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中東産原油先物上場

さて、本日より中国で人民元建ての原油先物取引がスタートとなった。既に米国を上回り世界最大の原油輸入国となった中国は、米国や欧州での取引が指標となっている現状に不満を強めてきており、原油市場での影響力拡大を追い風に中国の需要を国際価格に反映させ国債指標に育てたい考えという。

上記の米国や欧州での取引とは言わずもがな米WTIに欧州の北海ブレントだが、この商品を上場する上海国際エネルギー取引所は対象商品として中東産原油を採用し欧米との違いを打ち出している。またここ近年で中国は株式や債券などの規制緩和を断続的に進めてきたが、商品先物市場として初めて外国人の取引参加も認めた。

ところで同じ上海では鉄筋先物が昨年4年ぶり高値を更新し、一昨年には大連の鉄鉱石先物も投機に沸いて乱高下に大商いを演じた経緯もある。斯様に中国の商品先物市場といえば売買の多く個人投機家が占め、その投機的売買で実需を反映しない値動きをする事が珍しくなく当局の規制に実需家が振り回される懸念も残る。

今回の上場では原油取引のドル支配にも一石を投じ人民元の国際化と地位向上につなげる狙いもあるというが、利下げや規制緩和は時として投機を発生させ易い土壌を創造する。鉄筋先物や鉄鉱石先物の乱高下を鑑み過度なバブルに影響されにくいインフラの構築が図れるか否かが国際化への試金石となろうか。


二大消費国の存在

本日の日経紙商品面には「金、中国需要4年ぶり増」と題し、ドル安を材料に堅調持続している金が昨年市場で存在感を高めている中国の宝飾品需要堅調などを背景に、通常は実需に逆風な価格上昇のなかその実需が16年比4%増と13年以来4年ぶりに前年より増加した旨が書かれていた。

この宝飾需要の実需堅調は上記の中国のみならずもう一つの消費国であるインドも昨年導入のGST(物品サービス税)で一時消費が冷え込んだものの、現地通貨建ての金価格が下落した事や農村部の好天で農民の買い意欲が高まった事もあって中国を上回る前年比12%増と大きな伸びを記録している。

当欄でちょうど一週間前に金を取り上げた際に末尾では、WGC報告書で株式市場への資金流出が目立ったことで世界需要が2年ぶりに前年を割り込んだ旨を書いたが、こうした投資需要とは対照的な堅調ぶり。国内では昨年の田中貴金属工業の金地金販売量は16年比で3割減と振わなかった模様だが中国ではちょうど今日まで春節、果たして購入動向はどうであったか注目される。


金回帰の芽

本日の日経紙マーケット面には「金の国際価格上昇」と題し、ファンドなど投機筋の買いが続き先週の安値から約1%水準を切り上げた旨が出ていた。本日も円相場が1ドル106円台と16年11月以来、1年3か月ぶりの水準まで強含む場面があるなど主軸通貨に対するドル安が進行し代替資産とされる金が買われている模様。

この金といえば昨年末の半年ぶりとなる米利上げで取り敢えず弱材料が出尽くしとして年末年始はニューヨーク市場の買い越し幅も数カ月ぶりの高水準に膨らみ上昇傾向にあったが、今月に入ってからの米長期金利上昇に対する警戒感から米株式が史上最大となる下げ幅となったのを始めとした世界的株安や、仮想通貨暴落の影響を受け少なからず換金対象になった感は否めない。

とはいえこの逆風下のなかで上記の通り一際底堅く推移しているのはやはり注目が向かうところで、昨年はWGC報告書の通り株式市場への資金流出が目立ち世界需要が2年ぶりに前年を割り込んだ金も、VIX絡みの逆回転始め今後の為替の動向如何では再度マーケットへの資金回帰の動きが促進される可能性もあるか。


其々の高値

本日の日経紙マーケット面には「白金、10ヵ月ぶり高値」と題して、東京商品取引所のプラチナ先物価格が昨日期先で1グラム3,603円と前週末比で約1%高い約10ヵ月ぶりの高値を付けた旨が載っていた。過去最高値圏で推移するパラジウムや金に比べ、昨年末には1年2ヵ月ぶりの安値まで沈んだことで下げ過ぎとの見方も台頭したという。

ただその上昇の背景には違いがあり割安さのみの物色で値を戻しているプラチナと、上記の金やパラジウムとではその内容を異にする。金は年明けからイラン情勢の緊迫化で堅調推移していたが、金利面からも米国のみ上昇していた状況からECBが想定外の早さで緩和縮小に動くという観測が広がりユーロなど主軸に対しドル安が進行、ドル建て価格を押し上げている。

斯様な動きを背景としてSPDRなどの代表的ETFの金保有残高も減少傾向に歯止めがかかってきている旨を先週末の日経紙でも見たが、日銀金融政策決定会合で金融政策の現状維持を本日発表した日銀のいずれおとずれる出口観測とも併せ今年は各国の中央銀行の政策が一段と金相場を左右するポイントになって来るか。


東西紆余曲折

本日の日経商品面には「堂島商取、SBIと提携」と題して、試験上場期間中のコメ先物取引の売買システムにおいて大阪堂島商品取引所がSBIジャパンネクスト証券から売買システムの提供を受け、傘下証券会社も受託会員として先物市場に参加してもらうという構図でSBIグループとの提携を決定した旨の発表をした旨が書かれていた。

このコメ先物のシステム問題を巡っては秋口くらいから執行部政策や追加投資負担等を巡り業界との間で何かと燻っていたが、こうした事がトリガーになって先週には複数の会員がコメ先物の清算業務から撤退を検討している旨の報道があり、その後には日本商品清算機構が臨時総会でコメ先物を手掛ける堂島商取理事長を解任する件が続いて報じられた経緯があった。

理事会日程等から今月に入って俄かにザワついて来たようにも見えるが背景には東商取やJPXの絡みもあり諸々の事情もあったようだが、コメ先物といえば周知の通り現在異例ともいえる3度目の試験上場中であと1年半あまりで十分な実績を出してゆかねばならない。紆余曲折の感も否めないものの其の先の悲願の総合取引所構想も見据え控え良い方向に向ってゆければと期待したいところである。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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