金融政策ウィーク

先週は25日から米FOMC、27日のECB、そして27日からの日銀金融政策決定会合と
金融政策決定ウィークであったが、果たして米は政策金利を2会合ぶりに下馬評通りの0.25%引き上げ、ECBも9会合連続で同じく主要政策金利を0.25%引き上げ、中でも中銀預金金利は3.75%と2001年5月以来、21年ぶりに過去最高水準に並んだ。

そして注目の日銀だが、長期金利を抑え込まずに事実上1%を上限とし緩やかな上昇を容認するYCC(長短金利操作)の修正に踏み切った。それなりに構えはあったもののやはりボラタイルな動きになったのはマーケットで、10年物国債利回りは一時2014年9月以来の高水準となり、為替はドル円が発表直後のわずか1分そこそこで約3円もの乱高下を演じ、連れて日経平均も一時800超の急落を演じた。

久々にというかようやく金利の存在する世界への一歩を踏み出せるかといったところだが、YCCの弊害で円は最弱通貨への道を歩み週末に取り上げたビッグマックの例にみられるように世界での日本の購買力は著しく低下、インバウンド客が買い物天国ニッポンと歓喜するなかその裏で我々には輸入物価の上昇から生活コストの上昇が襲っている。

逸る気持ちはゼロ金利解除に向かうが、賃上げ等もそれに繋がるキーになって来る筈で今年の春闘ではベアが2.12%、定期昇給と合せた賃上げ率は3.58%であったがさて来年は如何に。いずれにせよ目先としては今後の各種経済指標の発表を経た8月のジャクソンホール会議で次の転換点があるか否かこの辺に注目してゆきたい。


ビッグマックランキング

さて、銀座三越にマクドナルドの1号店がオープンしたのが今から52年前だったが、このオープン日にちなんだ「ハンバーガーの日」を前にマックはテナント料や人件費などの運営コストが上昇している事を背景に、先週より都心部店舗を対象に一部商品の値上げに踏み切っている。この1年足らず早くも3度目の値上げとなるが、世界中で人気商品のビッグマックなどはこれで500円の大台に乗って来た。

こうなるともはや競合他社比での割安感は無くなってくるだけに一部のファストフードフリークは鞍替え必至という動きも。ちなみにマクドナルドに対し挑戦的?な広告を打ち出しSNS上で賛否両論を呼んだ某有名競合店は、マックが値上げした今月に単品450円の商品を含む3商品から自由に2商品を選んで500円(1品あたり250円)という破壊的なキャンペーンを展開していた。

思えば世界体操選手権男子団体総合で日本が37年ぶりの優勝をはたした2015年にはこのビッグマックは370円だったが、2018年には390円、2022年9月には410円、今年1月には450円に、そして今回の500円だ。とはいえ1月の値上げ時の購買力平価を測る所謂ビッグマック指数は世界41位に甘んじており、今回の値上げで500円という値段でさえかつて買い物天国と囃された韓国にさえ未だ及ばないあたり安く成り下がった日本を再認識するものだ。


返礼品にも波

さて、ふるさと納税関係サイトでは常に様々なランキングを掲載しているが、先週はそのうちの一つさとふるが今年上半期のふるさと納税人気返礼品を発表している。首位で4連覇となったのは安定のオホーツク産ホタテ、2位には山梨産シャインマスカット、そして3位には茨城のコメがランクインしていた

ちなみに上半期、最も検索されたキーワードは米で、それに続いたのはトイレットペーパーだという。昨今の物価高の影響でこのトイレットペーパーへの寄付件数は2年で約5倍になり、上記3位にランクインしたコメも1.5倍になっており、他に傾向としては脱マスクや新型コロナの5類引き下げで旅行関係の返礼品は年初比で約2倍になっているという。

ところで物価高の影響といえばこの返礼品自体にも値上げラッシュの波が押し寄せてきている。冒頭のホタテなど昨年と比較してみるにモノによって2~3割値段が上昇している。3割規制の中においてもなおそれ以上のお得感のあった人気のモノほど軒並み値上げされてきているが、今年はタイミングの悪いことに10月から総務省による更なる基準厳格化が控えておりこれを見据えた申請に変化が見られるかどうかこの辺に注目しておきたい。


4年ぶり夜空に彩り

新型コロナの影響で中止続きの憂き目に遭った花火大会だが、今月は首都圏で4年ぶりに都内の空に戻って来る。既に先週末には「足立の花火」が先陣を切って開催されたが、規模も拡大され来場者数は過去最多の70万人超となった模様。これに続き本日は「葛飾納涼花火大会」が開催され、今週末はいよいよ「隅田川花火大会」が開催される予定。

この商機に賭けて東京スカイツリーでは約350メートルの高さから隅田川花火大会を堪能できる特別営業を実施するが、ネットの先行販売では実に159倍もの倍率になった模様。また近隣のホテルもいろいろなプランを実施予定で、ホテルニューオータニでは東京三大花火の一つである神宮外苑花火大会を一望出来る宿泊プランを用意、プライベートな空間で1万発の花火やディナーが楽しめる。

しかし今年の場合は物価高が叫ばれるなか、人件費や花火の購入経費等が軒並み上昇したことを背景に従来設けていた荒天時の順延日が軒並み廃止されている。そういった事情で既に無事開催されたところはホッと一安心だろうが、東京以外でもこれらの事情から開催以前の問題のところでクラウドファンディングで出資者を募る向きもあれば早々に実施を断念するところも出ている。

コロナ禍で4年も待たされた心情を察するに観光協会や実行委員会も苦渋の決断だったところもあろうが、スポンサー企業等も背に腹は代えられない向きもありこの辺の事情は様々。花火大会に限らず夏の風物詩の存続をかけ、今年は各々の地で上記のようなクラファン含め持続可能な仕組みを模索する動きが今後も顕著になってきそうだ。


候補争奪戦

先週末の日経紙ビジネス面の「株主総会2023」では、コーポレートガバナンスコードに取締役会にジェンダーの多様性が必要との明記もあり、女性取締役不在の場合は株主総会で経営トップに反対票を投じる機関投資家も増えている事なども考慮し株主総会までに女性取締役を据える企業等の例を挙げこの手の人材が争奪戦になっている旨が出ていた。

斯様な動きもあって起用が進んでいる女性取締役だが、現状では社内人材での登用が進まず実に9割近くが社外人材というのが現状だ。直近では先月のスズキの株主総会で決定した取締役のうち唯一の女性取締役にQちゃんの愛称で有名な元マラソン選手が決定したが彼女も社外だ。他にもこれまで当欄で取り上げてきた女優や歌手など女性役員はいずれも社外である。

本格的な内部登用が進まず手っ取り早い外部起用を進める中には形式上据えておけばよいといった向きもあるが、企業側が躍起になっているのは冒頭の通り昨年の株主総会で女性取締役不在企業の経営トップへの反対票の比率が急上昇するなど株主圧力が顕著化した一面もある。ちなみに国内投資家の場合前年比22.5%アップ、海外投資家の場合でも前年比21.7%アップとなっており、今年はこれが更に上がっている可能性もある。

上記の通り背に腹は代えられないとう側面もあろうが、曲がりなりにもある分野で脚光を浴びた著名人はそれなりのものを持っているだけにそうした人材に経営に参画してもらえる意義は十分にあろう。そういった意味で今後はお飾りでなく序列的な部分で経営の中心に彼女らが参画しているかどうかもポイントになってくるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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