12ページ目   商品先物

貿易摩擦と商品

週明けの米株式は貿易摩擦に関する新たな悪材料が出なかった事も安心感につながり300ドル超の大幅3日続伸となったが、これを受けた本日の日経平均も3日続伸となった。周知の通り米中貿易戦争がついに幕を切ったが、高揚感に乏しいなかを一先ずは灰汁抜け感からカバーが先行するようなかっこうになっている。

斯様にここまで主要先進国の株式も通商政策に絡むものは大きく売られてきたが、モノの動きを敏感に映し出すコモディティーもまたそれぞれが反応している。大豆は米シカゴ先物が直近高値から約2割の下落を見せ9年半ぶりの安値圏に沈み、また中国経済の悪化懸念から銅も指標のLME3ヵ月物は直近高値から約1割強安値水準に沈んだ。

ここからまたぞろ貿易摩擦の影響が深刻化していった場合には利上げの関係から他に金など再度の上昇軌道を描く可能性もあろうが、何れにしても米は11月には中間選挙を控えその辺の思惑も燻るだけに米中双方が落としどころを模索してくるのかどうか今後も市況と共に目が離せない。


貴金属安と鉱山問題

本日の日経紙マーケット面では、プラチナが主産国である南アの通貨安に加えて産業用に多く使う事から米貿易摩擦深刻化の思惑で売りが先行、日本時間3日夕方時点でNY先物が1トロイオンス810ドル台と約10年ぶりの安値圏に沈み、国内の先物も9年半ぶりの安値を付けた旨が書かれていた。

金に対して下鞘に沈んでからはや3年半、その後も両者の価格差は拡大を続けているが、米貿易摩擦問題に絡んでは中国が米国に対して報復関税の発動に踏み切れば更に一段安の懸念も言われている。一方で金もまた2日のNYで先物中心限月が一時1,240.6ドルと、中心限月としては2017年12月以来の安値を付けた旨が昨日の日経紙夕刊に載っていた。

文中ではRBCキャピタル・マーケットのストラテジストがETFの見切り売りで金価格の下げにも拍車がかかったとしているが、スパンを変えて見てみるとWGC纏めでは今年5月末のETF残高は2484トンとトランプ大統領当選時期から積み上がりを見せ、15年12月末からは2年半で5割強が増加した旨が報じられている。

ドルの逆の動きをし易い金は上記のプラチナと共に更に一段安との予測も出ているが、生産量漸減傾向に見られる金採掘ピークアウト論も中長期的な下支え要因として言われており、こうした生産減少は主要生産国のプラチナの鉱山にも先行き言われている事で今後はこの辺も頭の片隅に置きながら両者を見てゆきたい。


取引員循環物色

本日の日経平均は4日ぶりに急反落し安値引けとなったが、そんな悪地合いの中で一時ストップ高まで値を飛ばし年初来高値を更新した一つにフジトミがあった。この波及効果で同族の小林洋行をはじめ他に第一商品、岡藤HDなど上場している他取引員もザラバでは値を飛ばしていた。

取引員に関しては先月末にかけて上記の岡藤HDや豊商事がそれぞれの思惑で値を飛ばしたのが目を惹いたが、今日の急伸の背景としては今日の日経紙商品面で同社とサンワード貿易、日産証券などがAIを活用した自動売買システムを年内にも導入する検討に入ったとの報に反応したもの。

自動売買システムといえば一昔前にも一部独立系が取引員に自動売買システムを足繁く売り込んでいた時期も懐かしく思い出されるが、当時から比べるに隔世の感がある。先駆して証券系にはこのAI絡みが増殖していた折コモディティーにも波及してくるのは時間の問題であったが、これまた日進月歩の世界だけに各所の展開が今後も注目されるところ。


取引員合従連衡

週明けの日経平均は4月以来の薄商いとなるなか円安等を支えに小幅続伸して終了したが、全市場値上がりランキングの2位には本日ストップ高のまま引けたジャスダック上場の豊商事がランクインしていた。先週のマーケットでもストップ高を交え急騰した岡藤ホールディングスが週間値上がりで堂々の第1位となるなどこのところ取引員の値上がりが目立つ展開だ。

斯様な急騰劇の背景には、既に資本業務提携をしている日産証券が来月にも岡藤ホールディングスの第三者割当増資を引き受け筆頭株主になる事で、将来的な収益拡大の手を打った事が好感されたという事が週末の日経紙商品面でも出ていた。本日の豊商事にしても然りで、エボリューションジャパンからの商品部門取得効果が18年3月期の連結黒字浮上に見られるように早速の統合効果が出ている。

一寸前までを辿れば上記の日産証券はかつてジャスダックに上場していた日本ユニコム色のもとトレイダーズ証券からエイチ・エス・フューチャーズまで絡み、エボリューションジャパンも前身はかつてジャスダックに上場していたエース交易であったが、両社とも上場していた頃を思い返すに最近の合従連衡の動きと併せ随分とその景色も変わってきたものだ。


呼び水の賞味期限

さて、トランプ米大統領によるイラン核合意からの離脱表明など緊迫化する中東情勢を背景に先週からWTIは70ドルの大台に乗せてきたが、先週末の日経紙商品面には「東証取 原油 の売買低迷」と題し、原油相場が上昇基調を強めるなかを先物の売買高は6ヵ月連続で前年を下回るなど低迷している旨が書かれていた。

当の東商取の原油先物はWTIに歩調を合わせる格好で先週末に2015年6月以来の高値を付けて来たが、原油先物のボラティリティーが高止まりする中で売買高が今一つ伸びない背景には「日経・TOCOM原油ダブル・ブルETN」等のETN経由で流入する資金の減少が指摘されている。

ETNの東商取への絡みといえば2年前に当欄では、「東商取にとってETNやETFの組成はまさに救世主となった格好か。商品の設計上まさに東商取への間接効果は絶大、先月からJ-GATEも稼働しアジア指標確立まで視野に入れる東商取としてはこれをテコに幅広い参加会社の誘致など課題だろうか。」と書いていた。

冒頭の日経紙商品面での末尾には「〜ETNのかさ上げ効果がはげた現在の売買高低迷は、石油会社など実需家や個人投資家の参加が限られている課題を浮き彫りにした。」と書かれているが、上記の2年前に書いた課題がなお残されている事の証左か。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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