市場に問う

さて、既に先月末でエイチ・ツー・オー リテイリングの傘下企業と経営統合を発表している東証一部の関西スーパーマーケットだが、先週末には同社に対し同じく同社の大株主でもあるディスカウントスーパー・オーケーが買収提案する事を決めた旨が報じられている。これを背景に先週末に終日買い気配で売買が成立しなかった同社株は、今週TOB価格にサヤ寄せする格好で週明けから連続ストップ高の急騰を演じ上場来高値を更新していた。

この報で思い出すのが、先に当欄でも取り上げたDCMホールディングスによる同業の島忠に対してのTOB実施中のところに対抗する形で家具大手ニトリが参戦した件か。結局は愛の力よりカネの力の方が勝った?か鳶に油揚げを攫われる形で同社を手中に収める結果となったが、こちらは5年超しの因縁で予定している経理統合も株式交換という事で全く同じ構図では無いもののこれに劣らぬ争奪戦である。

スーパー業界といえばこのコロナ禍の巣ごもり消費で足元では好調に見えるものの、上記のホームセンター業界よろしく少子高齢化で出店余地が限られるなか競争が激化、加えてネット通販勢との競争も激化しEC対応の投資も課題となるなか、先行したイオンなどに見られるようにこちらも再編の機運が広がっているのが現状だ。

しかし先のニトリ然り今回のケース然り、また本日もSBIホールディングスが新生銀行にTOB実施の報が飛び込んで来たが、最近は上場企業間でも従来は禁忌とされてきた敵対的TOBを積極的に打って出るケースが本当に目立つようになってきた感がある。昨年の島忠を巡る争奪戦では、結納まで済ましていた両者の縁談を途中から参戦したニトリが白紙にして結局同社を手中に収める結果となったが、今回の参戦劇でも撤回意向は無いとしている関西スーパーの心変わりはあるや否や今後も注目が怠れない。


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