新陳代謝の相違

今週は米飲料大手ペプシコの人員削減の話が出ていたが、先週は米雇用サービス大手のチャレンジャー・グライ・アンド・クリスマスが11月の人員削減数が7万6835人と発表している。前の月から2.3倍に増加、また1年前から比べると5.2倍に増加した。業種別ではテクノロジー企業が前月から5.5倍になり統計を開始した2001年以降最多となった。

確かに最近目にした大手どころだけ見ても米HPが約4000~6000人の人員削減を計画、Amazonが約10000人を、フェイスブックのメタが約11000人を、オンライン決済サービスのストライプは全体の14%にあたる約1100人を、料理宅配のドアダッシュは全従業員の7%にあたる約1250人を、何かと物議を醸し出しているツイッターに至っては全従業員の約75%の人員削減計画を発表している。

利上げ長期化観測で景気後退への警戒による人員削減の波はテック企業以外でも冒頭のペプシコや、モルガン・スタンレーはじめゴールド・マンサックスやJPモルガン・チェースなどの金融大手にも広がってきている。斯様に米企業では企業業績が悪化した際には従業員の人員削減で人件費の機動的調節が可能だが、対照的に終身雇用が多い日本企業では人員削減による人件費の機動的調節が困難で賃上げの原資となる生産性の向上も阻んでいる。

加えて雇用者を支えるためにゼロゼロ融資なるものまで施しゾンビ企業が蔓延る一因にもなった。米の場合インフレという負のバイプロも付いてくるものの、雇用市場の新陳代謝の速度の違いをまざまざと見せつけられる。社会の安定を優先した日本は今後も低金利・低インフレの地合いに付き合い続けることになるのかどうかだが、いずれ米企業の大規模人員削減の事例が試金石になってゆくか。


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