10ページ目   商品先物

PGM明暗

本日の日経平均は先週末の米中通商協議の進展期待を背景に再度反発となった米株式を受け反発となったが、売買代金の方はいま一つ盛り上がりに欠けるなか新興市場のバイオ関連が物色された。とはいえオプションマーケット3月限で、建玉別価格帯が最多となっているコールの権利行使価格21,500円を抜けて来た事で明日以降も注目される。

ところで上記のバイオ関連に隠れて地味?に上昇しているのが貴金属系のETFか。本日もETFSの金上場投信などが値上がりランキングに顔を出しているが、三菱UFJ信託の純パラジウム上場投信も本日は前場に4,200円高と急騰して50,000円の大台に乗せ年初来高値を更新してきている。

このパラジウム、昨年秋から国際価格は史上最高値を塗り替え今年に入ってからは16年ぶりに金を上回り話題になったものだが、排ガス規制強化による触媒需要増を背景に直近でも先週も1トロイオンス1,400ドルを超え新たに史上最高値を更新しており、欧州を軸とする脱ディーゼルを背景に恒常的安値から抜け出せないプラチナとは対照的。

もう一つ、上記のETFも旺盛な需要の受け皿が売却によって為され供給不足が和らいだ計算となっているが、ここから更に在庫をETF並みに取り崩せるところが他に潤沢にある訳でもなく今後在庫払拭思惑が台頭し其々の格差に更なる変化が出て来るかどうか注目されるところ。


構想再び

本日の日経紙総合面には「総合取引所へ統合検討」と題して、東京証券取引所を傘下に持つ日本取引所グループ(JPX)と商品先物を手掛ける東京商品取引所が、株式などの金融商品と商品先物を一つの取引所で売買出来る総合取引所の実現を目指して統合に向けた検討に入る旨が出ていた。

ちょうど今年は株価指数先物が取引を開始してから30年の節目にもあたるが、デリバティブの売買高といえば大阪取引所は17年度で世界16位にとどまるなど依然冴えない展開が続く。近年は主要取引所の成長事業の位置付けとしてはコモディティーがキーとなっており、アジアでは香港取引所が買収したLMEなど貿易戦争の追い風で取引が活況と復活を遂げつつある。

しかしこの総合取引所構想、これまで何度この言葉を耳にした事だろうか?本邦で実現が遅々として叶わないのはつまるところ縦割り行政の弊害というところなのだろうが、4年くらい前には創設がかなわぬ場合には議員立法云々の発言が出た経緯もあり、税制改正等とも併せいよいよ機運が熟したというか両取引所トップが今週中にも大阪で会談する模様だが、今度こそ具現化するのか否か今後の段取り等含め注目が怠れない。


上場から1年半

さて、先週は「ザラバ化の流れ」として大阪堂島商品取引所のコメ先物取引においてザラバ取引が始まった件を取り上げたが、東の東京商品取引所では白金スポット取引で先物価格を基に算定した理論値を大きく上回るという異例の高値がついている旨の記事を先週の日経紙で見掛けた。

この白金スポット取引、導入時には金に対する下鞘恒常化を背景にしタイミングよく建玉の規模を拡大させていったものだったが、今年に入ってからは売買高減少と共に個人のロングエントリー偏重が裏目に出たようだ。構造上日常の裁定が効き難い分理論値に回帰し辛い部分もあり見直しも課題に上ってくるか。

貴金属といえば一方で金は先週末の同紙商品面で「金、くすぶる先高感」と題し、持続的な米利上げを背景に売り越しを拡大させていた金市場が世界景気の変調による株安やサウジアラビアと米国の関係も緊迫し地政学リスクが台頭した事でカバーが入り易い素地になってきている旨が出ていた。

1,200ドル回復後は先週も週を通じ底堅い動きを継続させていたが、同紙では10月に入ってからハンガリーが金をそれまでの10倍の31.5トンに積み増すなど中央銀行も水面下では金を購入する動きが広がっている旨が書いてあり、今後の見えないリスクの顕在化に合せたリスク回避の動きが強まるようだとまた一段と弾みがつく可能性がある。


ザラバ化の流れ

さて、昨日から大阪堂島商品取引所ではコメ先物取引において原油先物のように随時値決めをするザラバ取引の売買が始まった。注目の初日の売買高は929枚と9月の1日あたり平均を4割ほど上回ったようで、日経紙では取引員の間では慣れないなかではまあまあの数量で限月間の値差が出てくればさらに注文が増えるのではとの旨が書かれていた。

商品といえばかつては総板寄せであったのは周知の通りだが、近年はコモディティーにもHFTの波は押し寄せてきており、今回の売買方式変更に際してはいろいろとゴタゴタもあったようだがこの辺は時代の波、このザラバ移行でまた更に一歩日本の商品市場も風景が変わる。

来週からは秋田県産米が追加で上場となるはこびだが、いずれにしてもこのコメは来年8月までの試験上場となっており、これまで延長を繰り返してきた背景からこれで本上場が認められなければ廃止となる可能性がある。このザラバ移行が奏功するか否か期待と不安が交錯する展開はまだ続く。


あれから10年とこれからの金

約1週間前に束の間の1,200ドル大台を回復した金が週を跨いで再度の大台割れとなっているが、昨日の日経産業紙には「有事の金輝き失わず」と題し国際市場に不透明要素が充満するなかでも低迷している金も、一方で実質金利が上昇しても下げ渋るなど新たなリスクを背景に色褪せていない旨が書かれていた。

ちょうど一週間前にも当欄ではリーマン危機から10年目という中での金を取り上げたばかりだが、このリーマン危機時も換金売り一辺倒からS&P500等を凌ぐ急回復にスポットが当たったものだがその後も回復のキーとなったのは危機後から低下を続けた米実質金利にあっただろうか。

冒頭の通り地政学リスク含む新たな不確定リスクが蔓延しているなかで当の実質金利は昨年末あたりから上昇場面も見られ微妙な均衡となっているが、コモディティーから金融商品の側面が色濃くなりその変動要因もより多層化してきている事もまた現状の膠着の背景とも言えるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2024

5

1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31