ONE TEAM 2019

さて今年もはやホリデーシーズンだが、今週も米株式は連日の史上最高値更新を演じている。またダウ平均の年間上昇率も昨年末比で約22%高とこれまで最大であった17年を上回り過去最大となったが、アノマリーではダウ平均が20%上昇した翌年は7割以上の確率で上昇しその平均上昇率は9%という。

こうした事も背景となって日経平均も先週に年初来高値を更新、内需株群は10〜30年ぶりに高値を更新する銘柄が続出したが、今年流行った言葉とGDP成長率の関係を点数化して検証すると昨年から悪化し来年以降の景気減速を示しているという旨の記事を過日の日経紙で見掛けた。ちなみに今年のユーキャン新語・流行語大賞はONE TEAMであったが、はてそんなに流行ったかな?とあまりピンと来ないのが正直な印象。

これを含めたトップテンの中には令和も選出されていたが、今年で25回目となるその年の世相を漢字一文字で表す師走恒例の今年の漢字はこの「令」が選ばれている。ちなみに昨年は「災」であったが災い転じて福と成す年になったのかどうか?其々を振り返り東京オリンピック開催による各所への影響等々来年へ思いを募らせつつ今年はこれで筆をおきたい。

本年もご愛読ありがとうございました。
どなた様もよいお年をお迎えください。


高級食材事情

さて、おせち商戦も終盤となったが先の日経紙総合面には「冬の食材 今年は高め」と題し、このおせち等に使う野菜や水産物の高値が目立つ旨が出ていた。今年は台風や長雨による出荷減などが背景にあったが、昨日の同紙商品面でも温暖化の影響等でコンブの生産量も過去最低となる事がほぼ確定したとの記事あり、本日のTBS系ではイクラが高騰している報道ありで確かに主力のおちせ食材は軒並み高騰している。

昨年のちょうど今頃も当欄では水産物から和牛、果ては里芋まで材料が高騰している旨を書いていたが、前年比で辛うじて値下がりしたものも数年前比較では依然高止まりと庶民の懐に厳しい状況が続いており、カニなどは本当に普通の食材から高級モノへと片足を入れているような状況になってきている。

ところで料亭からホテルなどが出すおせちの定番高級食材にキャビアがあるが、これまで主流だったロシアなどからこのところ国産モノが続々と登場している模様。輸送問題が無いぶん塩分が控えめとなり魚卵本来の旨味が楽しめるが特徴というが、先に近大水産研究所など人工ふ化のチョウザメを全てメスにする画期的な実験に成功、将来的にはコスト低下に繋がる道筋が出来るなど食材総高騰の裏でこうした分野の日進月歩にも大いに期待したいところ。


解消加速の波

本日の日経紙一面には「親子上場解消が加速」と題し、親会社が上場する上場企業が先週段階で288社となり1年で15社減少と過去3年平均の6社減からその解消ペースが加速している旨が出ていた。事業の取捨選択のなかで資本関係を見直す例が増加、株主の目も厳しくなっている事もその背景にあるという。

親子上場に関しては当欄でも度々触れてきたが、今年記憶に残るのはやはりヤフーとアスクルの社長人事を巡るゴタゴタ劇だっただろうか。この辺に絡んで親子上場の弊害が看過出来なくなってきたと否定的報道が増えたが、確かに少数株主の利益が親会社の様々な意向一つで脅かされる構図は物議を醸すのには十分だろう。

そんな気運から社外取締役の比率を高めるなどの動きも盛り上がって来たものの未だそれが3分の1にも満たない企業があるなど課題は残るが、ガラパゴス化した斯様な商慣習も同記事の末尾にあったトヨタ自動車に見られるように上手く回して来た例も一方では存在するなどこの辺が一括りに出来ぬ難しいところでもあるか。


クラウドファンディング彼是

さて、先週の日経紙には「事業資金 クラウド調達」と題し、インターネットを通じて小口の資金を集めるCF(クラウドファンディング)が、個人やベンチャーだけでなく市場での調達が難しい上場企業も事業資金をこのCFで集めるなど急拡大している旨の記事があった。

この辺を裏付けるかのように11日に上場したクラウドファンディング事業のマクアケは公開価格を実に74.8%上回るロケットスタートとなった後も先週はストップ高を交えながら急伸し上場来高値を更新、本日も急騰しストップ高のまま引けていたが、当欄でも今年の春先に一度触れたようにふるさと納税でもガバメントクラウドファンディングが急増している。

直近では火災に遭った首里城再建の為ここ約2ヵ月弱で集まった寄付金は約17億円、そのうち実に約7億円はガバメントクラウドファンディングのふるさと納税だった。斯様にそのプロジェクト数は数年前から倍々ゲームとなっており、2015年の28から2016年は66、2017年は111、2018年は226で今年は240に達する見込みで寄付金総額も120億円を突破している。

この手は目標金額の倍を集めるモノあれば未達モノもあるが、国の予算とは違って早くて1ヵ月で寄付金が自治体に入るスピード感が魅力で、寄付募集期間の終了を待つことなく更に目標金額に達しなくても寄附金を受け取れるというところがポイントであり、今後の枝葉にまた注目しておきたい。


国税庁包囲網

さて先週末の日経紙社会面には「海外口座情報189万件入手」と題し、富裕層や企業による国際的な税逃れの監視に力を入れる国税庁が、海外の税務当局と金融口座情報を交換するCRS(共通報告基準)により2019年分として日本の個人や法人が85ヵ国・地域に保有する口座情報約189万件を入手したと先週に発表した旨が出ていた。

先に国税庁は昨年6月までの1年間に実施した所得税の調査結果を発表しているが、株や不動産などの大口所有者である富裕層に対する調査では85%にあたる4517件で申告漏れ等があり、その申告漏れ所得総額は763億円、追徴税額は203億円と前年度から15%増加している旨が発表されている。

脱税といえばチュートリアルの片割れ芸人も設立した会社が東京国税局から2018年まで約1億2000万円を所得隠しと申告漏れを指摘されまたも吉本がザワつく事態となったが、冒頭の件に絡んでは政府・与党が富裕層の海外に持つ資産について税逃れ対策を強化、今月纏めた税制改正大綱に盛り込み2020年度税制改正に反映する模様。

いずれにしろ昨年に当欄でこのCRSに触れた時点での口座情報が約55万件だったことを考えれば格段に情報増加が著しく、タワマンから高級外車をフィルターとしたモノからインサイダーや仮想通貨の金融モノまで容易に暴かれる時代になってきており当人が思っている以上に富裕層包囲網の世界は日進月歩となっているようだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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