41ページ目   商品先物

LNG市場

本日の日経紙企業面には、関西電力が北米の市場価格に連動するLNGを2017年から調達するとの旨が出ていた。原発再稼動が遅れる中を割高とされるLNG調達コストの低減に繋げるということだが、このLNGといえば先週には経産省が世界初の先物市場創設を検討する協議会を開催、TOCOMや取引員含む18社が参加した模様だ。

LNG先物については当欄でも夏場に電力先物と共に上場要請があった旨に一寸触れたことがあったが、石油先物市場をよく使っていた当業勢もかねがねこのLNG待望論を口にすることが多く、取引所の中期計画内でも上場検討商品でA重油を外しLNGを加えていたことからこの流れは自然なところで、経産省も実現の暁には市場は需給に応じた価格になるとしている。

ただこれまた独特の商慣習が存在しており、この辺が壁になって今迄他の市場でも数々の新規上場商品を打ち出したものの、食品から産業資材までそのリクイディティーの無さから可也足元の需給とは乖離した相場が続いていたのが記憶に新しい。新規上場商品でなくとも、例えば東穀取でかつてスタートさせた「eコマース」等もこの壁が障害になったいい例でありこの辺をどうクリヤするかが課題となろう。


遅ればせながら

さて、週末には楽天証券など先月度の各種ランキングを発表しているが、ETFではベスト10のなかにコモディティ系が2つ入ってきており、やはりというか三菱UFJ信託の純金およびSPDRとその何れもがゴールドとなっていた。

ところでこの金といえば先週の日経紙には「年金マネーは金を目指す」として、信託銀行が企業年金向け商品に金を組み込んだり、厚生年金基金の一部も金の運用を開始するなど日本の年金が金に食指の旨が載っていた。上記のSPDRが年金専門誌に広告を出し、もう一つの三菱UFJ信託も企業年金向けの商品ラインナップに「金投資」を加える等の動きがある模様だ。

株価の低迷で年金の運用難は既に彼方此方で報道され、斯様な事情から先のAIJのようなモノにまで引っ掛かるオマケ付きだが、そんな事も背景にあって本邦も漸く重い腰を挙げたような格好か。一方で米など公金運用に関しては流石に機動的で、金運用をしているものではテキサス州教職員退職年金基金や、テキサス大学基金が金先物の玉を現引きの話などは昨年の当欄でも既にコメントしている。

先にNY金先物は、米雇用統計の改善傾向等で金融緩和期待が一段と後退し約2ヶ月ぶり安値まで一服、米大統領選で共和党のロムニー候補が勝利すればドル高政策から更に金価格の下落に繋がるとされていたが、果たしてオバマ氏の再選が決まり再度金を始めとした国際商品の押し上げ圧力が掛かるとの見方も台頭してきた。これから金融緩和や中国景気を睨んで乱高下も予想されるが、今後どの程度裾野の広がりが見られるかこの辺も興味深い。


貴金属の効用

本日の日経紙マーケット面には「金、投機資金が流出」と題してここ直近で金の国際価格が続落している旨が載っていた。これらファンドの利益確定売りや株安の抱合せリバランス要因との見方だが、世界的な金融緩和の流れから今後は再度上昇基調が回復するとの観測も多い。

さて相場観は兎も角も、貴金属といえば最近はその効用?について目に付く機会が多い。今月の日経「私の履歴書」を執筆している有機化学者根岸英一氏の先週の項では、パラジウムは触媒活性が十分に高いだけでなく結合部位の選択性がほぼ100%で、パラジウム触媒はクロスカップリングに最も適している旨が書いてあった。

このPGM系では先週末にも東大教授らが触媒や燃料電池、電子機器等の材料に使用する白金を効率よくリサイクルする技術を開発した旨の報もあったし、上記の金はその特性を生かしインフルエンザ等のウイルス診断や妊娠検査まで幅広く応用出来るという。再来月には当社等の運営で品川コクヨホールにて「TOKYO GOLD FESTIVAL’12」が開催される予定となっているが、こんなマルチな才能に思いを馳せてフェスタに臨むのもいいかもしれない。


今度は胡桃?

本日の日経紙には「マネー・農業共に育つ」として、農産物の値上がりを見込んで流れ込む先物市場への投機資金やそれに絡む関連ファンドの多様化などが載っていた。まさにメタル等と同様にアグリ系もここ最近では本当に商品が多岐にわたり、コモディティー金融化の流れがひしひしと感じられる。

ところでコモディティーでも一寸毛色の違うものとして、中国で「胡桃」投資熱が高まり年代物で大きく均整の取れた胡桃に数万ドルの値がついている旨を過日ロイターが報じていたのを思い出した。しかしこんな小物もこうなるとまるでチューリップ投機状態になるが、数年前の「プーアール茶」投機もまさにそのミニ版だった。また記憶に新しいところでは当欄でも前年同期比で値段が120倍にもなった「大蒜」、また「唐辛子」を取り上げたこともあったのを思い出す。

当の中国では目下経済成長率が政府目標である前年比7.5%を下回る懸念が指摘され始めており、株式や不動産など低迷から抜け出せない状態。こういった伝統的資産への投資リターンが低迷する反面、依然前回のバブルで暗躍した投機資金は温存されている状態で行き先の無い過剰流動性の存在が折に触れクローズアップされるところ。


破壊と創造の匙加減

さて週末の日経紙商品面には、TOCOMが発表した8月の外国人投資家の売買高が105万9,324枚となった旨が載っていた。前年同月比で33%減となったものの、取引全体に占める比率は29.7%となり、単月で過去最高だった7月に続く高水準となった模様だ。

斯様にコモディティー市場においても外国人の存在が鮮明になってきているが、この辺に関しては同所がアジア投資家誘致に躍起になっている旨が前日の同紙にも載っておりまだまだ増殖の余地ありといったところか。平行して今月は農産物市場開設を正式決定しシカゴの農産物市場をとの裁定取引を促し売買を活発にしたいとの抱負を述べていたが、裁定取引といえば「金ミニ」市場も最終決済価格を標準品決済日寄付値に変更し裁定を促す旨も報じられている。

この辺がインフラと共に整備されてくるとなるとやはりコモディティー市場もHFT化?の流れに拍車がかかるかというところだが、それに伴い個人等の取引形態にも変化が見られるのであろうか。ところでこの個人に関してだが、先週には経産省が金融商品先物を1年以内に投資した経験者に限って勧誘を認めるという商品先物取引の営業行為の規制を見直す方針を固めている。

しかしこの方針、総合取引所を睨み規制によって縮小してきた市場に歯止めをかけ改正金融商品取引法も睨んだ措置とはいうものの、コチラの方はなんとも無手勝流な措置という感はやはり否めないところである。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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