58ページ目   商品先物

高騰第二弾

さて、先週の日経紙夕刊には「異常気象 食卓に影」として世界的な異常気象が国際価格高騰を招き末端への影響が避けられない懸念の旨が出ていたが、此処に載っている通り世界有数の穀物地帯であるロシア各地では猛暑に因る干ばつ被害が広がり、小麦価格がここ急騰を演じているのが一寸した話題であった。

5日にはこのロシアが穀物輸出一時禁止との報道を受けストップ高まで買われたが、翌日は一転ストップ安の急落と先物も乱高下、日本はこの小麦の8〜9割近くを輸入に頼っており頭の痛い問題だが、この猛暑被害は足元の国内でも緑黄色野菜中心に直撃し、これらは軒並み5割前後の上昇で、外から内から彼方此方急騰劇である。

野菜などたしか春先も三寒四温の影響で高騰していた記憶があるが、こう頻繁になるとつくづくヘッジの必要性が問われる。さて、前回の小麦暴騰時にはオプション取引等でもパンクする向きが続出し、また多くの食品会社が価格転嫁に回ったが、このデフレ期にまた転嫁が相次ぐのかどうか思惑なものの、前回とは構図も違うのでそこまでの影響はないだろうか。

そうそう、直近ではもうじき迫る秋の味覚の代表格でもあるサンマも高値になる懸念が出ているとか。先月は三越で「新サンマ」として1匹1,500円と笑える札が付いていたサンマを見たが、なんでも北半球の猛暑の異常気象が影響し水揚げが極端に減少、築地市場の卸値は前年同期比で4割程度高値に上昇しているという。先に書いたスクイズで暴騰してしまっているココア等はまだ嗜好品の範疇(と言っても困るが・・)だが、普段の食品群の乱高下も困った問題だ。


50億個分のチョコ菓子?

さて、一昨日の日経紙夕刊にはファンド資金流入でコーヒーの国際価格が高値圏で推移している模様が載っていたが、同じソフトもので最近話題になっているのがココアか。

なんでもココアの価格は過去二年間で倍以上にまで暴騰しここ30年で最高値を記録しているが、その背景にはロンドンのヘッジファンド、アルマジャロの共同創業者の一人アンソニー・ウォード氏が先物7月限をスクイズし約24万トンものカカオ豆を購入した事があり、その量は世界の年間生産量の7%に相当するという。

同ファンドといえば商品専門で近年は新興国における原油や金採掘、農業関連から肥料会社まで関心を向けていた模様だが、ヘッジファンドの買占めというのはたまに派手なモノが出て来るから面白い。と外野はそんな感じであるが、リーマンショック以降は過剰流動性の相場介入にピリピリしている昨今、色々な意味で物議を醸し出す。

ちなみにココアなど個別の部分では今を時めくベルギーあたりの有名パティシエが食指を伸ばすと、途端に大化けするといった話を関係者から聞いたことがあったが、こんな大掛かりなものからすれば可愛いもの。ただその動向によっては製菓会社はレシピ変更や代替品使用に切り替えるとしており、そんな部分で末端へも影響が出てくるのは困った問題である。


それでも低水準

ここ調整色を呈していた金であるが、週明けもCOMEXは買われ4営業日続伸となっていた。さて、この金といえば日本の外貨準備のなかで保有している金が直近の6月末で306億ドルに達し、外貨準備の内訳を公表し始めた2000年4月時点の約4.6倍に膨らんだ旨を日経紙にて先月見掛けた。

この日本に限らず新興国も外貨準備の中で保有する金を増やしている。日本に次ぐロシアは6月末時点で668.6トンと09年末比で10%増加、フィリピンは同6%増の164.7トン、ベネズエラは同2%増の363.9トン、中国の09年末の1,054トンは08年年末比で76%増え、他インドも先にIMFから200トンもの金を購入している。

しかしこうして金の公的保有量ランキングなどを見てみると欧米諸国のそれはアジア勢に比べはるか多い。実際にECBなどはユーロ加盟各国中央銀行に対して、外貨準備の15%は金で保有することが望ましいという指針を出しているようだが、ドルが怪しくなる前にその比率を高める動きを見せた中国など今の数倍へ比率を高めるのが望ましいとの内部の意見も出ている模様だ。

実際に外貨準備に占める金の保有高が少ないといわれる日本でも2.8%、対して中国のそれはわずか1.6%にとどまる。ドルの不信から始まって次はユーロ不信と続き、結局は無国籍なこの金が各国から見直されているということなのだろうが、根が深いだけに今後もこうした動きが継続されるのは想像に難くないか。


もう一つの世界指標

さて、6月の中国の貿易収支は輸出が予想以上の伸びを示した為に、5月と市場予想を共に上回る黒字となりその黒字額は200億ドル、エコノミスト予想に反して9ヶ月ぶりの高水準となった模様である。

ところで中国がこの輸出に高い関税を掛けている物の一つにコークスがあるが、先週木曜の日経紙一面には中国の大連商品取引所がこのコークスの先物取引を中国証券監督管理委員会に申請しており、承認を得られ次第年内にも上場する方針と載っていた。

中国の商品取引所は海外からの資金流入制限から自由に取引出来ない側面があり、例えば非鉄市場などにおいてLMEなどのような「世界指標」にはなり得ないと言われているものの、非鉄を上場している上海先物取引所などは09年の売買高が世界一となり、既に本家のLMEにも影響を与え始めた旨も報道されている。

日本も原材料の大部分を輸入に依存する体質だがこれらの価格契約のやり方も変遷、資源大手など価格改定のタームが短くなってきているが、今後市場連動型への移行が趨勢となってゆく中、価格ヘッジの場を先物市場などで整備する必要性は大きいのだがそもそも足元が振るわない。大連商品取引所はさしずめ日本の東穀取?にあたるが両者の明暗は一目瞭然、なんとも複雑な思いである。


地盤沈下の足音

本日の日経紙には韓国政府が市場整備による商品取引の活性化を通じ資産運用など国内の金融ビジネスを発展させることを意識して、15年の商品専門の取引所設立を視野に、対象商品を段階的に広げてゆく旨の記事を見掛けた。

この構想としては、先ず12年1月に韓国取引所(KRX)傘下に金の現物市場を開設、取引実績を積み上げながら市場認知度を高め14年をメドに農産物や原油、石油などへと対象を拡大してゆくという。

ところでアジアでは先週にシンガポールも開設準備中の同国マーカンタイル取引所(SMX)が原油相場の国際指標WTIなど3品目の取引を8月から開始する旨も出ていたが、WTIと北海ブレントがアジアの取引所に上場されるのは初めてのことである。また、4月中旬には既存のSICOMにてロブスタコーヒーの先物が上場されているが、ロブスタといえば東穀で上場されているそれはほとんどM・Mで既にその意味を為していない。

斯様にアジア圏近隣では着々と新規モノの構想が進行しているが、対照的に勢いをすっかり失っている国内商品取引所がいやでも懸念される。足元では原燃料の大部分を輸入に依存するその体質から価格ヘッジの場を整備するのが急務といわれてはいるが、逆に地盤沈下の足音がヒタヒタと迫っているのが実情である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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