LGBTとマーケティング
先週の当欄ではLGBT等の性的少数者に配慮するダイバーシティへの関心が高まる中、物議を醸し出したジェンダーレストイレ等を取り上げたが、今月は性的マイノリティへの理解を促す「LGBT理解増進法」が成立し23日に施行されている。この手では国際的に日本の取り組みの遅れが指摘されており、更に理解を広げる事が必要とされている。
折しも今月は、今から54年前のちょうど今日(27日)にLGBTが集っていたNYのバーに不当な踏み込み捜査を警察が客と衝突した事件を起源としたLGBTQの権利向上を目指す「LGBTQプライド月間」とされる。先進国の米ではNYでパレードが開催されたが、国内でも各所でこの月間にちなんだマーケティングがなされている模様だ。
ところでマーケティングといえば米では小売り大手のターゲットやバドワイザーを販売するアンハイザー・ブッシュ等がLGBTを象徴するレインボーをテーマにした商品販売や、広告にトランスジェンダーのインフルエンサーを起用したところ、それぞれ保守層による不買運動が広がり株価の急落から時価総額を大きく飛ばすハメになっている。
こうした分野はコア層の分布にも注意しなければばらないが、支持層と保守層に挟まれ「あちらを立てればこちらが立たず」となんとも難しい。先に破綻したシリコンバレーバンク始めとした連鎖破綻然り、SNSが恐ろしいほど進化し顧客の行動が急速に動く環境下では企業も改めて顧客戦略を練り直す必要がありそうだ。