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秋の逸品会2021

さて、今年の春に続いて「秋の逸品会」も御招待いただいたので先週末に冷かしがてらに会場に赴いた。「三越スペシャルコンテンツ」ではエントランス入って直ぐのブースに丸紅エアロスペースが取り扱うビジネスジェットなどの販売が行われていたが、ドアマンに案内されたパーキングの直ぐ隣でもコーンズ・モータースがロールス・ロイスやフェラーリ等々の最新モデルを一堂に集めての展示・販売を行っていた。

面構えが一段と厳つくなった?ゴーストの最新モデルも置いてありまさに芸術品とも思えるボディーを一瞥していたら、「ぜひ座るだけでも・・」と観音開きのドアを開けてお声掛け頂いたのでお言葉に甘え身を委ねてみたが流石に溜息の出る心地良さである。ロールス・ロイスといえば今年5月くらいに1~3月の販売台数が116年の歴史で最高を記録したと発表していたのを思い出したが、成る程ゆうに3,000万円を超す斯様なモデルが今年は前年比でほぼ倍増と飛ぶように売れているという。

他の高級車勢をみても国内ではJAIA(日本自動車輸入組合)によれば1~6月の上半期でフェラーリが前年比で30.2%増、ポルシェが同16.3%増、ランボルギーニが同12.9%増といずれもが統計のある1988年以降で過去最高を更新しており国内の日系メーカー8社の新車販売が11.2%減と落ち込んでいたのとは対照的である。

当欄では年初より「揺るがない富裕層」としてアートオークションから高級ブランドまで席巻しLVMHなど上半期純利益が前年同期比10倍を弾きだしている旨を書いて来たが、今回の展では超高級車市場も富裕層の消費意欲が不変なのを改めて目の当たりにした。今週は日経平均がとうとうバブル崩壊後の高値を更新してきたが、株高効果も背景に富裕層関連ビジネスは今後も更なる盛り上がりが続くのは想像に難く無いか。


ハイブランドも参入

昨日の日経紙・金融経済面には「NFT 著名ブランドに波及」と題し、先月の仏ルイ・ヴィトンのNFT(非代替性トークン)を活用したスマホ向けゲームリリースや、伊高級ブランドのドルチェ&ガッバーナも今月下旬から女性用ドレスや宝飾品、腕時計などのアート作品の競売をする予定などNFTがハイブランド群にも波及している旨が載っていた。

このNFTに関しては当欄でも5月頃に取り上げた事があるが、上記のヴィトンのゲームなど創業者の生誕200年を記念したプロジェクトの一貫といい、キャンドルを集めてゆくそのステージではヒーリング系のBGMが流れ森のいたるところにはヴィトンのモノグラムをあしらった花?が散りばめられているなどなるほど同ブランドらしい構成となっている。

D&Gの方はオークション開始価格など明らかにされていないが、その辺は兎も角もこの数カ月でも老舗のクリスティーズがNFTアートを扱ったり上記のように大手どころのハイブランドも挙って参入している。斯様に急速な広まりに資金もまた急激な流入を見せていることから随所で付くその価格も適正か否か疑問符が付くが、いずれにせよ黎明期だけに今後の枝葉には期待したい。


手枷足枷

先週の日経紙・グローバル市場では「米SEC 迫る判断の時」と題し、米でビットコインに絡みSECが先物連動型のETFに柔軟な姿勢を示している事を背景にビットコインに連動するETFの上場申請が相次いでいる旨が出ていた。既にCMEにビットコイン先物が上場している事から確かに可能性は高そうだが、それ以外の部分については依然として規制強化路線は不変のようだ。

先週もSECは米最大の暗号資産交換所を運営するコインベース・グローバルに対し、現在計画中の買い手に年率4%の金利が付く暗号資産関連商品「レンド」についてこれを導入した場合は提訴すると警告しており、これを受けた同社が同商品の導入を早くとも10月まで延期する方針を示した事でこれを嫌気した同社株価は下落の憂き目に遭っていた。

