各々の事情
さて、先週末の日経紙商品面には「貴金属、値動き二極化」と題し、各国の金融緩和を背景に世界でカネ余りが続くなか投資マネーの受け皿となって高騰する金や銀に対して、自動車の排ガス触媒など産業用素材として使われるプラチナやパラジウム相場の出遅れ感が顕著になっている旨が出ていた。
パラジウムに関して文中でドイツ精錬大手へレウスが自動車排ガス規制強化を背景に逼迫が続いて来た需給が2009年以来初めて均衡状態に達すると予測した旨が出ていたが、同社は1月末に公表した年内の価格見通しを11%引き下げる一方、年内の金価格見通しについては31%上方修正、また銀に至っては54%上方修正している。
半年間の騰落率でも上方乖離が目立つ銀は先に取り上げたロビンフッダーなどイナゴ勢の買いがこれらの一因にもなっており、主要銘柄アイシェアーズ・シルバーのホルダーは3月から先月段階で4.5倍にまで膨れ上がっているが、こうした背景があるだけに同じく上方修正された金とはまた性格を異にしているのは明らか。
またPGM系でもプラチナのバイプロとして採れるロジウムはその希少性から国際価格が再度急騰するなど他と動きを異にしているが、何れにせよこの新型コロナウイルスが創造した市場環境のなかで斯様に今後も各々がそれぞれの事情を背景に緩和マネーの受け皿として選好される構図はまだ続こうか。