焦眉の急のお家芸保護
先週末の日経紙一面を飾っていたのは、自治体や地域の農協が付加価値の高いブランド作物を生み出そうと積極的な品種登録を進める動きが顕著化、2021年9月末時点での有効登録数が1994年度の産出額ピーク時から2.9倍に拡大した旨の記事であった。新潟の米に栃木のイチゴ、北海道のメロンなどいわば各地のお家芸に特化し他産地との明確な差異化に拍車がかかる。
こうした動きの一方で毎度問題にされるのがこうした努力の結晶でもあるブランド種苗などの海外流出問題か。昨年の秋口には韓国で大手メディアによる「シャインマスカットは韓国が栽培と品質管理技術を確立した」と耳を疑うような報道があったが、同国のデパートでは石川県限定栽培のはずのルビーロマンが韓国産として売られ、また山梨県限定のジュエルマスカットも韓国産として売られるなど特にブドウは韓国の盗作?が依然として目立つ。
先に財務省が発表した貿易統計速報によると今年1~11月の農産物・食品の輸出額が1兆633億円となり政府が目標としてきた1兆円を初めて超える事となった。政府は2025年に2兆円、2030年に5兆円の輸出額目標を掲げているが、今後米中など8つの国や地域の主要都市に輸出支援のための専門組織を設置、輸出業者などに向けて現地の法規制などに関する情報提供などを強化するという。
今後強化してゆくブランド農産物も出て来るだろうが、依然として上記の韓国や言わずもがなの中国が大手を振ってコピーを大量生産し廉価販売の流通体制まで既に確立されている現況下で昨年の改正種苗法など遅きに失した感さえある。とはいえ曲がりなりにも一歩前進という事で、海外での品種登録はじめより確実なブランド保護は今後も引き続き喫緊の課題か。