斯様に上場している限り甘んじて受け入れなければならない件は数多あるが、本邦は価格変動の大きさや企業収益の安定性を問題視し東証が仮想通貨交換業者の上場審査自体を受け付けておらず、ナスダック市場で約6兆円の時価総額を誇るコインベースは羨ましくも映る。斯様に主要市場への上場機会一つ取っても手枷足枷だが、上場カードを持てない日本は自ずと資本再編を模索しなければならない環境下にあり改めて日米の土壌の違いを感じる。


初の銀行対象敵対的TOB

さて、先週にも取り上げたがこのところ関西スーパーマーケットや道路舗装最大手のNIPPOなどTOBの発表が相次ぎ、先週は対象銘柄が軒並みTOB価格にサヤ寄せする急騰を演じていたが、これらに続いて前回の当欄でも少し触れた通りSBIホールディングスが新生銀行の株式を大幅に買い増すべくTOBを実施すると発表している。

これを受け同社の株価はTOB価格にサヤ寄せすべく、先週末の比例配分のストップに続いて週明けの本日も大幅続伸し年初来高値を更新して引けている。旧長銀の新生銀行といえばかつては旧日債銀のあおぞら銀行との合併を目指していたもののこれが破談に終わった経緯もあったが、こちらも再編思惑の再燃か揃って年初来高値を更新していた。

同行も米投資ファンドのサーベラス支配が長らく続いていたが、破談劇からもう11年である。それは兎も角もこれまた先週書いた関西スーパーマーケットの例に見られるように従前は友好的な立場を築いていたものの、今回のケースのように競合証券会社との提携など信義にもとる?行為から何れもTOBに踏み切られているケースが多い。

先週末の発表前から2営業日で3割超の急騰とはいえ同行のPBRはそれでも未だ0.45倍程度、非上場となれば公的資金の絡みから金融庁も期待が膨らむというものだが、その金融庁は既に先週末SBIに対して新生銀行の主要株主認可を出している。同意なきTOBと喧しい展開で、同行は週内にも質問状を送付する運びだが先ずは今月中に明らかになる諾否の行方を見たいところ。


市場に問う

さて、既に先月末でエイチ・ツー・オー リテイリングの傘下企業と経営統合を発表している東証一部の関西スーパーマーケットだが、先週末には同社に対し同じく同社の大株主でもあるディスカウントスーパー・オーケーが買収提案する事を決めた旨が報じられている。これを背景に先週末に終日買い気配で売買が成立しなかった同社株は、今週TOB価格にサヤ寄せする格好で週明けから連続ストップ高の急騰を演じ上場来高値を更新していた。

この報で思い出すのが、先に当欄でも取り上げたDCMホールディングスによる同業の島忠に対してのTOB実施中のところに対抗する形で家具大手ニトリが参戦した件か。結局は愛の力よりカネの力の方が勝った?か鳶に油揚げを攫われる形で同社を手中に収める結果となったが、こちらは5年超しの因縁で予定している経理統合も株式交換という事で全く同じ構図では無いもののこれに劣らぬ争奪戦である。

スーパー業界といえばこのコロナ禍の巣ごもり消費で足元では好調に見えるものの、上記のホームセンター業界よろしく少子高齢化で出店余地が限られるなか競争が激化、加えてネット通販勢との競争も激化しEC対応の投資も課題となるなか、先行したイオンなどに見られるようにこちらも再編の機運が広がっているのが現状だ。

しかし先のニトリ然り今回のケース然り、また本日もSBIホールディングスが新生銀行にTOB実施の報が飛び込んで来たが、最近は上場企業間でも従来は禁忌とされてきた敵対的TOBを積極的に打って出るケースが本当に目立つようになってきた感がある。昨年の島忠を巡る争奪戦では、結納まで済ましていた両者の縁談を途中から参戦したニトリが白紙にして結局同社を手中に収める結果となったが、今回の参戦劇でも撤回意向は無いとしている関西スーパーの心変わりはあるや否や今後も注目が怠れない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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