14ページ目   商品先物

プラチナ選好

先週末の日経紙マーケット面には「プラチナ、長引く価格低迷」と題して、価格低迷が鮮明化し需給バランスの崩れから相場の低迷は今後も続くとの見方が強まっている旨が載っていた。そういえばちょうどこの時期になるとホリデーギフト等の案内が多くなってくるが、ジュエリーなど同じモデルでもプラチナ仕様のモノが極端に高いケースなど違和感を覚えるようになって来た。

一般的には宝飾品でも白モノの貴い輝き信仰は依然として日本人には多いが、お隣中国では昨年のプラチナの宝飾需要は40.4トンと直近ピークである2009年の60.8トンから34%も減少となっている。プラチナ信仰は投資用でも顕著で下鞘化の15年から16年にかけて本邦勢のみ買い向かった経緯があるが、今年の地金販売量は田中貴金属工業で1月から9月が前年同期比で5割近く減少と報じられている。

先月アタマの当欄では「クレジットカードなんぞもゴールドより格上のプラチナカードが肩身が狭い等との冗談も出てきそう〜」と書いたが、今月9日の日経紙・春秋でも「クレジットカードのグレードはゴールドより上級だが、見直しを迫られまいか。」と似たような事が書いてあった。不動のカードグレードやジュエリー価格へ名実共に即した価格に回帰するのか否か恒常化した鞘を今後とも見守ってゆきたい。


裏経済需要

昨日の日経紙商品面には「金の現物購入 復活の兆し」と題して、世界最大の金消費国の中国と第2位のインドで金の現物購入に復活の兆しが出て来た旨の記事があった。中国は通貨政策と資源政策の両面で金輸入を増やす可能性があり、インドは7月から税制改革の一環で消費税GSTを課したがその導入前の駆け込み需要で金購入が増えた面もあるという。

さてこの駆け込み需要はそれとして、このインドでは上記の3%のGST導入と同時に12.5%かかる相殺関税を撤廃しているが、ここに一部の業者が目を付けFTA(自由貿易協定)を結んだ韓国などからの輸入には関税がかからない点を悪用して輸入後に形状を変える精錬を施し転売するというケースが横行しているという。

金を利用した不正錬金といえば日本も密輸に年々拍車がかかっており、財務省も今週はこうした事態を受け17年度予算で金属探知機を早期導入する他、機内検査の強化や罰則を強める等の関連法改正も目指すようだが、裏では抜け穴を見つけこうした地下経済が横行しているのは何も我が国だけの問題ではなさそうだ。


動き始めた大手

さて、その大台が変る度に取り上げられるビットコインだが本日の日経紙マーケット面では「ビットコイン上昇続く」と題して、仮想通貨の代表であるビットコインの価格が日本時間2日夜に1ビットコイン7,000ドル台に乗せ、5日には7,600ドルを上回る場面があるなど依然としてその騰勢が衰えない旨が載っていた。

こうした背景にあるものの一つがCME(米シカゴ・マーカンタイル取引所)が先月末に発表したビットコイン先物の上場計画であるが、先物といえばこれに先駆けて夏にはCBOEも先物上場を発表している他、レッジャーXがCFTCの認可を得てビットコイン・オプションの取引を開始している。

これだけの大手による上場計画となれば参加者増の期待が高まるが、実際に全米最大の取引所であるコインベースではこれが報じられた1日だけでも早速約10万人が口座開設した旨が報じられている。加えて先の8月の分裂に続いて今月中にもビットコインゴールドに絡む分裂思惑もあり、新通貨の権利取り思惑等併せまだまだ年内目の離せない展開が予想される。


実ってきた果実

さて、週末の日経紙一面にはトランプ米大統領がFRB次期議長にハト派のパウエル現FRB理事を指名した旨が載っていた。イエレン路線を継続し利上げペースも引き続き緩やかになるとの見方で金相場も連休前まで内外共にその水準を切り上げてきているが、またぞろ今月は金地金27キロを大型クルーズ船で密輸したとの事で那覇地検が関税法違反罪等で中国人ら4人を起訴したとの報が入ってきている。

さてこんな貴金属を使った不正錬金は論外として、先週末の日経紙マネー&インベストメントには「貴金属、株価調整に備え熱く」と題し一般では現物、先物からETF等々投資の選択肢が広がりを見せ、主力の金のみならず下剋上著しいPGM系貴金属もまた資産を分散する受け皿の一つになっている旨が書かれていた。

特にETF系は主力のSPDRが上場してはや10年近くになるが、後発の三菱UFJ信託の「金の果実」など上場時から27倍超と過去最高の水準にある事を同紙の記事で改めて知った。また「プラチナの果実」も金との価格逆転からその増加に拍車がかかっている格好で純資産残高は3年前のほぼ5倍の水準となっている模様だ。

このプラチナ含めたPGM系も上記の通り近年の下剋上でパラジウムが頭角を現してきており、本日も同シリーズ「パラジウムの果実」は年初から1万円ほど水準を切り上げて年初来高値を更新してきている。ETF活況が継続すればリクイディティの薄い他の組成モノへの波及効果も見込まれようが、斯様に選択肢の広がりは投資家の広がりを誘発し要のリクイディティの一助となって来ようか。


PGM下剋上

本日の日経紙マーケット面では「白金、下落が一服」と題し、ここ1カ月間値下がりが続いたプラチナの国際相場が週明けに付けた安値からショートカバーが先行し下落が一服している旨が載っていたが、このプラチナといえば先週は自動車触媒に使うパラジウム相場を16年ぶりに下回ったことも話題になっていた。

プラチナとパラジウムといえば当欄では今から2年前に「盛者必衰」と題し、工業需要低迷の環境から「〜パラジウムとは対照的にプラチナは更に低迷が恒常化する可能性もあるか。」と書いていたが、あれから2年が経過し果たしてというか遂にプラチナ価格がゴールドに続きパラジウムを下回る日が到来といった感じである。

パラジウムに先駆け既に当時からゴールドの価格をも下回っていた下鞘もいまだ解消せず2年8ヵ月超と過去最長の記録を更新し続けているが、これだけ恒常化するとクレジットカードなんぞもゴールドより格上のプラチナカードも肩身が狭い等との冗談も出てきそうだが、パラジウムカードは誕生当初よりプラチナより上位でカードのヒエラルキーもなかなか面白い。

しかしパラジウムの上鞘もゴールド同様に恒常化すると触媒もプラチナへのシフトさえ起きるとの見方もあるが、既に歯科の補綴などでは今月から保険適用の負担額が増加するなど末端への影響が現実のものとなってきており成り行きによってはメーカー等もその対応を迫られる事にもなるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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