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大化けする報酬

さて、米テスラCEOのイーロン・マスク氏が設立した企業である米スペースX社が開発した新型宇宙船「クルードラゴン」が新型宇宙船としては1981年のスペースシャトルの初飛行以来、約40年ぶりに無事打ち上げられた旨の報道が過日あったが、これまで官主導だった有人宇宙開発がこれで民主導に切り替わる第一歩ともなるか。

ところで同CEOといえば、2018年に承認されたテスラのストップオプション規定に基づき実に7億ドル超の成果連動型報酬を受け取る事が俄かに話題になっている。最初のハードルは時価総額1000億ドルで先ずはこれが達成となったが、この報酬体系承認を得た当時の時価総額は約530億ドルであったのを考えるに成る程といえる伸びであるのは否めない。

しかし同社といえばやはり2年前にはSECまで巻き込んだ幻のMBO劇の黒歴史?が記憶に新しいが、最近ではこのコロナ禍のなかCSRを地で行くべく人工呼吸器を生産し世界の病院に向け無償配布するなど精力的な活動も経て昨日は初の1000ドル大台乗せを達成、はや時価総額は一時1860億ドルにまで達し粛々と次のストックオプションのステージも睨み駒を進めている。


BLM

さて、米暴動の切っ掛けとなった白人警官による黒人暴行死事件への抗議デモは先週末に首都ワシントンで最大模化となった旨の報道があったが、多くのセレブやあの素性不明のバンクシーも人種差別をテーマにした新作をインスタで公開しこの抗議デモへの支持を示すなど収束の見通しは立っていない。

経済不安も背景にどさくさ紛れの略奪も横行しているが、そんな混乱を他所に株式市場の快進撃は止まらない。そんな全面高に紛れ銃器大手S&W等も大幅高を演じたが、こんな銃器ポストの物色といえばオーリンの史上最高値更新はじめ銃器物色に染まった米ラスベガスの銃乱射事件など記憶に新しく、またぞろVICEFUNDが息を吹き返しそうな勢いだ。

国内市場も昨今の北朝鮮情勢やら香港国家安全法を巡る混乱を背景に銃器大手豊和工業はじめ石川製作所や細谷化工などの関連物色があったが、SRIやらESG投資などの真逆?をゆくこの手の同時物色のカオスは破竹の勢いの市場との不気味な乖離感を際立たせるのに一役買っている。


ETF彼是

さて、先週末の日経紙総合面には「金ETF資金流入続く」と題し世界の金ETFが価値の裏付けとして保有する金現物の残高が1〜5月に計623トン増加し金額にして337億ドルの資金が流入、5か月間の流入量がこれまで最高だったリーマンショック後の2009年の年間量を上回るなど資金流入が止まらない旨の記事があった。

その量は先月末で過去最高の3,510トンとなりこれは世界の金鉱山の年間生産量に匹敵する規模というからその勢いも推して知るべしだが、ETFといえばもう一つ国内では日経平均のダブルインバース型ETFの投資口数がこの2カ月強で2.6倍に膨らむなど個人の逆張り投資姿勢に乗り人気を博している旨も同紙市場点描に出ていた。

逆張りの個人が群がったモノといえば直近では先の原油暴落時のETFがあるが、野村のインデックスなどその値段も当時の二桁から三桁に回復しはや5割高と刈り取るに十分な水準となっている。オプションのコールも然り、貸借倍率云々で逡巡するより先ず乗る勢いが奏功しているのが今の相場だが、冒頭の通り再びリスク資産と安全資産が並走する同時高も何所まで続くのか併せて見ておきたい。


時価総額下剋上

先週の日経紙投資情報面には「伊藤忠時価総額 初の商社トップ」と題し、伊藤忠商事の時価総額が2日に終値ベースで三菱商事を上回り初の商社トップとなった旨が書いてあった。背景には資源価格の急落で資源色の濃い三菱の先行き不透明感の強まるなか、生活関連ビジネスに強い伊藤忠が相対的に選好されたというもの。

ところで東証マザーズ指数が2018年12月以来、約1年半ぶりに1000ポイント大台を回復した旨を当欄では先に取り上げていたが、上記の逆転劇に先駆けこの東証マザーズ指数の時価総額も初めて東証2部を上回っている。こちらもまた伝統的な製造業の多い2部の先行き不透明感の強まるなか、新生活様式に対応した成長力が評価されるマザーズが選好された格好の表れだ。

しかしこの両ポスト、昨年末も当欄で「逆行と大義名分」と題し1部への移行に必要な監査法人の適正意見が付いた有報が2部は5年分など50年前から変っていない点など新興市場と比較するに旧態依然の様を書いたが、このコロナ禍の影響を受けた上場廃止基準等含め来る市場改革を見据えても新旧交代感が改めて意識されるところか。


コロナ便乗?

さて、ドラッグストア等では品薄だった商品も漸く棚に並ぶようになって来たが過日の日経紙総合面には「コロナ対策商品 違法表示横行」と題し、ネット通販でコロナウイルス対策を謳う商品の15〜20%がその根拠を欠く効能を表示するなど違法の疑いのある状態で大量に売られている旨の記事を見掛けた。

コロナ禍に商機を見出そうとする輩が居なくなる事は無くこの手はいたちごっこだが、一頃のマスクや消毒ジェルの高額転売のような露骨なモノは論外として、上記以外でも最近雨後の筍のように増殖しているファッションマスクの一部など明らかに非末防止という本来の目的から外れた素材や作りに対してその販売価格があまりにも不釣り合いな高額なモノが多く目に付く。

またソーシャルディスタンスに便乗した商品もまた然りだが、こういった光景を目にするに、以前にも当欄で書いたイタリアやフランスの有名ラクジュアリーファッションブランド勢による機に乗じて商売にすることなく医療関係へ無償提供した飾り気の無いマスクや防護服などの品々は本当に美しく見えて来るものだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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