東芝非公開化の道

先週は東芝がJIP(日本産業パートナーズ)陣営による買収提案を受け入れる事を取締役会で決議したと発表している。市場の二部落ちから3年半ぶりに悲願の一部に復活するもアクティビストからの突き上げで度重なる臨時株主総会が行われ、二転三転のグループ分割案などここ数年迷走が続いていた東芝だが大きな節目を迎える。

ところで肝心のTOB価格だが1株4620円という。週末の同社株はこれにサヤ寄せする格好で反発していたものの、発表前の株価が約4200円であるからなかなか微妙な安さ?に感じる。昨年も60件近いTOBがあったが、それらのプレミアムの平均が4割を超えていたことを考えればモノが違うとはいえ同社の場合はこの4分の1程度という計算になる。

とはいえ筆頭株主の旧村上ファンド系エフィッシモ・キャピタル・マネジメントはじめ火中の栗を拾った増資引き受け組の簿価を考えるにこの値でも十分なイグジットだが、昨年の二次入札へ進む過程で非公開化を提案したアジア系ファンドは1株7000円の買収価格を提示していた経緯があり、昨年末に当のJIPが提示した価格でさえ5000円台であったワケだが逆にいえばそれだけ劣化?進行が早いという事か。

しかし海千山千のアクティビスト、一昨年だったか英系のCVCキャピタル・パートナーズが買収提案をした際も別のアクティビストが算定価格を大きく下回っているとして反対表明した一件があったが皆が素直にこの価格で応じるかどうかが焦点、TOBは7月下旬とのことだがはたして3分の2以上の取得が叶い長年の呪縛から解放される日が来るのか否かまだまだ予断を許さない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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