨年あたりからインスタにあげたくなる犬用のモノから、近年のクリスマスケーキでも見られる所謂お一人様用など多様化している。斯様に伝統モノの変遷が近年著しいがいずれ原点回帰となるのだろうか。


税偏在への不満

はやいもので本日はもうクリスマスだが、師走ということでふるさと納税も駆け込み需要的に申し込みが相次ぎ人気の品など品切れ中の札がやたらと目立つようになっている。今年も何度かこのふるさと納税を取り上げたが、総務省も昨年4月に続いて今年4月の通達を経て来年は基準を守らない自治体はいよいよ制度の対象から外す意向だ。

これまで総務省が条件とする地場産品そして寄付額3割以下の2条件から共に外れ調査にも無回答であった自治体の会見を先月に見掛けたが、総務省の聞く耳を持たないという姿勢があまりにも傲慢に感じ、自治体潰しをされていると受け取っているとして逆にこの2条件の根拠に関しての説明を求める回答書を送付するなど徹底抗戦をあらわにしていた。

この自治体は早期健全化団体の過去があるだけに同制度には想いも一入だろうが、ここに限らず他にもアマゾンのギフト券や5割相当旅行券など総務省意向から逸脱している自治体はまだあるが、確かに特に地場産品を持たない自治体からすれば公平性に疑問符もあるなかで一括りのルールで嵌め込めばやはりこういった問題が自ずと出て来るのは想像に難くない。

また今回の本腰を入れた規制でふるさと納税バブルがいよいよ弾けた場合、これまで返戻品バブルで一気に雇用を増やし設備投資も拡大させてきた逆回転が中小企業を直撃しないかも大いに懸念される。このまま手打ちせず来年はふるさと納税から撤退する自治体が出るや否やだがいずれにせよいよいよ来年は最後の返礼品駆け込み需要が起こるか。


消えたプラダのOtto

さて、今月アタマには伊「ドルチェ&ガッバーナ」が中国向けに流した広告動画が中国を侮辱していると物議を醸し出し大炎上となったが、今週は同じくイタリアのハイブランドである「プラダ」が販売したキャラクター製品が黒人を侮辱しているとの批判が高まり急遽同ブランドがこの製品の販売を取りやめる一幕があった。

噛み付いたのがNYの敏腕弁護士だっただけにこれまた炎上素地満載であったが、この製品は先月に発売されたクリスマス向けの商品プラダマリアのキャラクターの一つオットなるもの。顔を黒く塗るブラックフェイスが黒人に対する侮辱行為なら顔を靴墨で黒く塗ってステージに立っていた某グループも今なら大変な騒ぎになろうが、リスペクトを立証する境界線も非常に難しくナーバスな問題になって来た。

ブランドリリースではこのOttoなるキャラクターは猿をイメージしているとしていたが、猿で炎上したのはこのプラダに限らず対極のファストファッションのH&Mもキッズ向けのスウェットで最高にクールなジャングルの猿と英語でプリントされた商品を黒人少年のモデルに着せて炎上した件を思い出した。

直近でドルガバが数時間で巨大マーケット失った前例があっただけに、この火消しには躍起になって該当商品が撤去されるまでに得た収益はニューヨークに拠点を置く反人種差別団体に寄付するという徹底ぶりだったが、重ね重ねファッション業界も独自の創造以前の問題で文化や多様性等を先ず初めに考えなければならぬ時代に入っているようだ。


安値引けの船出

昨日末尾で、「とりわけ明日のソフトバンクはいろいろな意味で注目されるところである。」と書いたシフトバンクが本日はれて上場となった。兎に角マーケットからの吸収額は約2兆6400億円と過去最大IPOであったが、その注目の初値は公開価格1500円を2.5%下回る1,463円となり引けは14.5%下回る1,282円とある程度予想されていたとはいえ低調なスターとなった。

しかし今回のケースはまさに災難というかファンドでタッグを組んだサウジの皇太子も例の事件で国際的なザワつきに遭うという悪地合いのところに、大量に機器を導入しているファーウェイ社の副会長逮捕、時を同じく挙げ句には大規模な通信障害がブックビルディングを挟んで勃発とまさに逆風下でのIPOとなった。

そういった意味ではこれでも初値はなかなか健闘したともいえるが、この寄り値で異様な纏まった指値が這わされていた背景もいわれ主幹事絡めいろいろな思惑も出ていた。ともあれただでさえ親子上場の批判が燻るなか今後はこれを踏まえた高水準のガバナンス体制と併せ成長シナリオをどう描いて行くか、この辺が投資家の裾野を広げる意味でも焦点となってこようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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