58ページ目   商品先物

国際商品への反応度

さて、もう年度末だが今月は久し振りに「日経・東工取商品指数」など大型商品の上場があったが、もう一つ商品モノの上場イベントといえば9日付けで触れた、ETFセキュリティーズの国際商品価格連動型の14本のETFの東証上場もあった。

前回のETFセキュリティーズ物といえばメタル系5本の上場であったが、今回はDJ-UBS総合商品指数とそのサブ指数4類型商品指数、9種類の個別商品指数連動型である。このDJ-UBS総合商品指数など商品投資に際して広くベンチマークとして利用されているが、初日のそれは寄りの一本値で売買代金は9万円一寸と可也寂しかった。

他、初日の概況としては初モノと囃されたガソリンなどは寄りから9%上昇して終了と一部報道されていたが、これも後場に入ってからの寄り後のわずか20口の値付けで値が飛んだに過ぎず、TOCOMでは既に立会い休止が決定したアルミニウムなども寄り一本値で売買代金は5万円ちょっと、穀物指数に至っては出来申さずと総じて様子見気分が強かった印象である。そんな中でも目立ったのはCFD等でも一部人気のある小麦で初日の値付けも最多?で、売買代金も345万円超と上場初日の全14銘柄合計売買代金の約半分を占めた。

それにしても今回は一気に14本の投入。こんなペースからすると今年はETFの品揃えが100銘柄の大台を超えるのはほぼ確実だろうが、上記にも見られる通り要となるのはリクイディティー、値付け商いで辛うじて上場維持してきた商品先物銘柄の如くの指数系一部など含め、これの確保が適わないモノは淘汰の波にさらされる動きもあるのだろうか。


日経・東工取商品指数上場

周知の通り、本日は東京工業品取引所において「日経・東工取指数」がはれて上場の運びとなった。

本日の日経紙朝刊でも広告が出ておりそこにはこの指数のメリットとして、1.分散投資による資産運用、2.物価変動リスクをヘッジ、3.取引期限のない限日取引で長期投資に活用とあるが、今回の売りとして注目はやはり3の「限日取引」の部分か。かねがね業界活性化論上において一部には限月取引のデメリットを指摘してきた向きも多く、ここ近年のFX取引の台頭なども更にこれらの限日取引待望論を増幅させていた面もある。

まあ、限月があればこそスクイズその他の旨みも多いのだが、近年の取組や参加者誘致の趣旨?からはこうしたものの上場が急務だったのは事実だろう。しかし株式でいうところの日経平均やTOPIXのような指数がそもそも今迄取引されてなかった事自体もおかしな話である。そう考えるとこんな大型商品の初モノ上場はもっと喧伝されていて然るべしであるし、全社が参加していて当然という視点で現状を見るとなんとも静かな感は否めない。

ともあれ、次の展開としてはこれに連動するETFやらブルベア物の投信の登場はもうお約束のようなものだろう。更に年金など機関投資家等をも視野に入れた場合、これを利用してくれるかどうかはベンチマークとしての要件を満たしているか否かに懸かってくるワケで、市場管理含め今後の運営がいろいろと注目されるところでもある。


一つの布石

FUTURES PRESSでも既報の通り、昨日には東京工業品取引所と東京穀物取引所が取引システムを2011年度をメドに統合することで基本合意したと発表している。この件も漸くという感あり。

さて、この世界最高水準の処理速度を誇るTOCOMシステムでヘッジファンドなど海外マネーを取り込むと東穀取の鼻息も荒いが、一方の東工取も2010年度から3ヵ年の中期計画を纏めている。大まかな内容では5億円以上の経常利益を目指し、事業戦略では上場商品の検討対象からA重油をはずしLNGを加えるとしている。

この辺は市場連動の値決め方式で比率の低いモノが外されたなという感じだが、それは兎も角もLNGはかねてより当業勢から上場の要望が強かった商品である。こうして両者見てみるとヘッジファンドやら当業者やらと、やはり誘致したいターゲット層は一般からどんどん離れてゆく感は否めないが果たして方向性は変わることはないかなともつくづく。

さて話は戻るが、この東穀取、過去にも書いたようにザラバ移行のドタバタ劇でいい思い出は何一つ無かったが、イニシャルコストからランニングコストなど担保余力一つ絡めてもこれまた難題、自ずと合併(吸収)論もまたぞろ浮上してくるのも必至か。


資源メジャーと市況

本日の株式市場は重要日程を控えてまたも膠着状態であったが、その中でもここしっかり推移なのは海運系か。海運といえばやはり穀物などのコモディティー同様に落とせないのがBDI(バルチック海運指数)で、週末も前日比190ポイント高の3506ポイントと急伸、この辺の連日の年初来高値がこれらのポストを刺激しているのは明らかだろう。

そういえばここ最近の日経紙各面などには日本郵船や商船三井の社長インタビューが載っているのを見掛けたが、昨日記を見れば実際の海上輸送量でいえば鉄鉱石は09年に前年比7%増えてリーマン・ショック前を抜いているらしい。まあ、数年前に当欄でこのバルチック海運指数に触れた当時は、実に10000ポイント超の史上最高値更新などというのを考えれば確かに伸びしろも期待出来そうなものである。

ところで輸送量が増えたという上記の鉄鉱石、世界の海上輸送の要となるのは当然ながら中国だが、今期大幅値上げが予測されている中、低コストのものを法外な値段に引上げようとしていると資源メジャーへの見方は厳しい。折しも昨日の日経社説など、現物市場で売買する鉄鉱石の価格は今年度の国内鉄鋼各社契約価格より9割高いと指摘され、資源高による景気失速に警戒を怠るなとしている。

こうした資源モノの物色など海運ポストの動意からさて次は商社関係などとその連想がいわれそうなものだが、それ以前にそういえば以前触れた豪州での鉄鉱石先物等この辺はどうなっているのだろう?資源メジャーへのM&Aも上記の経緯もあって中国大手が食指を伸ばしているし、取引所創設やM&Aもこうした事態に鑑み経済に支障をきたさないような整備が望まれるところだ。


増殖するコモディティー系

先週末にはETF成功の鍵として、iシェアーズを展開する米ブラックロックが日本での上場投資を強化する旨の件にも触れたが、本日の日経紙経済面には英運用大手、ETFセキュリティーズが今月中旬をメドに国際商品価格に連動するETF14本を東京証券取引所に上場する旨が載っていた。

このETFセキュリティーズといえば、当欄でも昨年の8月に日本進出を果たしはれて貴金属やバスケットもの等が新たなところとして銘柄に加わった旨を書いたばかりだが、今回は一気に14本の上場というからなんともハイペースな感がある。

当初はこうしたコモディティー物がもの珍しく、直接的なフューチャーという形態から受益証券を手軽に売買できるという点に期待が膨らんだものだが、何というか人間勝手なものでこれだけ増殖ピッチが速いと商いが希薄化してこないかなどと早くも別な懸念も出て来る。

まあ先月など直近で通貨連動型の数種がリンク債の手当てに支障が生じる事態となり、スピード償還となった事などを目の当たりにしているだけに、この辺は余計にそう思ってしまう。兎も角、具体的にどんな顔触れが出て来るのか上場した段階でまた触れることにしよう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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