ジャングリア沖縄開業

さて、先に飛鳥Ⅲの就航を取り上げたがリゾート関係ではこれに続いて今月はもう一つ、「ジャングリア沖縄」も先週に満を持して開業している。世界自然遺産に登録されている本島北部のやんばるを舞台に22のアトラクションに3つのレストラン、4つのショップなど都会では体験できない自然のなかでダイナソーサファリやスカイフェニックスなど本物の興奮や解放感が味わえるという。

これを手掛けたマーケティング企業「刀」のトップはこの場所にした理由として海というイメージが定着している沖縄は森林もある“二刀流”に着目したという。なるほどイメージでは先ず“海”が思い浮かぶが、ジャングルも負けず劣らずの魅力を有している点では「バリ島」とも似ているか。また今後のインバウンド増加を見込みパークやスパ等のチケットも国内の主要テーマパークとしては初の“二重価格”を採用している。

このジャングリア沖縄が狙っているターゲットゾーンは、沖縄から飛行機で4時間以内に広がるアジア圏の約20億人という。認知度の低い開業当初は国内客が大半と見込まれるものの、開業1年目の経済波及効果は約6583億円との試算が出ている。実に沖縄の年間予算の7割にも匹敵する額となるが、沖縄経済の新たな起爆剤となるかどうか期待のかかるところ。

ところで上記の「刀」は昨年に「イマーシブフォート東京」を開業させ、立て続けに今回のジャングリア沖縄をオープンさせているが、テーマパークがすっかり廃れた中国などとは異なり今後も日本はテーマパークへの巨額投資が見込まれる。強力なIPを武器に東京ディズニーシーやUSJでは新エリアの開業が相次ぎ、今後は横浜にも東京ディズニーランドと同規模の敷地に最先端技術を活用した次世代型テーマパークが開業予定となっており今後も各所の投資が注目される。


隅田川花火大会2025

猛暑のなか先週末は無事に隅田川花火大会が開催された。東京では足立の花火退会が2年連続で中止の憂き目に遭ってしまったわけだがこちらは予定通りの開催となった。隅田川はフィナーレも勿論圧巻だがやはり全国の匠が競うコンテストは外せない。今年は新潟煙火工業の飛遊星モノの「蛍」が優勝したが、個人的には絵画を花火で表現したというユニークさで勝負した斉木煙火本店の「モネの庭」が印象的だった。

ところで近年では花火に使う各種火薬類の高騰に加え、安全確保に不可欠な警備員の人件費高騰などによる運営費コスト増を背景に所謂有料席の導入が急増している。今年の場合主要の約100大会のうち約8割にあたる大会で有料席の導入が見られ、これは過去最多のデータという。隅田川の屋形船もひと昔前から比較するにその料金も随分と高騰したなと感じるが、毎年ベストな場所を提供してくれる人脈の有難みが一層増すというものだ。

ところで花火大会といえばかつてこの隅田川花火大会と共に“東京三大花火大会”の一つであった「東京湾大華火祭」だが休止からはや10年、この花火大会が来年には11年ぶりに復活開催とも報じられている。なんでも中央区区制施行80周年記念事業として開催されるということだそうだが、開催に期待を込めて今から楽しみに待ちたい。


新興不正

本日の日経紙ビジネス面には「オルツ粉飾 経営陣が関与」と題し、東証グロース市場に上場しているAI(人工知能)開発のオルツに関する粉飾疑惑について同社が第三者委員会による調査報告書を公開した旨の記事があった。所謂循環取引を巡っての不正が明るみになったわけだが、これを受けて昨日の同社株はストップ安に沈み今日も大幅続落となり値下がりランキングでは全市場で4位にランクインしている。

オルツといえば昨年10月にAI関連として鳴り物入りで上場したわけだが、上場半年そこそこでこの粉飾疑惑が持ち上がる異例の事態となっていた。斯様に短期で大規模な不正が発覚した例としては、グロース市場創設前の東証マザーズに上場していたエフオーアイが記憶に新しいところ。半導体製造装置を手掛けていた同社もやはり上場して半年そこそこで売上の9割以上の粉飾が発覚し上場廃止に追い込まれている。

今回のこのオルツには大手ベンチャーキャピタルのジャフコグループも出資していたわけだが、こうしたベンチャーキャピタルや監査法人に幹事証券の目を巧みに搔い潜っていたのが凄い。過度な規制強化は有望なスタートアップ企業の成長機会を削いでしまうという意見もあるなかこれを機に上場審査の在り方も今後変わって来るかどうかだが、市場の信頼がこれ以上揺らがぬよう再発防止の重要性がより一層問われるところ。


MBO最多更新か?

