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ドットチャートの行方

さて、今月に入って米では雇用統計はじめ11月ISM非製造業景気指数など予想を上回る強い経済指標が続いており、利上げが長期化する懸念が出てきている。この利上げ長期化による景気後退懸念が広がるなかWTIは今月に入ってから下落率が8%を超え昨年12月以来、約1年ぶりの安値を付けているが大手各社による23年株式相場見通しもまた慎重なものになっている。

先週の日経紙ではS&P500の予想値がゴールドマン・サックスの4000、モルガン・スタンレーが3900、UBSとシティが同じく3900、バークレイズの3675など足元とほぼ同水準かそれ以下と載っていた。また他にJPモルガン証券が日本のTOPIXを同2100ポイント、英FTSE100を8150、ユーロ圏MSCIを256等との予想を出している。

冒頭の通り或る程度のリセッションは不可避と考えられるが、株式・商品共にその行方は兎にも角にも金利次第の展開。そういった意味ではドットチャートで示される利上げ到達点の見通しに嫌でも関心が向かうところ。タイムラグをもってこれまでの利上げの影響が出ると考えれば今後の大幅な引き上げは微妙な感じもするが、何れにせよ先ずは今週のFOMCに注目としたい。


イルミネーション2022

先週から日比谷公園では「東京クリスマスマーケット2022」がスタートしいよいよクリスマスモード入りというところだが、これに先駆けて街のイルミネーションもほぼ出揃ってきている。先月は上記の日比谷公園界隈では丸の内イルミネーション2022がスタートし、丸の内仲通りがシャンパンゴールド一色に。また同じく定番モノでけやき坂イルミネーションや、近所の東京ミッドタウンもクリスマスイルミネーションもスタートしている。

また今月スタートのものでは表参道もフェンディの協賛でイルミネーションがスタートし、近所では先週末から渋谷公園通りから代々木公園までのイルミネーション「青の洞窟SHIBUYA」が3年ぶりに復活した。そういえば先週末の日経紙夕刊一面では「冬の華 SDGsで灯す」と題し、こうしたイルミネーションに環境配慮の取り組みが広がっている旨が出ていた。

ここでは上記のけやき坂が工夫し年々消費電力量を減らしている旨や、廃油をリサイクルしたバイオディーゼル燃料や微生物による発電で光るボタニカルライトを活用した札幌の大通り公園のイルミネーションやクリスマスツリーを取り上げていたが、これ以外では目黒川沿いの冬の満開の夜桜をイメージした桜色LEDも地域の飲食店等から廃油を回収し、イルミネーション用の発電機を動かす燃料にリサイクルしているなども同様の取り組みか。

ちなみに海外でも冬の風物詩であるパリのシャンゼリゼ通りのイルミネーションは今年の場合、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で冬のエネルギー不足が課題となり点灯時間をこれまでより2時間あまり短縮しその期間も1週間短縮している。これにより去年より44%節電出来るというが、日本でも同様の取り組みをしている自治体もあり各所がSDGs実現を意識しつつも美しい光を灯し続けるための工夫に知恵を絞っている様がうかがえる。


新陳代謝の相違

今週は米飲料大手ペプシコの人員削減の話が出ていたが、先週は米雇用サービス大手のチャレンジャー・グライ・アンド・クリスマスが11月の人員削減数が7万6835人と発表している。前の月から2.3倍に増加、また1年前から比べると5.2倍に増加した。業種別ではテクノロジー企業が前月から5.5倍になり統計を開始した2001年以降最多となった。

確かに最近目にした大手どころだけ見ても米HPが約4000~6000人の人員削減を計画、Amazonが約10000人を、フェイスブックのメタが約11000人を、オンライン決済サービスのストライプは全体の14%にあたる約1100人を、料理宅配のドアダッシュは全従業員の7%にあたる約1250人を、何かと物議を醸し出しているツイッターに至っては全従業員の約75%の人員削減計画を発表している。

利上げ長期化観測で景気後退への警戒による人員削減の波はテック企業以外でも冒頭のペプシコや、モルガン・スタンレーはじめゴールド・マンサックスやJPモルガン・チェースなどの金融大手にも広がってきている。斯様に米企業では企業業績が悪化した際には従業員の人員削減で人件費の機動的調節が可能だが、対照的に終身雇用が多い日本企業では人員削減による人件費の機動的調節が困難で賃上げの原資となる生産性の向上も阻んでいる。

加えて雇用者を支えるためにゼロゼロ融資なるものまで施しゾンビ企業が蔓延る一因にもなった。米の場合インフレという負のバイプロも付いてくるものの、雇用市場の新陳代謝の速度の違いをまざまざと見せつけられる。社会の安定を優先した日本は今後も低金利・低インフレの地合いに付き合い続けることになるのかどうかだが、いずれ米企業の大規模人員削減の事例が試金石になってゆくか。


デザイナー追想

さて、普段はあまり目にとめない日経夕刊の追想録だが、先月末には三宅一生氏、そして先週末には森英恵氏が取り上げられていた。三宅一生氏は当欄でも今年の夏に取り上げたが、森英恵氏も過日に表参道のオーク表参道の前を通り掛かった際にまだ在りし日のハナエ・モリビルのエレガントな姿が鮮明に思い出された。

日銀の上空から見ると円に見えるデザインは皆が知るところだが、ハナエ・モリビルも上空から見ると森英恵氏のトレードマークである蝶のデザインが特徴的なビルであった。ここに入っていた花水木などよく待ち合わせで使ったものだったが、この界隈だとキーウエストクラブなどと共にいい思い出として脳裏に刻まれている。

しかしこのコロナ禍の最中に世界を席巻したトップクラスのデザイナーが次々といなくなってしまった。二年前には山本寛斎氏、そしてそれを追うかのように高田賢三氏が、そして冒頭の三宅一生氏、そしてその直後には上記の森英恵氏である。各々が時代へ強いメッセージを残したが、なにやら一つの時代の区切りのような感を禁じ得ない。


環境に優しい指数?

本日の日経紙金融経済面には、JPX(日本取引所グループ)が日経平均株価を構成する企業の数や比率を調整して温暖化ガス排出量を日経平均の半分以下にするように設計した「日経平均気候変動1.5°C目標指数」をはじめとし、「S&P/JPX500 ESGスコア・ティルト指数」や「FTSE JPXネットゼロ・ジャパン500指数」など3本の先物を大阪取引所に上場すると発表した旨の記事があった。

この日経平均気候変動1.5°C目標指数だが日経平均と謳っているだけに当然225銘柄が対象となるワケだが、PAB(パリ協定連合ベンチマーク)のスクリーニングによりそのうち化石燃料関連の売り上げが一定水準を超える銘柄や、ESGの視点から武器やタバコの製造や社会規範に抵触するような銘柄は除外され残った204銘柄で構成されている。

とはいえこの指数、ほぼ日経平均と連動するのがミソで日経平均に連動するように日本株に投資をしつつエコ投資も出来るのがポイント。政策としても気候変動問題への対応が重要度を増すなかこれに背を向ける企業は生きづらくなる中で、投資家もまた企業の温暖化ガス排出量の抑制を促す投資行動が求められるようになってきているだけに使い勝手の良い指数となるかどうか期待したいところ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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