9ページ目   商品先物

セーフヘブン復活

さて、先週末の日経紙マーケット面にはTOCOMのパラジウム先物相場が1か月半ぶりの高値を付けた旨が出ていたが、貴金属といえばその1週間前には「金急伸1350ドルの天井に迫る」と題し、貿易摩擦が実体経済に影を落とし米利下げ観測の背景が追い風となるなか、金も長期の上値を脱する可能性がにわかに高まっている旨が出ていた。

ETFでも顕著な変化が見られ金は再度セーフヘブンとしての役割を取り戻すべく月替りにかけて1,300ドルの大台を突破してきた事を背景に、金のETFでは最大のSPDRゴールド・シェアの金保有高は今月上旬に2.2%増加し2016年7月以来約3年で最大の伸びを記録したとブルームバーグでも報じている。

ところでWGCが纏めた2019年1〜3月期の世界金需要は前年同期比を7%上回った模様だが、これを牽引しているのが冒頭の末尾にも書いてあった18年以降最大の買い手となった各国中央銀行という。とりわけ米と火花を散らしている国の買いが顕著なのが成る程という感じだが引き続きこの辺は今後のディスクロに注目したいところ。


安全資産一服

さてこのところ世界景気減速の懸念が一先ず後退したという事もあって、一般的に安全資産とされている金から一旦資金を引き揚げる動きを背景にして国際指標となるNYの先物価格の方は当面の下値とされた1280ドルを割り込み年初来安値を付ける動きになってきている。

先に復活しつつあるプラチナについて触れた時にそのETF残高が高値から一転急落の憂き目にあったパラジウムとは対照的に増加している旨を書いたが、その辺を見てみるとこの金も1月下旬から減少が続き今月中旬時点の合計では1709トンと月初から29トン減った旨が先週の日経紙にも出ていた。

フィジカルな部分ではもう一つ、「GOLD NEWS」の見出しにあるように、田中貴金属工業がまとめた金地金の1-3月期の買い取り量が8041トンと前年同期比で実に51%もの大幅な増加をみせ値下がり前に売りたいという向きの増加が浮き彫りになっている。相場が動きそうなファクターとなっている米中貿易問題やブレグジット等は流動的な部分も残されている事でこの辺絡め今後もこれら併せて注視しておきたい。


陰極まれば・・

さて、昨日のETF市場でコモディティーセクターでは純プラチナETFが終値ベースで3,000円の大台を超えて年初来高値を更新していたが、世界の供給量の半分を占める南アフリカ共和国の電力不足が深刻化、電力を大量に消費する白金鉱山が停止する懸念を背景にTOCOMでも約5ヵ月ぶりの高値水準となっている。

プラチナについては先月末にもそのETF残高も価値の裏付けとして保有する現物が直近の合計で約73トンと年初からの増加率が16%に達している旨を当欄で書いたが、今月上旬時点でその残高は78トンと過去最高を記録しており南アフリカのファンドがこのETF買いを主導している可能性がある旨も先週の日経紙に出ていた。

TOCOMでも先のプラチナ地金の受け渡しが数量にして1,543キログラムと27年ぶりの高水準になっている旨を書いたが、先に史上最高値から急落したパラジウムと対照的なETF残高増加を見るに陰極まればの如くやはりフィジカルを絡めた動きはボディーブローのように後々作用してくるか。


尻尾の振れ

本日のETF市場で一際目立っていたのは全市場値下がりランキング第2位となっていたETFSパラジウムの急反落だったが、【GOLD NEWS】の見出しにもある通りパラジウムが自動車販売台数の減少など現物の需要動向やリースレートの低下など地金不足の一服で今後の上値を抑える要因となりそうな旨が昨日の日経紙商品面にて載っている。

足元でパラジウムが日米で史上最高値を更新していた事からPGM系ではプラチナもニューヨーク先物が1週間で4%上昇、連れて世界のETF残高も価値の裏付けとして保有する現物が直近の合計で約73トンとこの一週間だけで4トン増加し年初からの増加率は16%に達している。

パラジウムといえば思い出すのが事実上の強制解け合いにまでなったあのスクイズ事件?が記憶に残るが、当時の高値を超えることはもうないだろうとの業界関係者のコンセンサスは時を経てあっさりと覆った。とはいえ宝飾業界などはプラチナとは逆鞘現象にはなっておらず専ら先物の振れが先行し話題を振り撒いている格好か。


現物デリバリー27年ぶり高水準

さて、昨日の日経紙商品面には「安値プラチナに底入れ感」と題して、ディーゼル車向けなどの需要減を背景にここ5年で国際相場が5割もの下落を演じたプラチナ相場に連動するETF残高が今年に入ってから増加に転じていることで長期的な相場底入れの兆しが出てきている旨の記事があった。

同紙によればここ数年減少が続いていた世界のETFが価値の裏付けとして保有する現物残高の合計が、今年に入ってから増加に転じ今月上旬時点で70トン程度と年初比1割多いという。一方、当欄では先月にPGM系金属について触れその時は純パラジウムETFが年初来高値を更新した旨を書いたが、こちらの残高はプラチナと対照的に1年で4割減少している。

現物の話といえばもう一つ、東京商品取引所での直近の納会(2月物)で受け渡されたプラチナの地金は3,086枚、数量にして1,543キログラムと実に27年ぶりの高水準に達している。この低迷期でもバイプロ目当てで減産機運は乏しいなどファンダメンタルズの劇的な改善があったワケではないが、上記のような現物手当はボディーブローのように効いてくるだけに低迷期から脱却する切っ掛けになるのか否か今後注目しておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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