41ページ目   商品先物

遅ればせながら

さて、週末には楽天証券など先月度の各種ランキングを発表しているが、ETFではベスト10のなかにコモディティ系が2つ入ってきており、やはりというか三菱UFJ信託の純金およびSPDRとその何れもがゴールドとなっていた。

ところでこの金といえば先週の日経紙には「年金マネーは金を目指す」として、信託銀行が企業年金向け商品に金を組み込んだり、厚生年金基金の一部も金の運用を開始するなど日本の年金が金に食指の旨が載っていた。上記のSPDRが年金専門誌に広告を出し、もう一つの三菱UFJ信託も企業年金向けの商品ラインナップに「金投資」を加える等の動きがある模様だ。

株価の低迷で年金の運用難は既に彼方此方で報道され、斯様な事情から先のAIJのようなモノにまで引っ掛かるオマケ付きだが、そんな事も背景にあって本邦も漸く重い腰を挙げたような格好か。一方で米など公金運用に関しては流石に機動的で、金運用をしているものではテキサス州教職員退職年金基金や、テキサス大学基金が金先物の玉を現引きの話などは昨年の当欄でも既にコメントしている。

先にNY金先物は、米雇用統計の改善傾向等で金融緩和期待が一段と後退し約2ヶ月ぶり安値まで一服、米大統領選で共和党のロムニー候補が勝利すればドル高政策から更に金価格の下落に繋がるとされていたが、果たしてオバマ氏の再選が決まり再度金を始めとした国際商品の押し上げ圧力が掛かるとの見方も台頭してきた。これから金融緩和や中国景気を睨んで乱高下も予想されるが、今後どの程度裾野の広がりが見られるかこの辺も興味深い。


貴金属の効用

本日の日経紙マーケット面には「金、投機資金が流出」と題してここ直近で金の国際価格が続落している旨が載っていた。これらファンドの利益確定売りや株安の抱合せリバランス要因との見方だが、世界的な金融緩和の流れから今後は再度上昇基調が回復するとの観測も多い。

さて相場観は兎も角も、貴金属といえば最近はその効用?について目に付く機会が多い。今月の日経「私の履歴書」を執筆している有機化学者根岸英一氏の先週の項では、パラジウムは触媒活性が十分に高いだけでなく結合部位の選択性がほぼ100%で、パラジウム触媒はクロスカップリングに最も適している旨が書いてあった。

このPGM系では先週末にも東大教授らが触媒や燃料電池、電子機器等の材料に使用する白金を効率よくリサイクルする技術を開発した旨の報もあったし、上記の金はその特性を生かしインフルエンザ等のウイルス診断や妊娠検査まで幅広く応用出来るという。再来月には当社等の運営で品川コクヨホールにて「TOKYO GOLD FESTIVAL’12」が開催される予定となっているが、こんなマルチな才能に思いを馳せてフェスタに臨むのもいいかもしれない。


今度は胡桃?

本日の日経紙には「マネー・農業共に育つ」として、農産物の値上がりを見込んで流れ込む先物市場への投機資金やそれに絡む関連ファンドの多様化などが載っていた。まさにメタル等と同様にアグリ系もここ最近では本当に商品が多岐にわたり、コモディティー金融化の流れがひしひしと感じられる。

ところでコモディティーでも一寸毛色の違うものとして、中国で「胡桃」投資熱が高まり年代物で大きく均整の取れた胡桃に数万ドルの値がついている旨を過日ロイターが報じていたのを思い出した。しかしこんな小物もこうなるとまるでチューリップ投機状態になるが、数年前の「プーアール茶」投機もまさにそのミニ版だった。また記憶に新しいところでは当欄でも前年同期比で値段が120倍にもなった「大蒜」、また「唐辛子」を取り上げたこともあったのを思い出す。

当の中国では目下経済成長率が政府目標である前年比7.5%を下回る懸念が指摘され始めており、株式や不動産など低迷から抜け出せない状態。こういった伝統的資産への投資リターンが低迷する反面、依然前回のバブルで暗躍した投機資金は温存されている状態で行き先の無い過剰流動性の存在が折に触れクローズアップされるところ。


破壊と創造の匙加減

さて週末の日経紙商品面には、TOCOMが発表した8月の外国人投資家の売買高が105万9,324枚となった旨が載っていた。前年同月比で33%減となったものの、取引全体に占める比率は29.7%となり、単月で過去最高だった7月に続く高水準となった模様だ。

斯様にコモディティー市場においても外国人の存在が鮮明になってきているが、この辺に関しては同所がアジア投資家誘致に躍起になっている旨が前日の同紙にも載っておりまだまだ増殖の余地ありといったところか。平行して今月は農産物市場開設を正式決定しシカゴの農産物市場をとの裁定取引を促し売買を活発にしたいとの抱負を述べていたが、裁定取引といえば「金ミニ」市場も最終決済価格を標準品決済日寄付値に変更し裁定を促す旨も報じられている。

この辺がインフラと共に整備されてくるとなるとやはりコモディティー市場もHFT化?の流れに拍車がかかるかというところだが、それに伴い個人等の取引形態にも変化が見られるのであろうか。ところでこの個人に関してだが、先週には経産省が金融商品先物を1年以内に投資した経験者に限って勧誘を認めるという商品先物取引の営業行為の規制を見直す方針を固めている。

しかしこの方針、総合取引所を睨み規制によって縮小してきた市場に歯止めをかけ改正金融商品取引法も睨んだ措置とはいうものの、コチラの方はなんとも無手勝流な措置という感はやはり否めないところである。


自動化の弊害

本日の日経紙商品面には「自動売買で売り膨らむ 成約件数、通常の130倍に」として、17日のニューヨーク市場のWTI原油が5分間で1バレルあたり2.6ドル強急落した旨が出ていた。CFTCは粛々と原因の調査を始めているらしいが、参加者による自動売買が大幅下落につながったとみられている模様である。

自動売買といえばコモディティに限らず近年ではFX等も末端までシステム系が浸透してきた感もあるが、近年のレバレッジ規制等で投資化層によっては資金効率が低下、アクティブさを求める向きに応える形からこうした流れが台頭してくるのは自然なところ。ただこの手が普及すればするほど市場では上記のような突飛な急変値が出現するのは当然だろうか。

国内商品市場でもシステム入れ替え後に石油製品等で異常値が出た際に無効措置が取られたりしたことがあったが、他方でオプション市場等では不透明なシステム売買によって付いた異常値でも付いた値が相場とばかりに先の震災時には多額の資金が市場に消えた経緯もある。結局自動とはいえ使いこなしは人知判断、個々は執行リスクを勘案して臨みたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2024

11

1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30