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セーフヘブンラリー

今年に入って上昇が鮮明なビットコインだったが、本日はその価格が3万ドルの大台を突破してきた。この大台超えは昨年の6月以来10ヵ月ぶりの事となるが、先月だけでも上昇率は2割を超え年初からの上昇率ではかれこれ80%超えとなっている。これに続く時価総額2位のイーサリアムの価格も昨年8月以来、初めて1900ドルの大台を突破してきている。

これら仮想通貨といえば昨年はあの大手交換業者FTXトレーディングの破綻が記憶に新しく、それ以外でもテラUSDの崩壊等々複数の不祥事を背景に信用低下から総じて価格は停滞していたものだが、米シリコンバレーバンクはじめ数行の中小銀行破綻やFRBの利上げサイクル打ち切りの思惑を背景に投機マネーが急速に戻ってきている。

上記の銀行混乱を受けこの利上げ転換点の早まりへの賭けがホットマネーを呼び寄せているといったところだが、過去10年以上底辺からのボラタイルな復活は何度も繰り返されてきた光景でもある。明日にはFOMCに先立つ重要指標の一つでもある米3月CPIの発表があるが、早くも今年のベストパフォーマンス資産と囃される鉄火場はまだしばらく続くか。


新総裁体制始動

さて、日銀の第32代総裁に経済学者で元日銀審議委員の植田氏が就任した。これに先立ち先週末に退任した黒田総裁の退任記者会見が行われたが、2%の物価安定目標が達成出来なかったことは残念としながらも、総じて先月の衆議院財務金融委員会での発言同様に総じてこれまでの政策運営の成果を強調する自画自賛?に終始した会見となった。

思い起こせば10年前の就任当初に2%の物価目標は2年で達成出来ると豪語していた姿が鮮明に蘇るが、大量の国債購入と資金供給拡大の所謂黒田バズーカでもってマネタリーベースは約5倍の水準に拡大、途中から調整対象をこれら量から金利にも手を出し始めたが上記の通り今なお物価目標の安定的達成は出来なかった。

確かにアベノミクスの支柱をなしたのはこの異次元緩和であったのは異論のないところだが、やはり物価上昇目標の自縄自縛に陥り今や日銀の国債保有割合は50%を超える水準まで膨れ上がり、ETFの累計買い入れ額も37兆円を超えるなど将来に残る弊害のツケを膨らませたのも間違いの無いところだろう。

これらを市場に混乱を与えないように処理して解決するには実に170年かかるとの試算も一部に出ているが、イグジットについて前総裁は最後まで言及を避けて来た。目先は月末の27、28日に開かれる新体制初となる金融政策決定会合でこれら長期金利の上限引き上げ等の政策修正が議論されるのか否かが先ずは注目されるが、いずれにせよ難しい舵取りの宿題?は新総裁へ丸投げされる格好となる。


街のお別れ風景

年度末から新年度にかけての時期は出会いと別れの季節でもあるが、今年は身近な街の風景にもこれが当て嵌まる感がある。最近では東京駅周辺で再開発の起点ともいえる大型商業施設「東京ミッドタウン八重洲」が先月華々しくグランドオープンとなったが、この並びに位置した「八重洲ブックセンター本店」が先月末で約44年間の営業を終えた。

初めて同店を訪れたのはまだ大学に入学したての頃であったが、社会に出てからも他では探せなかったかなりマニアックな本も100万冊以上もの在庫を揃えるここに来ればほぼ見つかったものだった。2028年度に完成予定の超高層複合ビルへ再出店の予定とのことで復活が待たれるところだが、これからしばらくは丸善あたりに足が向かうことになりそうだ。

それともう一つ、夏場は特にお世話になっていた「東京辰巳国際水泳場」もまた上記の八重洲ブックセンター本店閉店と同じ日に30年の歴史に幕を下ろし閉館した。メインプールは長水路で他と違って飛び込みも出来るところも良く、ここへ来たらわざわざ北島康介氏の世界記録樹立プレートのあるレーンで泳いだりしたものだが、存分に泳いだ後にゆったりとジャグジーが満喫出来るのもよかった。

こちらは2年後の秋にアイスリンクとして装い新たに再開業の予定というが、どこかシドニーのオペラハウスを彷彿させる名建築が無くなってしまうのはやはり残念な思いだ。そうそう、名建築といえば帝劇ビルも2025年度をめどに閉館の予定という。此処もまさに昭和の名建築だったが、ステンドグラスや昭和モダンな細部の装飾等々同じ物はもう見られなくなる可能性もあるだけに閉館まで時間の許す限り目に焼き付けておきたいものだ。


ヤレヤレの本気度

さて、先週は東証プライム上場の東京都競馬が突如としてストップ高を演じる場面があったが、この背景には直近の大量保有報告書で香港投資ファンドのオアシス・マネジメントが8%超の株式を保有していることが明らかになった事がある。オアシス・マネジメントといえば直近ではフジテックの取締役解任劇を巡っての大バトルがなかなか見応えのあるものだったのを思い出す。

斯様な実績のあるアクティビストの登場だけに株価の方も期待値先行で反応したとも思えるが、いわゆる物言う株主が保有している企業群の意欲的な中期経営計画発表がここ相次いでいる旨が先の日経紙にも出ていた。いずれの企業も総還元性向において具体的な数字を挙げてきており、株価の方もそれに準じて少なからず上昇を辿っている。

冒頭の東京都競馬のPBRは昨日時点の東証プライム全平均のそれを超えてはいるが、上記のアクティビストが保有している銘柄群のPBRはいずれも1倍を割り込んでいるものが殆ど。先の株主総会でも多くの企業で増配や自社株買いの還元要求提案が目立った模様だが、東証のPBR是正要請とも相俟って世界基準との乖離を埋めるべく今後も要求が強まるのは想像に難くなく各企業の本気度もまた試されそうだ。


4月IPOスタート

本日より4月のIPOがスタートしたが、その第一号となったのが本日東証グロース市場に新規上場となったキャッシュレス決済サービスのトランザクション・メディア・ネットワークス。注目の初値は公開価格930円を49.2%上回る1388円と好調なスタートとなったが、公開株式が多い割に下馬評を覆す意外?な初値が付いたといえよう。

このTMNはそこそこな吸収金額であったものの直近公開モノは小粒だったこともありなかなかの化け具合となっており、先週末に東証グロースに上場したAI活用DX事業のFusicは初日は買い気配で値が付かず、週明けに寄った初値は公開価格2000円の実に約3.3倍となる6530円のロケットスタート。あと利食いでダレて引けるも本日は改めて買い直され一時ストップ高を示現した。

これに限らず3月上場組のIPOは破竹の勢いが目立ち、ソフトウェア検証の日本ナレッジや同日IPOのスマホ向けアプリ開発のアイビスは共に初日は買い気配で値付かず、その初値は公開価格に対し前者は約2.5倍、後者は約2.9倍に化け。また同じく23日IPOのハルメクホールディングスはスンナリと寄ったもののあと連日ストップ高を演じるなどどれもすこぶる回転の良さであった。

ということで今月は冒頭のトランザクション・メディア・ネットワークスはじめ10社がIPOの予定だが、12日に上場予定のispaceは月面開発事業と宇宙関連ベンチャーとしては初のIPO、またその後には今年最大の案件ともなる楽天銀行もIPOを控えている。更にその後にはひふみ投信のレオス・キャピタルワークスとどれも話題な案件が控えているだけに引き続き新興市場からは目が離せない展開になりそうだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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