逆鱗
さて、「逃亡犯条例」改正案をきっかけとする香港での大規模デモが過激化の一途をたどっているが、一昨日の日経紙・オピニオンではTシャツに「香港」を独立国のように表記した問題で中国から強い批判を受け7月にその販売を停止、8月に謝罪することを余儀なくされた伊ヴェルサーチが店の写真入りで出ていた。
これ以外にもヴェルサーチと同じように香港を中国とは別の国であるように表記したTシャツを販売したとして、米コーチや仏ジバンシィも相次いで大々的な謝罪に追い込まれているが、何れにせよ香港とその主権を巡る緊張がファッション業界にも飛び火した格好となったか。
この一件ではヴェルサーチのアンバサダーを務めていた女優のヤン・ミーが同ブランドに対し契約解除を申し出るに至ったが、アンバサダーが降りるなど中国人モデル達がショーをボイコットした昨年のドルチェ&ガッバーナ事件を彷彿とさせる一件だ。
ところで先にLVMHなど仏高級ブランド大手3社の2019年1〜6月期業績が纏まり3社共に前年同期比で2ケタ増を記録する結果となったが、いずれも牽引役となったのは中国である。アパレルに限らず中国市場を重視する外国企業ほど国家主権はじめ文化や多様性に関しては今後も一層の注意が求められようか。