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中間評価

記録的な物価高のなか迎える事になる参院選が本日公示され、来月10日の投開票に向けた18日間の選挙戦がスタートした。総務省では午前から比例代表名簿の届け出が始まり、1人区中心に野党候補が競合した事などを背景に果たして27年ぶりに500人を超える545人が届け出る事となったが、女性比率が3割を越え過去最高となったというのもまた注目すべき点でもあるか。
   
政権の安定に向け参議院での過半数を目指す与党と、反転攻勢への足掛かりにしたい野党が選挙戦を繰り広げることになるが、最大の争点となる物価高対策はじめ安全保障、憲法改正等々が争点となる。昨日は党首討論会が開かれ本日は物価・賃金・生活総合対策本部の初会合が開かれたが、節電に応じたポイント付与等なんとも微妙な発表が為されている。

先日のフランス総選挙での決選投票では進行する物価高騰で有権者の不満の矛先が与党に向った格好となり、与党連合が第一党を維持するも過半数を大きく割り込むこととなった。衆院選よりも関心が薄い?といわれる参院選はその投票率も気になるところだが、何れにせよ2021年秋に発足した岸田政権の信任を問う国政選挙となるだけに注目したい。


日銀VSヘッジファンド?

昨日報じられた件には日銀の国債買い入れ額が先週に約10兆9千億円に達し、その前の先々週の約2兆3千億円から急増した事が明らかになった旨があった。言わずもがな世界的な利上げラッシュに連れて日本の長期金利が上昇しないようにするための施策だが、この大量購入で日銀の国債保有残高の伸びが再度加速し金融政策の正常化がまた一歩遠のく懸念も出ている。

昨日も書いたように欧米の中銀が挙って利上げに動くなか日銀の独自路線が鮮明になっているが、世界の債券利回りが上昇するなかこうした世界の金融当局の方向性に反する政策で、円安によるインフレがいずれ日銀を政策修正に追い込むとみたヘッジファンド勢が日本国債売りに動いている件も彼方此方で報じられている。

さながら日銀VSヘッジファンドという対立構造を見ているようだが、規模の違いこそあれあのジョージ・ソロス氏が英イングランド銀行にポンド売りで挑んだ一件が思い出される。現状日銀としてはここで政策修正に及べば中央銀行としての信認が問われこの円安よりも払う犠牲が大きいのは想像に難くないが、何れにしろ軍配がどちらに上がるのか引き続き注目だ。


利上げドミノ

周知の通り米FRBは歴史的な物価高を抑える為に先週のFOMCで通常の3倍となる0.75%の利上げを決めた。その上げ幅は1994年11月以来、27年7か月ぶりの大きさとなったが、更にこの翌日にはスイス国立銀行が予想外ともいえる約15年ぶりの利上げに踏み切ったほか、イングランド銀行も5会合連続の利上げを決め、政策金利は約13年ぶりの高水準となった。

これを受け急激な金融引き締めによる景気後退への懸念が広がり、DOWは去年1月以来、約1年5か月ぶりに3万ドルの大台を割り込むなど各マーケットではマネー収縮の動きが見られた。一方で日銀は先週末の金融政策決定会合で現行の大規模な金融緩和策を維持する旨を決定、上記のように欧米の中銀が挙って利上げに動くなか日銀の独自路線が鮮明になっている。

一部世論や市場にも責められながらの継続選択となったが、景気を取るのか円安やインフレ対策を取るのか何ともジレンマな構図だ。確かに現状は受給ギャップが解消し賃金上昇という確かな証拠が掴めるまで継続止む無しといったところなのだろうが、足元で日銀の物価目標を上回っているなかでの緩和継続の諸々の副作用等に対しては政府と協調したそれなりの対策等も今後は求められようか。


ノンアル黎明期

さて、先週の日経MJ紙では恒例の今年上半期のヒット商品番付が発表されていた。果たしてトップの横綱は東が値上げ消費、西はリベンジ旅行となっており、前頭以上の上位五傑に挙げられたモノを見るにやはりジェンダーフリーやルーズソックスなど世相を反映したものが多かったが、これらは当欄で何度か取り上げた事があるので今回は最近スーパーなどでも売り場の拡充が目立つ東の大関となったノンアル生活に触れてみたい。

このノンアルといえばぐるなび総研が発表する日本の世相を反映した今年の一皿に昨年は「アルコールテイスト飲料」が選ばれたのが記憶に新しいが、2014年に始まったこの今年の一皿で飲料が選ばれたのは初めての事で、新型コロナウイルスの影響で酒類提供が制限された飲食店でアルコールにかわって提供され経営の救世主になった事などが選定理由だったという。

斯様なノンアルの人気が高まるなかサントリーは去年のノンアル飲料の販売量が前年比で17%増加したと発表、先のGW期間中にも同社は東京駅内に「のんある酒場」を開き自社のノンアル商品19品を提供していた。またアサヒビールや電通デジタルが出資する企業も今月末には渋谷センター街にノンアルバーを開く予定と、大手各社もこの商機に乗る動きが続々出て来ている。

またラグジュアリーホテルでも挙ってモクテルのバリエーションを増やしており、バーに行ったことの無い客が足を運ぶ切っ掛けにもなっている。かくいう私もアルコールは苦手なクチだが、ノンアル市場は酒を飲む人も酒を飲まないで楽しむ、またその場を楽しみたいがアルコールは飲めないという人などの受け皿として新しい可能性を持った非常に魅力のあるカテゴリーといえようか。


返戻品偽装

さてお中元の時期と言う事で最近雲丹の案内が来ていたが、この雲丹といえば北海道・利尻町のふるさと納税の返戻品として1番人気にも挙がっていたエゾバフンウニに協力事業者である水産加工会社がおよそ400件にロシア産のウニを混ぜて偽装工作していた件が同町の抜き打ち検査で発覚した旨が週明けに報じられている。

特産の利尻昆布を食べて育ったエゾバフンウニは生産量が少なく濃厚で甘みの強い味わいが魅力の最高級品なだけに粗悪品を掴まされた納税者には同情するが、この雲丹と言えば昨年は水温上昇やかつてない赤潮発生の影響に中国の爆買いも加わり仕入れ値が暴騰し鮨屋からは悲鳴が聞こえたものだったが、今年は上海のロックダウンの影響で需要が激減し一転して築地界隈では値段が昨年の半値以下にまで暴落している光景が彼方此方で見られる。

狂乱相場一服で一安心のところにこの偽装発覚の報とタイミングが悪いが、その辺は兎も角もふるさと納税の返戻品における偽装といえば今年の2月にも中国産の鰻を国産と産地偽装していた件が奈良県で発覚し老舗の事業者が事業停止に追い込まれた事件も記憶に新しく、今後特産品を擁する各自治体も事業者の選定にはより一層の審美眼が要求されようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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