今年は東北東

来る日曜日は節分だが、先々週あたりから各所で恵方巻の試食を勧められる事が多くなり、今年もまたこのシーズンが来たなと改めて感じる。恵方巻といえば近年はノルマや売れ残り余剰商品の大量廃棄等が社会問題になりつつあり、一部のスーパーで出した「もうやめにしよう」との意見チラシも話題になったのを思い出す。

さてその実態はというとミツカンの調査によれば恵方巻を食べる人の割合は直近では15年がピークで、昨年は61.1%と3年連続で前年を下回るなど微減傾向にあることが発表されている。やはり習慣として根付いているのか西日本が高い傾向にある模様だが、ちなみに私の周りでは豆撒きはやっても毎年恵方巻を食べる向きは皆無である。

こんな事もあってか今年は農林水産省が日本チェーンストア協会など流通業界に対し恵方巻の作り過ぎを控えるようにと異例の要請をするまでになったが、結局のところはスーパーやコンビニの商戦が過熱する一方でその需要が追い付いていないというところだろう。他に蒲焼等も問題になった事があるが食品ロス問題でナーバスになっている昨今、商材を特定して要請するような動きは今後まだ出て来る可能性は高いか。


新形態対応

本日の日経平均は反落となったが、その一因にもなったのが東証マザーズ市場の総崩れか。周知の通り昨日から同市場でダントツの時価総額を誇っていたサンバイオが、新薬開発で地検結果が主要項目を達成出来なかったとの発表で急落した影響で他の創薬ベンチャーも総崩れ、先物は昨日引け後に続いて前場にサーキット・ブレーカーが発動された。

またメルカリやミクシィなどの超高寄与度にまで波及した事でマザーズ指数は取引時間中として15日以来となる900割れまで崩れたが、同指数先物のサーキット・ブレーカーが発動されたのは前回が昨年2月のVIXショック時であるから、改めて新興モノに集中した信用絡みの個人マネーの巻き戻しの怖さを見た感じである。

ところでサーキット・ブレーカーといえば、HFT業者など新たな投資家の存在感が高まっている事に対応し東証は連続的約定気配を見直した制度を年末にも導入する方向だ。同時に大引時売買の成立値幅拡大も検討しているというが、上記の時価総額偏重や急増するHFT業者の台頭等々それに対する対策も都度要求されるマーケットになってきた感がする。


投資案件としての車

昨日たまたま見掛けたWBSでは「スーパーカーが売れるワケ」と題し、国産車が苦戦するなかで超高級クラスの所謂スーパーカーは特に好調な売れ行きを示している旨をやっていた。中でも高級中古車市場の盛り上がりで、元々5,000万円前後で販売されたフェラーリのF50が今や6倍の約3億円で流通している等の例が印象的であった。

これを解説していたのは希少車のオークションを開催している業者だったが、生粋の愛好者というより最近では世界中で投資対象として捉える傾向になってきているという。そういえば先月も大手中古車チェーン店舗をフランチャイズ運営している会社が、フェラーリの売却益を隠すなどで脱税したとして関東信越国税局から法人税法違反容疑で告発された事件を思い出したがなるほど合点がゆく。

真っ当な向きの商機としてもSMBC信託銀行では富裕層一族との取引拡大や富裕層の人が経営している会社の仕事にも携わっていければとの思惑もあり、超富裕層を対象に「高級車信託」なるサービスを展開し始めた旨も紹介されていたが、コンサル大手ナイト・フランクによる調査でもここ十年でワインやコイン等の値上がり率を大きく上回ってきているだけに今後も新ビジネスの商機となりそうだ。


外れ無き案件

今月中旬に当欄では「アクティビストの捉え方」と題し物言う株主について触れたが、物言う株主といえば先週末の日経紙投資情報面には「東芝、株主攻防第2幕へ」と題し、東芝が大型増資で投資ファンドらから6000億円を調達してこの1年での株の売却状況で、増資によって新規発行した株式の約22.8億株の約5割程度が市場の内外で売却されている旨が出ていた。

東芝について当欄が触れたのは昨年7000億円規模の自社株買いを実施する方針が伝えられた時だったが、当時は部にこれが売却促進政策思惑も出ていたが果たして今回の売却では先月までに引き受けの殆どを売却した向きは、何れも単純利回りにして約2割の売却益を得てのイグジットとなった模様。

もともと増資自体が有利発行ギリギリの水準とはいわれていたなかで、同紙に出ていた主なファンドリストの中にあったサードポイントは実質1週間程度でこれを捌き、日経紙のリストに出ていない向きでは僅か4日程度で実現益を手に入れたファンドもあった。一方で旧村上ファンド系のエフィッシモ等は保有を続けており攻防第2幕云々と日経紙で書かれているものの、株価も上記自社株買い効果で嵩上げされており何れにせよ美味しいハコであったというところか。


真贋は如何に

さて、当欄でも昨年10月に「価値創造」と題しロンドンを中心に活動する覆面芸術家バンクシーについて触れた事があったが、今週アタマには英西部ウェールズに昨年出現したこの芸術家による環境汚染を風刺した壁画をロンドンの画廊が最低でも10万ポンドで買い上げた旨の報があった。

サザビーズのオークションでは落札と同時にシュレッダーで裁断する演出から上記の環境汚染を風刺した壁画を突如出現させるなど依然として世間をザワつかせているバンクシーだが、そんななか同氏の作品に似た絵が東京港区の防波堤で見つかったとして都は早速描かれた部分を取り外しその真贋を調査する考えを明らかにしている。

いよいよバンクシーの作品が東京にも出現かと話題性十分で、都知事も浮かれて自身のツィッターで東京への贈り物かも?と写真をあげたところ公共物への落書きを容認するのかと早速軽い炎上となっているが、それは兎も角も今後どういった方法で真贋確認するのかまたその結果は如何にとしばらくはワクワクさせてくれそうだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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