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アクティブ型第1弾

先週末の日経紙マネーのまなびにはETFにもアクティブ型と題し、東京証券取引所にアクティブ型として先週に初めて上場した計6本のETF(上場投資信託)が取り上げられていた。海外では既にアクティブ型のETFが広がっているが、これまでの国内モノといえば日経平均などの指数に連動するようなパッシブ型のみのラインナップであった。

うち野村アセットの高配当などはこれまでも国内外のモノが幾つも上場しているが、シンプレクス等は「投資家経営者一心同体ETF」など個性的なネーミングを出してきており、他「PBR1倍割れ解消推進ETF」や高いROEを期待出来る「日本成長株アクティブ」などはまさに東証が現在各企業に改善要請している旬なテーマを持ってきている。

7月にJPXプライム150指数の算出が開始された際に、当欄では「~個人的にはPBRが0.6倍台から様々な株主還元を打ち出しPBR1倍に向かう過程で大化けした大日本印刷のような銘柄に大いなる魅力を感じたものだったが~」と書いた事があったが、特に上記の「PBR1倍割れ解消推進ETF」などはまさにこの辺にフォーカスを当てたものだろうか。

また依然として簿価ベースでは30兆円の政策保有株があるといわれているが、政策保有株をバランスシート上に多く保有する企業はPBRやROEが低い傾向にあるだけに「政策保有株推進ETF」などもこの辺を突いたものか。これら新NISAに間に合わせるタイミングでアクティブ解禁の運びとなったが今後も商品性の広がりを見せてゆくかどうか注目される。


手数料ゼロ時代へ

さて、先週末にはネット証券最大手と同2位の楽天証券が揃って日本株の売買手数料を無料とする旨を正式に発表している。SBI証券は今月末からオンライン取引を対象に日本株の現物と信用取引の両方を、楽天証券も来月アタマから日本株の現物と信用取引の両方について売買手数料が無料になる予定だが長年にわたる手数料競争も遂にゼロに到達した。

思えば手数料引き上げ競争を巡ってはリーマンショックの翌年だったか業界最低水準を各社で謳って1週間の間に計6回もの手数料引き下げ発表が為されていた時期などを思い出すが、冒頭の楽天証券が折しも上場申請した後のこのナーバスな時期に手数料競争無料化を打ち出すあたりに業界の競争の厳しさを感じざるを得ない。

そういった意味でもこの楽天証券のIPOに本件がどの程度の影響を及ぼすかも興味深いところだが、冒頭の双璧2社で昨年の東証における個人の売買代金シェアは8割近くにも上る事だけにこれと併せ2024年からの新NISAスタートを前に個人の売買活性化に繋がるかどうかこの辺に期待する向きもあろうか。

上記の手数料競争が激化していた10年以上前の日経紙では某ネット証券社長の手数料の安さを競うネット証券ビジネスはもう終わりだという旨の意見が謳ってあったのを今でも覚えているが、彼は今この光景をどんな想いで観ているのだろう?今後この2社と手数料収入構成比が異なる他社が彼らに追随してくるか否かも焦点だが、手数料ゼロ化がこの業界の再編の芽を顕在化させることになるかどうか要注目である。


主要4指数8日続伸

前日に節目となる33,000円の大台を回復した日経平均だが、本日もその勢いをかって続伸となった。8日に9月限のメジャーSQを控え、コールのショートカバーよりリクイディティーの高い先物へのロングの選択によって指数が押し上げられている面もあるが、なんだかんだこれで5月11日~22日以来の8日続伸となった。

時価総額トップのトヨタ自動車に日立製作所などのゼロイチ銘柄、三菱東京UFJ、三井住友FG、みずほFGなどメガバンク勢も揃って年初来高値更新した他、三井不動産や三菱地所など不動産大手も揃って年初来高値を更新していたが、そんなワケでTOPIXも日経平均同様に8日続伸となりこれでバブル崩壊後の高値を4営業日連続で更新することとなった。

他にJPXインデックス400も8日続伸となり算出開始以来の最高値を連日で更新、算出公表から日の浅いJPXプライム150指数も揃って8日続伸となった。この指数、グロースの色が濃いものの、長期でTOPIXをアウトパフォームしてくる試算も検証もされているだけに来年の新NISAの拡充に向けて誘い水の効果は高いか。


上場74年に幕か

投資ファンドの日本産業パートナーズらによる東芝への8日からのTOBを控え、本日の日経紙には「株式会社東芝の株主の皆さまへ 公開買い付けへの応募はお済みでしょうか?」との全面広告が出ていた。ちなみに公開買い付け代理人は週内にも2500億円の資本増強に踏み切ると報じられているSMBC日興証券である。

不正会計や原子力事業の失敗で経営危機に陥り2017年に実施した約6000億円の苦し紛れの第三者割当増資が悪夢?の始まりだったが、以降これに応じた魑魅魍魎の株主の顔色を窺いながら一般株主や従業員など他のステークホルダーは蚊帳の外に置かれたまま近年はアクティビストらの突き上げによる臨時株主総会が頻繁に開催される迷走だけが目立っていた感がある。

そんな東芝も今回のTOBで所謂物言う株主からの呪縛から解かれるということになろうが、彼らとて応募で一定の利は確保するとはいえその価格に納得している筈も無くこれまで費やした時間とその労力に見合ったイグジットではないだろう。この幕引きで彼らの次のターゲットにも関心が向かうが、いずれにせよこのTOB成立が叶えば74年間の上場の歴史に幕を閉じることになる事でなんとも複雑な思いだ。


2か月連続鈍化

さて月初め恒例の値上げ品目チェックだが、帝国データバンクによれば主要195社の今月の食品値上げは2067品目となり、値上げが本格化した22年以降で初めて2か月連続で前年同月を下回ることとなる。全食品分野で最多となったのは調味料であと加工食品や菓子類が続くが、加工食品は2023年通年での全食品分野で唯一1万品目の大台を超えている。

またこれに次いで粗糖やチョコレートの原料となるカカオ豆などの原材料価格が上昇したことが影響して菓子類の値上げも目立つ。ところでこのカカオ、産地の南米諸国はじめ主要生産国の大雨や洪水の影響によりNYやロンドンの先物価格は足元で数十年ぶりの高値を付けており、菓子類はもとより早くも来年のバレンタイン商戦で幅広く価格に影響が出そうとの懸念も台頭している。

ともあれ値上げの浸透や一部の原材料価格の一服を背景に年内の値上げは来月を最後にいったんピークアウトする可能性も高いとしているが、日本と諸外国の金融政策の方向性の違いから金利差拡大を材料に円安が長期化するなどコスト増加要因は依然燻るだけに、はたして素直に値上げ機運後退の気配が出てくるのか否かこの辺を引き続き注視してゆきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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