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一服の師走

さてもう師走入り。今年は値上げに明け暮れた一年であったが、今月の値上げは175品目と月別では今年最少となる見込みという。そんな中で今月は森永製菓が主力のゼリー飲料「inゼリー」10品を約14年半ぶりに値上げするほか、ネスレ日本もボトルタイプコーヒーの希望小売価格を13%引き上げ、外食もCoCo壱番屋や天丼てんやなどが今月値上げを実施する。

値上げも一服、一頃の急激な円安も今でこそ一服してはいるもののこれまでの円安や原材料価格の高騰を背景に年明け以降も価格上昇は続き、帝国データバンクでは4月までに冷凍食品や菓子など身近な品目含め4425品目が引き上げられる予定としており、円安ピークの反映もあって値上げペースや幅は今年を上回るとの指摘も出ている。

秋口に値上げを実施した主要品目のうちの約7割で販売数量が減少したというデータもあり、物価の上昇に賃上げが追い付かず根強い生活防衛意識が個人消費の足枷となっている様がうかがえる。今年の平均賃上げ率は2.07%、先に連合は2023年度春闘で5%程度の賃上げ要求を掲げると決めたが、物価上昇を考慮した実質賃金は9月まで6か月連続で前年を下回っており来年の春闘が天王山となるか。


ブラックフライデー2022

円安等による物価高が厳しさを増すなか、年末商戦のブラックフライデーが今年も先週からスタートした。米国発のこの商戦、いつの間にか彼方此方が参戦するようになって来たが、今年は一段と消費者の節約志向が高まるなか各社共に販促イベントによる消費喚起に力を入れる光景が見受けられる。

ECサイトや大手スーパー等は例年見慣れたものだが、大手百貨店も既に三越が2年前にオンラインで参戦し巣ごもりで家での贅沢な時間にスポットを当てて1000万超の屏風など店頭でも見られないような商品を精力的に取り上げていたのを思い出すが、今年は高島屋もオンラインで初参戦、こちらは約1500点が最大70%引きで購入出来たほか抽選販売で一戸建て住宅も販売した。

ところで本場の米年末商戦は例年感謝祭翌日のこのブラックフライデーから本格的に始まるが、全米小売業協会では今年の年末商戦の売り上げ高は1年前から6~8%上昇するものの、伸び率は昨年からは鈍化するとの見通しが示されていたが、初戦のブラックフライデー初日のネット通販は1年前からの伸び率1%という事前予測を上回る2.3%になった模様。

この辺は小売り各社が大幅な値引きを拡大した事などにより消費者の購買意欲が高まったとみられるが、同様の理由で翌週のサイバーマンデーのネット通販売り上げも過去最高を記録している。日本も物価高の波が家計に重くのしかかるなか、これまでの目玉商品であった高額家電などから生活必需品や日用品にフォーカスしこれらの充実を図るなど例年とは戦略が様変わりしたのが今年は印象的だ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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