26ページ目   商品先物

TPP大詰め

本日の日経紙商品面には「コメ先物、卸会社の取引拡大」と題して、大阪堂島商品取引所のコメ先物の売買高が6月まで5ヵ月連続で前年同月比プラスになるなどじわりと増えつつある旨が書かれていた。東証一部上場のヤマタネやジャスダック上場の木徳神糧など、大手コメ卸3社が同取引所の会員資格を取得するなど流通業者の取引拡大で先物も浸透しつつあるという。

この大阪堂島商品取引所といえば、先週に来月上旬に迎える試験上場期限延長を農林水産省に申請したばかりであるが、これで試験上場が始まってから2度目の延長である。上記の通り流通業者も先物が浸透しつつあるとはいえ、如何せん採算ラインを考えると未達で本上場というワケにはいかないのが現状だろうか。

とはいえ今まさにTPP協議が大詰めを迎え昨日からの閣僚会議の行方も注目されるところで、JAもこうした背景に挟まれ身の振り方が難しいところだろう。ただ市場は卸、生産者といったところの参加があってこそ先物価格も指標になり得、生産現場の利点も大きくなるのは事実である。


LMEX指数

本日の日経紙商品面には「国際商品、投機売り加速」と題して、米商品市場の投機筋による買い越し残高が金で1年7ヶ月ぶり、原油は3か月半ぶりの低水準となるなど投資ファンドの売り姿勢が鮮明になってきた旨が載っていた。

この辺に関しては先週も当欄で書いたようにドル高による割高感が直撃している格好になっているが、同紙の末尾にも書いてあるようにもう一つ中国経済の鈍化懸念もこれら相場の足を引っ張っており、同国が世界最大の消費国となっている銅などロンドン先物市場で投資ファンドは売り越しに転じている。

銅に限らずアルミも6年ぶりの安値圏にあり、こんな市況からLMEでは非鉄金属6品目で構成する「LME指数」は5月の直近高値から約2割下落し6年ぶりに安値更新している。この辺は東証の非鉄ポストにも影響を及ぼし昨日まで7営業日続落、お馴染みの別子などお約束の下落が続いているが、非鉄が軸の住友商事など商社株にも波及しておりどの辺で配当利回りが下落を止めてくるかこの辺もまた注目である。


吐き出し

さて、本日の全市場値下がり率上位には先駆した仕手系に交じって、商品指数連動型ETFが上位に出ていたのも目に付いた。昨日の日経紙夕刊一面も「国際商品下げ加速」と題して原油や金などの主力級の値下がりが顕著になっている旨が出ていたが、切り返し急であった株式相場とは値動きを異にしている。

先月に当欄では需給は全てに優先するとして金に対してのプラチナの逆鞘が長期化している旨を書いたが、上鞘の金も中心限月が8日続落し時間外で約5年5ヶ月ぶりの安値に沈み東京金も8ヶ月ぶりの安値、プラチナに至っては節目である1,000ドルを6年半ぶりに割り込んでいる。

節目の大台割れと言えば貴金属以外でも原油が4日続落しザラバで50ドルを割れ約3か月半ぶりの安値を付けるなどドル高による割高感が直撃する格好になっている。こうした過程で金のETF残高は代表格のSPDRで700トン割れとリーマン・ショック前の水準にまで落ち込み、同ショック後の安全資産として買われた分が手放された格好になった。

各アセットが組んでいる国内連動型のETFやETNなども、間接効果があるだけに2倍型など吐いた分がどの程度原資産に影響してくるのかこの辺も今後注意深く見守りたいところ。


動く金

さて、約二週間前には「需給は全てに優先する」と題して金に対してのプラチナの逆鞘が長期化している旨を書いたが、「金銀比価」でも一年前の63倍から今年になって2009年以来となる70倍超えの水準が続いており割安感が恒常的になってきている。

何れにしろギリシャ債務問題は混迷を極め共通の財政政策を持たないユーロの弱点がまたぞろ表面化しつつある昨今、あらためて安全資産とされる金の底堅さが顕著になっているというところだが、この辺は本日の日経紙商品面にも「ドイツで増す金需要」と題し金の公的保有含めた記事が出ていた。

公的保有と言えばこのドイツは米国やフランスに保管してあった保有金を自国の連銀金庫に移送云々も書いてあったが、先月にはオーストリア中銀も英国から持ち帰る以降を表明しており、またスイスも国外保有の金をスイスへ移す等を問うた国民投票を昨年実施したばかり。ユーロへの不信感払拭はそう簡単な問題ではないようだ。


需給は全てに優先する

本日の日経紙マーケット面には「プラチナ、長引く逆転相場」と題して貴金属市場の中でも金と、本来であれば割高になるプラチナが値下がりの激しさによってその値動きに差が出ている旨が載っていた。

この逆転劇といえば東日本大震災での自動車生産台数激減を囃して以降もう恒常的に取り沙汰されるようになったが、近年では外貨準備や代替通貨として買われる通貨の二面性を持った金と、あくまで素材としてのプラチナの差といったところが顕著になってきているというところだろうか。

また、同紙の冒頭にはプラチナの生産量が年間200トンで金の15分の1以下であるから、その希少性で通常はプラチナの方が価格が高いといった一文があったが、そもそも需要が供給を満たさなければこの通説自体があまり意味をなさない物になってしまうのは当たり前である。相場格言で「需給は全てに優先する」とはよく言ったものである。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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