週明け本日の日経平均も高値警戒感から値嵩株の売り物が目立ち大幅続落となったが、そんな中で個別では東証プライム市場の太平洋工業が全般の地合いに逆行高となり年初来高値を更新していた。同社は周知の通り先週に創業家が出資する特別目的会社がTOBを実施、MBOで株式を非公開化すると発表しておりそのTOB価格にサヤ寄せする動きから先週末に続いての続急騰となっている。

その買い付け価格は1株2050円と発表されてはいるが、現在同社のBPSは約2900円となっているだけに本日はTOB価格を超えての大引となった。同社はタイヤバルブ関係首位だが、今後のハイブリッドやEVなど電動化の進展でこうした車部品業界は従前とは異なる製品開発の必要に迫られる。株式の非公開化で大胆かつ長期的な投資に取り組める体制が求められていたわけだ。

ところでMBOといえば本日はもう一つ、東証プライム市場の調剤大手の日本調剤も投資ファンドのアドバンテッジパートナーズがTOBなどを通じて買収し非公開化する方向の旨が報じられている。この業界でもまた再編の動きが広がっているが、ともあれ今年の株式非上場化の件数としては折り返しの6月上旬時点で27件となっており今回の件含め同じペースでいくとするなら過去最多の一昨年を更新してくる勢いだ。

こうした動きを鑑み先にみずほフィナンシャルグループも100億円規模のMBOファンドを立ち上げているが、東証の再編の動きや今後の東証改革も控えて上場コストがそのメリットと比較し高いと意識されるような企業勢としてはこれからMBOというものが一つのソリューションとして台頭してくる流れになるか。


飛鳥Ⅲ就航

先の日曜日の日経紙では郵船クルーズの「幸を編む至福の船旅 最幸時間」と題した「飛鳥Ⅲ」就航の全面広告が目を惹いた。同船は同社の飛鳥Ⅱを超える総トン数で日本最大級のクルーズ船となり、24時間利用出来るジムやプールが完備されており全室バルコニー付きでどの部屋からのオーシャンビューが楽しめる。初航海は横浜港から北海道の函館港や小樽港を巡る7日間の旅になるが、新造船の就航は同社として実に約34年ぶりとなる。

クルーズ業界といえばコロナ禍で一時翁落ち込みをみせるもののその後の回復めざましく一昨年は世界でコロナ前水準を200万人ほど上回ってきている。現在世界は関税リスクに晒されているが、クルーズ事業はこの関税リスクも少なくその需要に減速感が見られない。そういった事で大手のロイヤル・カリビアン・クルーズなどその株価が一時は関税ショックに連れ安したものの今月は特に鋭角的な上昇軌道を描き年初来のリターンは50%近くになる勢いである。

そういった中で日本のクルーズ人口はまだコロナ禍前の6割弱の水準に甘んじているだけに、この飛鳥Ⅲの他にも商船三井はにっぽん丸に加えて昨年末には「MITSUI OCEAN FUJI」の運行を開始し、オリエンタルランドも28年度にはクルーズ事業に乗り出す旨を発表するなど各社が商機とみて次々に投入を図っているわけだが、国交省も日本人クルーズ乗客数の目標として30年までに年100万人に増やしていくことを狙っている。

上記のオリエンタルランドも直営ホテルはバリュータイプ、モデレートタイプ、デラックスタイプ、そしてラグジュアリータイプに分けて展開しているが、クルーズ船も「カジュアル」、「プレミアム」、そしてこの飛鳥Ⅲのような「ラグジュアリー」に分けられる。この手は長年シニア層が牽引してきたものだが、各社共グレードに幅を持たせた戦略で各々今後の舵取りが注目される。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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