58ページ目   商品先物

人気の分れ目

さて、昨日の日経紙には2009年度の東京証券取引所におけるETFの売買代金が1兆9,534億円と前年度に比べて14.7%減った旨が載っていたが、この減少は4年連続でなかなか取引の裾野が広がっていない模様。

このETFについては度々触れ、最近はその増殖ぶりから先月末に「〜こんなペースからすると今年はETFの品揃えが100銘柄の大台を超えるのはほぼ確実だろう〜」としたが、この時にコメントしたETFセキュリティーズ物は一気に14本の上場であったものの、その売買代金は合計でもたしか1,000万円に満たなかった憶えがある。

その後も時折見ているが銘柄によっては出来申さずの日があったりでなかなかパッとしないものが目立つが、同じコモディティー物でも一方では先週27年ぶりの高値に沸いている金関係ETFなどは活況。金価格連動型はここ数億円の売買代金で推移しているし、SPDRゴールド・シェアなども同様にここ数億円の売買代金で推移しているなど前述の商品とは桁違いである。

同紙によれば米国を中心に海外ではETFの一日の売買代金が平均で7兆円弱に達するという。上記の個別で見れば格差としてはこのくらいのものになるであろうが、金融商品はリクイディティーを確保し活況を呈するものと笛吹けど躍らずなものが実にハッキリしてしまう。ETFに限らずワラントその他もなかなか面白いものだが、リクイディティーが付いて来ないのがなんとも歯痒い感がある。


先物市場も席巻

今週はたしか一昨日だったか日経紙夕刊一面にて、2009年の商品先物取引所別の売買高ランキングで中国・上海先物取引所が前年の6位から一気に首位に躍り出て、前年は1位であったNYMEXをも上回るなど大きく躍進している旨が一面に出ていた。

また、さしずめ日本の東穀取にあたる穀物系を上場する大連商品取引所は昨年同様に2位をキープ、そしてトップに躍り出た上海商品取引所は日本のTOCOMに当たろうかというところだが、さてそのTOCOMは順位を昨年の10位から11位に下げて2000年以降初めてベスト10から転落していたという。

ちなみに同取引所は、平成21年度の取引高が年間で計2,803万2,662枚となり、前年度より24.7%減少したことを今週に発表している。社長曰く、国際的な取引の沈静化の影響が大きかったのが理由としているが、そんな言い訳を尻目に新興国の存在感が一段と増してきた構図である。

目下のところ中国は商いの大半が個人投資家といわれ、その生い立ちが日本と似ているような気もするが、証券市場の方もマル信がつい最近解禁になったばかり。まだ海外マネーの全面解禁とはいかないがバブルを交え?今後の急拡大は想像に難くないか。


国際商品への反応度

さて、もう年度末だが今月は久し振りに「日経・東工取商品指数」など大型商品の上場があったが、もう一つ商品モノの上場イベントといえば9日付けで触れた、ETFセキュリティーズの国際商品価格連動型の14本のETFの東証上場もあった。

前回のETFセキュリティーズ物といえばメタル系5本の上場であったが、今回はDJ-UBS総合商品指数とそのサブ指数4類型商品指数、9種類の個別商品指数連動型である。このDJ-UBS総合商品指数など商品投資に際して広くベンチマークとして利用されているが、初日のそれは寄りの一本値で売買代金は9万円一寸と可也寂しかった。

他、初日の概況としては初モノと囃されたガソリンなどは寄りから9%上昇して終了と一部報道されていたが、これも後場に入ってからの寄り後のわずか20口の値付けで値が飛んだに過ぎず、TOCOMでは既に立会い休止が決定したアルミニウムなども寄り一本値で売買代金は5万円ちょっと、穀物指数に至っては出来申さずと総じて様子見気分が強かった印象である。そんな中でも目立ったのはCFD等でも一部人気のある小麦で初日の値付けも最多?で、売買代金も345万円超と上場初日の全14銘柄合計売買代金の約半分を占めた。

それにしても今回は一気に14本の投入。こんなペースからすると今年はETFの品揃えが100銘柄の大台を超えるのはほぼ確実だろうが、上記にも見られる通り要となるのはリクイディティー、値付け商いで辛うじて上場維持してきた商品先物銘柄の如くの指数系一部など含め、これの確保が適わないモノは淘汰の波にさらされる動きもあるのだろうか。


日経・東工取商品指数上場

周知の通り、本日は東京工業品取引所において「日経・東工取指数」がはれて上場の運びとなった。

本日の日経紙朝刊でも広告が出ておりそこにはこの指数のメリットとして、1.分散投資による資産運用、2.物価変動リスクをヘッジ、3.取引期限のない限日取引で長期投資に活用とあるが、今回の売りとして注目はやはり3の「限日取引」の部分か。かねがね業界活性化論上において一部には限月取引のデメリットを指摘してきた向きも多く、ここ近年のFX取引の台頭なども更にこれらの限日取引待望論を増幅させていた面もある。

まあ、限月があればこそスクイズその他の旨みも多いのだが、近年の取組や参加者誘致の趣旨?からはこうしたものの上場が急務だったのは事実だろう。しかし株式でいうところの日経平均やTOPIXのような指数がそもそも今迄取引されてなかった事自体もおかしな話である。そう考えるとこんな大型商品の初モノ上場はもっと喧伝されていて然るべしであるし、全社が参加していて当然という視点で現状を見るとなんとも静かな感は否めない。

ともあれ、次の展開としてはこれに連動するETFやらブルベア物の投信の登場はもうお約束のようなものだろう。更に年金など機関投資家等をも視野に入れた場合、これを利用してくれるかどうかはベンチマークとしての要件を満たしているか否かに懸かってくるワケで、市場管理含め今後の運営がいろいろと注目されるところでもある。


一つの布石

FUTURES PRESSでも既報の通り、昨日には東京工業品取引所と東京穀物取引所が取引システムを2011年度をメドに統合することで基本合意したと発表している。この件も漸くという感あり。

さて、この世界最高水準の処理速度を誇るTOCOMシステムでヘッジファンドなど海外マネーを取り込むと東穀取の鼻息も荒いが、一方の東工取も2010年度から3ヵ年の中期計画を纏めている。大まかな内容では5億円以上の経常利益を目指し、事業戦略では上場商品の検討対象からA重油をはずしLNGを加えるとしている。

この辺は市場連動の値決め方式で比率の低いモノが外されたなという感じだが、それは兎も角もLNGはかねてより当業勢から上場の要望が強かった商品である。こうして両者見てみるとヘッジファンドやら当業者やらと、やはり誘致したいターゲット層は一般からどんどん離れてゆく感は否めないが果たして方向性は変わることはないかなともつくづく。

さて話は戻るが、この東穀取、過去にも書いたようにザラバ移行のドタバタ劇でいい思い出は何一つ無かったが、イニシャルコストからランニングコストなど担保余力一つ絡めてもこれまた難題、自ずと合併(吸収)論もまたぞろ浮上してくるのも必至か。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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