エルメス一強

先週末の日経紙ビジネス面には「勝ち組はエルメス・プラダ」と題し、ラグジュアリー業界の2025年1~6月期決算では仏エルメス・インターナショナルが増収増益となった一方で仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンと仏ケリングなどは減収減益と明暗が分かれた旨の記事があった。消費者が財布のひもを締める逆境下で高級ブランドとしての“底力”の差が出たとの見方があるという。

これを如実に表すかのように今年の春先にはエルメス・インターナショナルの時価総額はLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンを抜き去り、今や日本企業の時価総額トップに君臨するトヨタ自動車のそれをも抜いてきている。エルメスといえば“バーキン”がもう代名詞のような存在となっているが、先に行われたサザビーズのオークションではこのバーキン第一号がハンドバッグとして過去最高額の800万ユーロで落札されたのが記憶に新しいところ。

エルメスのブランディングで直ぐに頭に思い浮かぶのはやはり伊フェラーリだろうか。共に需要に対してある一定割合の少なさで生産調整しており、バーキンクラスになるとオファーがかかるのも購入履歴等の積み上げ如何にかかってくるというのが暗黙の了解となっているとか。厳格に管理された販売手法とその希少性により、これまたフェラーリの各種モデルと共にリセールバリューもラグジュアリー界では常にトップクラスを誇る。

当欄では今から14年前の2011年にも自動車業界が減産体制を強いられていた件を書いた際にフェラーリとBMWで明暗が分かれたのを取り上げていたが、そこでは「~要は或る程度手が届く領域のある部分はそれだけ分布も多いので不況の影響はやはり避けられないと~」と書いていたが、冒頭のエルメスとルイヴィトンはまさにこの構図だろう。一部大手外銀では高級ブランド業界の低迷が26年後半まで続くとの予測が出ているが、優勝劣敗が更に鮮明になってくるかどうか注目される。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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