22ページ目   商品先物

軌道

この連休中に海外では金の国際価格が上昇し、指標となるニューヨーク先物価格はほぼ1年3ヶ月ぶりに1トロイオンス1,300ドル台を付けていた。先の米雇用統計もNFP(非農業部門雇用者数)の伸びが予想を大きく下回り、6月利上げ観測が大きく後退するなどドル安が進行し易い環境で代替資産とされる金にマネーが流入している構図となっている。

ところでこの金といえばTOCOMの金限日取引「東京ゴールドスポット100」が先週末で上場から1年を迎えている。同取引については度々当欄でも取り上げ「限日好調」と題して挙げた前回の昨年10月末時点では建玉が初めて7万枚を超えた旨を書いたが、それも先月末では先物標準と肩を並べる8万5千枚超えまで膨らんできた。

これが軌道に乗りつつあることで同所は年度内に白金でも限日取引を導入する方針ということだが、次期取引システム移行時の金オプション取引の商品設計変更等も併せ近年の原油に厚みが増している援軍が効いているうちに次の主力を育てる事が出来るかどうか引き続き今後に注目である。


代替通貨再び

先週末の日経紙マーケット面には「金、ドル高修正で高止まり」と題して、年初来の上昇要因であった原油安や金融市場の混乱が一服しても、ドル高の修正でファンドなどの大口投資家が金の代替通貨としての性格を重視し買いを膨らませている為に高止まりしている旨が載っていた。

原油価格の立ち直りで金価格を動かす環境も最近は変わってきたが、上記の通り大口投資家の先物の買い越し幅が3年半ぶりの高水準になる一方でETF総残高は漸減傾向となっているなど、現物資産代表格も派生モノで価格への影響力は近年強くなってきている事もあり政策としての中央銀行保有等も所説入り乱れる事が多くなってきた。

金相場を巡って当面の焦点は6月の利上げに向けて思惑が募る今週の米FOMCとなっているが、これから続報が出てくるであろう当欄でも取り上げた「パナマ文書」の存在も予期しない不安材料を多発させる可能性が十分にあるだけに、派生モノ含めて今後も目が離せない展開が続くか。


思惑交錯

さて原油相場が今週も堅調スタートで、週明け11日のニューヨーク原油先物相場は17日にカタール・ドーハで開催される会合で産油国が「増産凍結」で合意出来るとの期待で2週間ぶりに1バレル40ドルの大台を回復している。もうはまだなりの如く意外に堅調だが、需要が低迷する中それぞれの思惑も交錯し不透明感も依然強い。

いずれにしても会合をにらんで懐疑的な見方も入り混じっての思惑先行でボラタイルな展開になろうが、CTAやヘッジファンド等の投機資金はETF等からの流出が目立つ展開となっていることでトレンド形成とはなっていないとの指摘も一部にはある。

ところで昨年のTOCOMの売買高は前年度に比べて13%増となった模様だが、背景にはこの原油の寄与が大きいだろうか。中盤から上場したゴールドスポット100も寄与しているものの、特に1月、2月の原油売買高は14年前半までの実に10倍増となっている事でやはりETN等の存在は侮れない。

この勢いに乗じて使い勝手のよいオプションなどあればリクイディティも確保出来そうな感じがしないでもないが、そんなことを想うにつくづく大証225オプション市場がスタートした当初を思い出してしまう。


需要と思惑

本日の日経紙マーケット面には「金先物、上昇に一服感」と題してFOMCを前にして金先物へ利益確定売りが出ている旨が載っていたが、昨日の商品面にはSGX(シンガポール取引所)やSGE(上海黄金交易所)などアジアを中心とした新規参入の金取引が十分に機能していない旨も出ていた。

やはり欧米をコアにして築かれたマザーマーケットの構図を変えるのは容易ではなさそうだが、相場には「需給は全てに優先する」の格言があるが価格に限らず需要が喚起されなければその枝葉の広がりも望めないというところだろうか。

そんな金取引のなかで昨年TOCOMがスタートさせた限日取引の商いが順調とも書かれていたが、次期取引システムへの移行時に金オプション取引の商品設計も変更するなどして再上場に向けた動きも始まっている模様だ。先週は原油のオプション市場を一寸挙げたがこうしたマザーと比較すれば休止状態となっている現状は見る影もない。アジアの覇権を狙う各所の思惑はまだまだ続きそうだ。


鞘の変化は基調の変化

本日の日経紙総合面には「資源価格に底入れ感」と題して、中国の財政出動による需要拡大期待の浮上や産油国の増産凍結を目指す動きが広がり、商品価格の動きを総合的に示すロイター・コアコモディティーCRB指数が約2ヶ月ぶりの高水準になるなどコモディティー全般の国際価格に底入れ感が広がっている旨が載っていた。

個別では鉄鉱石が約9ヵ月ぶり、原油は米国指標のWTIが約2ヵ月ぶり、銅は4ヵ月ぶりの高値を付けるなどしているが、特にこの原油は先月中旬にオプションマーケットで45ドルのコールのロングが3月物で1月末に比べて5割増に膨らむなど投資ファンドや需要家が反発を睨んでヘッジを掛けている旨が同紙で報じられていた。

此処までの戻りでこうした向きは思惑通りとなった訳だが、先物では「鞘の変化は基調の変化」なる言葉があり、コンタンゴでも微妙な変化を感じ追ってショートする気味の悪さを感じ取っていたのだろう。斯様な嵩上げで崩落していた資源株も内外問わず戻りに入っているが、こちらも比率の高かったモノのカバー一巡後が焦点といえようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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